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2015年11月29日日曜日

エコリシン点眼液の代替品



エコリシン点眼液の販売を中止するそうです。

エコリシン点眼液販売中止のお知らせ(参天製薬)


2017年4月から使用できなくなります。

エコリシン点眼液は、細菌性結膜炎の主要な起炎菌であるブドウ球菌に抗菌作用を示し、グラム陽性菌を主とした抗菌スペクトラムを有するエリスロマイシンラクトビオン酸塩と、グラム陰性菌を主とする抗菌スペクトラムを有し、特に緑膿菌に対して特異的な抗菌作用を示すコリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを配合した点眼剤です。

エコリシン点眼液は1970年に登場し、麦粒腫(めばちこ・めいぼ・ものもらい)や結膜炎などに使用されてきました。

最近では、クラミジア・トラコマティス予防及び淋菌感染管理のため新生児出生直後に両目に使用されます。
ビタミンKと同様、ルーチンワークに使用されているお薬です。

日産婦誌60巻 6 号 18.産科感染症の管理と治療



エコリシン点眼液の代替品

同一有効成分の点眼液はありません。

以前までは後発品の「エリコリT」が存在していたのですが、2008年に販売を中止しています。

同一成分でとなるとエコリシン眼軟膏があります。
こちらは継続して販売されるようです。


ただ、眼軟膏は使いにくいですね。


有効成分の1つエリスロマイシンを含有する点眼液はありません。

マクロライド系抗生物質点眼液もありません。


もう1つの有効成分コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを含有する点眼液として以下が販売されています。但し、クロラムフェニコールも含有しています。

  • オフサロン点眼液(わかもと製薬)
  • コリナコール点眼液(日本点眼薬研究所)


クロラムフェニコールは大人にはいいですが、子ども、新生児には使いたくない薬です。

他の系統の抗菌点眼液(ニューキノロン系)
クラビット点眼液
タリビッド点眼液


抗菌スペクトル的にもキノロン系が妥当だといえます。

新生児のルーチンにも使用されるようになると思われますが、耐性菌には注意しないといけません。

近年,わが国をはじめとして東アジア地域を中心に淋菌のフルオロキノロン系薬に対する耐性化が大きな問題となってきている。
Y Kagami,et al. Drug-susceptibilities of Neisseria gonorrhoeae strains isolated from male patients with gonococcal urethritis against antimicrobial agents.日本化学療法学会雑誌,53:8(2005)



マクロライド系の点眼薬がなくなってしまうのは非常に残念なことです。
日本の医療は武器を一つ失ってしまったのですから。
今回の販売中止の理由も、一説には採算性の問題から製造できなくなったと聞きます。

今の日本の医療制度ではお薬は2年に一度必ず値段が下がる仕組みになっています。
どんなにいい薬で需要があっても、値段が下げられてしまいます。
そのため、昔に製造された良い薬でもメーカーは採算が取れなくなってしまい造るのをやめてしまうのです。

良い薬を守っていく仕組みを作らなければ今後も必要な薬が姿を消していくでしょう。




2015年11月18日水曜日

ネオラミン・スリービー液がアミノ酸製剤と混合注意の理由



ネオラミン・スリービー液はビタミンB1、B6、B12が配合されたビタミン剤です。

ビタミンB1:チアミンジスルフィド
ビタミンB6:ピリドキシン塩酸塩
ビタミンB12:ヒドロキソコバラミン酢酸塩


輸液などに混合することが多いのですが、

添付文書には
「アミノ酸製剤と混合した場合、ビタミンの分解が促進されることがあるので注意すること。」
と記載されています。


この記載理由は、配合されているビタミンB1のチアミンジスルフィドのためです。


チアミンジスルフィドはジスルフィド結合した2量体です。


輸液などのアミノ酸製剤の安定化剤として添加されている亜硫酸水素ナトリウムは、ジスルフィド結合を切断してしまいます。

そのため、ネオラミン・スリービーとアミノ酸製剤を混合した場合、ビタミンB1の分解が促進されるので注意が必要というわけなのです。


一方、他のビタミンB1、B6、B12配合剤のダイビタミックス注は

ビタミンB1としてジスルフィド結合のないチアミン塩化物塩酸塩が配合されているため、アミノ酸製剤と混合してもビタミンの分解が促進されることはありません。


参考:
ビーフリード®輸液 配合変化表(大塚製薬)



