2016年1月4日月曜日

ゴム手袋のパウダーの正体と安全性





Foot Surgery / ex_magician


パウダー付き医療用手袋は、米国食品医薬品局(FDA)が安全性上のリスク要因になりうる
として流通を差し止める措置をとることを発表したことを受け、日本でも医療機器製造販売業者等に対して、2018年末までにパウダーフリー手袋への切替えを行うよう通知が出されています。

パウダーが付いていない医療用手袋への供給切替えを促します(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000147462.html

【2018.12追記】

ゴム手袋には「パウダーフリー」を謳っている製品が増えてきました。

この「パウダー」とは一体何なのでしょうか。

天然ゴム製の手袋には、着用をスムーズにするため、パウダーが塗布されている場合があります。

このパウダーの正体はコーンスターチ(トウモロコシデンプン)です。

パウダー(コーンスターチ)自体はタンパク質ではありませんのでアレルゲンにはなり得ません。
しかし、パウダーとラテックス抗原は簡単に吸着してしまうので、手指皮膚への接触や、空気中に舞った、ラッテクスを吸着したパウダーを吸入することによりアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

また、パウダー自体が手指皮膚の乾燥や摩擦を引き起こし刺激性接触性皮膚炎の原因ともなりえます。

岡田淳子.手袋.感染対策ICTジャーナル Vol.4 No.3 2009. 感染対策vs PPE 個人防護具のセオリーとTPO. ヴァンメディカル.
http://www.vanmedical.co.jp/content/zasshi/k12.htm


イギリスやドイツでは、パウダー付き手術用手袋の使用は禁止されています。

Richard F, William B, Dean K, et al. Dangers of Cornstarch Powder on Medical Gloves -Seeking a Solution-.Annals of Plastic Surgery,63(1):111-115.2009.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19546685


パウダー付き手袋は、着用した後、手袋表面のパウダーを滅菌水で十分に洗い流してから使用する必要があります。

手間やコストがかかるので、パウダーフリーの製品を積極的に選択するのが良いでしょう。