エコリシン点眼液販売中止のお知らせ(参天製薬)
2017年4月から使用できなくなります。
エコリシン点眼液は、細菌性結膜炎の主要な起炎菌であるブドウ球菌に抗菌作用を示し、グラム陽性菌を主とした抗菌スペクトラムを有するエリスロマイシンラクトビオン酸塩と、グラム陰性菌を主とする抗菌スペクトラムを有し、特に緑膿菌に対して特異的な抗菌作用を示すコリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを配合した点眼剤です。
エコリシン点眼液は1970年に登場し、麦粒腫(めばちこ・めいぼ・ものもらい)や結膜炎などに使用されてきました。
最近では、クラミジア・トラコマティス予防及び淋菌感染管理のため新生児出生直後に両目に使用されます。
ビタミンKと同様、ルーチンワークに使用されているお薬です。
日産婦誌60巻 6 号 18.産科感染症の管理と治療
エコリシン点眼液の代替品
同一有効成分の点眼液はありません。
以前までは後発品の「エリコリT」が存在していたのですが、2008年に販売を中止しています。
同一成分でとなるとエコリシン眼軟膏があります。
こちらは継続して販売されるようです。
ただ、眼軟膏は使いにくいですね。
有効成分の1つエリスロマイシンを含有する点眼液はありません。
マクロライド系抗生物質点眼液もありません。
もう1つの有効成分コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを含有する点眼液として以下が販売されています。但し、クロラムフェニコールも含有しています。
- オフサロン点眼液(わかもと製薬)
- コリナコール点眼液(日本点眼薬研究所)
クロラムフェニコールは大人にはいいですが、子ども、新生児には使いたくない薬です。
他の系統の抗菌点眼液(ニューキノロン系)
クラビット点眼液
タリビッド点眼液
抗菌スペクトル的にもキノロン系が妥当だといえます。
新生児のルーチンにも使用されるようになると思われますが、耐性菌には注意しないといけません。
近年,わが国をはじめとして東アジア地域を中心に淋菌のフルオロキノロン系薬に対する耐性化が大きな問題となってきている。
Y Kagami,et al. Drug-susceptibilities of Neisseria gonorrhoeae strains isolated from male patients with gonococcal urethritis against antimicrobial agents.日本化学療法学会雑誌,53:8(2005)
マクロライド系の点眼薬がなくなってしまうのは非常に残念なことです。
日本の医療は武器を一つ失ってしまったのですから。
今回の販売中止の理由も、一説には採算性の問題から製造できなくなったと聞きます。
今回の販売中止の理由も、一説には採算性の問題から製造できなくなったと聞きます。
今の日本の医療制度ではお薬は2年に一度必ず値段が下がる仕組みになっています。
どんなにいい薬で需要があっても、値段が下げられてしまいます。
そのため、昔に製造された良い薬でもメーカーは採算が取れなくなってしまい造るのをやめてしまうのです。
どんなにいい薬で需要があっても、値段が下げられてしまいます。
そのため、昔に製造された良い薬でもメーカーは採算が取れなくなってしまい造るのをやめてしまうのです。
良い薬を守っていく仕組みを作らなければ今後も必要な薬が姿を消していくでしょう。