2015年11月16日月曜日

ベンテイビス吸入液 10 μg(イロプロスト) 肺動脈性肺高血圧症治療薬 




ベンテイビス吸入液は、イロプロストの吸入用製剤です。

携帯用ネブライザー(I-neb)を用いて患者自身が簡便に投与可能なプロスタグランジンI2(PGI2)製剤として開発されました。

イロプロストは、PGI2誘導体です。


イロプロストは血管拡張作用及び血小板凝集抑制作用を示すことにより、肺動脈性肺高血圧症の病態を改善することが期待されています。

日本では肺動脈性肺高血圧症の治療に用いるPGI2誘導体としてエポプロステノール(フローラン)やトレプロスチニル(トレプロスト)などが承認されています。

しかし、これら薬剤は持続的な静脈内投与や皮下投与が必要です。

また、注射部位疼痛等の副作用や中心静脈カテーテルに関連する感染症等の合併症等のリスクがあります。

そのため、もっと簡便な薬が患者さんから希望されていました。

そこで、肺動脈性肺高血圧症患者の会である特定非営利法人PAHの会より本剤の開発要望が提出され、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、厚生労働省から製薬メーカーに対して開発要請がなされました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kaihatsuyousei/
平成22年5月21日付医政研発0521第1号、薬食審査発 0521 第1号


世界的にはヨーロッパで2003年9月に「原発性肺高血圧症」、アメリカでは2004年12月に「肺動脈性肺高血圧症」の効能・効果で承認されています。



類薬との比較、切り替え及び使い分け

2013年12月に公表された第5回WHO肺高血圧症ワールドシンポジウムの推奨治療アルゴリズムにおいて、ベンテイビス吸入液は WHO 機能分類クラスIIIの初期治療に対してClassI(Is recommended, Is indicated:使用を推奨)として推奨されています。

そして新たに肺動脈性肺高血圧症治療を行う場合には第一選択薬の一つとして位置付けられています。


WHO 機能分類クラスIVに対してはエポプロステノール(フローラン)が ClassIで推奨されています。


ベンテイビス吸入液は、ERA、PDE-5 阻害薬、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬、トレプロスチニル(トレプロスト)と同様に ClassIIa(Should be considered:使用を考慮)の推奨とされています。


また、併用療法ではベンテイビス吸入液を含むPGI2製剤を他の2系統の肺動脈性肺高血圧症治療薬(ERA 及び PDE-5 阻害薬又は sGC 刺激薬)と組み合わせることが推奨されています。


ベンテイビス吸入液は吸入投与なので、既存の他の PGI2製剤に比べて、全身性の副作用の発現抑制や持続静脈内又は皮下注入に関連する合併症(疼痛、血栓症及び敗血症等)がないといったメリットがあります。


しかし、その一方で咳嗽等の局所刺激症状の発現割合が上昇するといったデメリットがあります。

Galie N et al. The Fifth World Symposium on Pulmonary Hypertension.J Am Coll Cardiol 62: D60–72, 2013

既存のPGI2製剤からの切り替えについては、

移行期間や患者集団を適切に選択することで、既存の PGI2製剤(フローランやトルプロスト)からの切り替えが安全で効果的に実施可能です。

フローランやトルプロストの持続静注又は持続皮下注療法を受け症状が安定した、WHO機能分類クラスII又はIIIの肺動脈性肺高血圧症患者において、治療移行期間を設けてベンテイビス吸入液による吸入療法に切り替えたところ、切替え後 1 年まで 81.1%の患者で悪化することはありませんでした。

さらに78.4%の患者はベンテイビス吸入液による吸入療法が継続することができました。

また、肺動脈性肺高血圧症治療薬であるERA 及び PDE-5 阻害薬を2剤又は3剤併用した患者の方が併用しなかった患者より高い割合でベンテイビス吸入液による吸入療法を長期間継続することができたと報告されています。

Channic RN et al.A multicenter, retrospective study of patients with pulmonary arterial hypertension transitioned from parenteral prostacyclin therapy to inhaled iloprost.Pulm Circ 2: 381-388, 2013
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24015339

第5回WHO肺高血圧症ワールドシンポジウムの推奨治療アルゴリズムでは、特定の薬剤をエビデンスに基づいた第一選択薬として推奨していません。

CHESTガイドライン(2014 年)では、患者の WHO 機能分類、運動耐容能、心エコー、血液データ等を総合的に考慮し、肺動脈性肺高血圧症治療の専門医療施設にて第一選択薬を決めることが望ましいとされています。

各薬剤は有効性が評価された各々の臨床試験での患者背景と同一の背景を有する患者に対して推奨されています。

したがって、実臨床では、各治療薬の有効性及び副作用プロファイル、承認効能・効果及び用法・用量、患者背景、患者の希望等を総合的に考慮した上で、第一選択薬が決定されるものと考えられています。


Taichman DB et al.Pharmacologic therapy for pulmonary arterial hypertension in adults: CHEST guideline and expert panel report. Chest 146: 449-475, 2014

ネブライザーはI-neb(PHILIPS社製)を使いましょう

ネブライザは機種により性能,噴霧特性が異なるのでのベンテイビス吸入液の吸入には、臨床試験で有効性が確立されている『I-neb AAD』ネブライザを使用しましょう。

使用にあたっては、ネブライザの取扱説明書を御覧ください。


他のネブライザーではダメなのか

海外臨床試験ではネブライザーとしてHaloLiteとI-nebが使用されていました。

一般に、吸入薬投与にはエアロゾルの粒子径が重要であると考えられています。


Byron PR.Prediction of drug residence times in regions of the human respiratory tract following aerosol inhalation. J Pharm Sci 75: 433-438, 1986
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3735078


HaloLite 及び I-neb のエアロゾルの特性を比較した結果、HaloLite と I-neb で噴霧量、噴霧速度及び液滴粒子径は類似していました。

したがって、ベンテイビス吸入液の肺局所への到達速度や量はネブライザー間で同程度と推測できます。


また、一般に、3μm未満の粒子径の薬物はほとんどが肺胞に到達すると考えられています。

HaloLite、I-neb のエアロゾルの平均液滴粒子径はそれぞれ 1.4 及び 2.1 μm でした。

HaloLite 及びI-neb を用いて吸入投与された本薬のほとんどが肺胞に到達すると考えられます。

さらに、HaloLite 及びI-neb を用いて吸入投与した試験において、AUC はそれぞれ 52.6±36.5 及び 47.7±13.4 ng·h/mL であり、ネブライザー間で同程度でした。


以上より、HaloLite と I-neb では互換可能であると考えられます。


この2機種以外のネブライザーでは使用しないほうが良いでしょう。


吸入時の注意

吸入ごとに新しいアンプル全量を使用直前にネブライザに移します。

4~10分かけて吸入します。

吸入後ネブライザ内に残った液は捨てます。

ベンテイビス吸入液を希釈したり他剤と混合してはいけません。



平成28年4月19日 使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発0419 第1号)

① 本製剤はプロスタグランジンI2製剤であり、在宅において、携帯型精密ネブライザーを用いて本製剤を投与している患者に対して指導管理等を行った場合は、 医科点数表区分番号「C111」の在宅肺高血圧症患者指導管理料を算定できるものであること。

② 本製剤を肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外のものに対して、携帯型精密ネブライザーを使用して投与した場合は、医科点数表「C168-2」携帯型精密ネブライザー加算を算定できるものであること。



C168-2 携帯型精密ネブライザー加算

肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外のものに対して、携帯型精密ネブライザーを使用した場合に、第1款の所定点数に加算する。

通知
(1) 本加算は、吸入用のプロスタグランジンI2製剤を使用するに当たり、一定量の薬液を効率的に吸入させるため、患者の呼吸に同調して薬液を噴霧する機構を備えた携帯型精密ネブライザーを使用した場合に算定する。 
(2) 携帯型精密ネブライザー加算には、携帯型精密ネブライザーを使用するに当たって必要な全ての費用が含まれ、別に算定できない。



ベンテイビス吸入液 10 μg
[効能・効果]
肺動脈性肺高血圧症
[用法・用量]
通常,成人にはイロプロストとして初回は 1 回2.5㎍をネブライザを用いて吸入し,忍容性を確認した上で 2 回目以降は 1 回5.0㎍に増量して 1 日 6 ~ 9 回吸入する. 1 回5.0㎍に忍容性がない場合には, 1 回2.5㎍に減量する.

2015年11月2日月曜日

エクアとメトホルミンの配合剤 エクメット配合錠LD/HD



エクメット配合錠は、DPP-4阻害薬であるビルダグリプチン(エクア錠)とビグアナイド系薬剤であるメトホルミン塩酸塩との配合剤です。

エクアは、グルコースなどの栄養素の摂取に伴い消化管から血中に分泌されるインクレチンの分解酵素であるDPP-4 を阻害することにより、内因性イングレチンの濃度を高めることで血糖依存性にインスリン分泌を促進させ血糖降下作用を示します。

さらに、グルカゴンの分泌を抑制し血糖降下作用を示します。

一方、メトホルミン塩酸塩は、肝の糖産生及び消化管からの糖吸収を抑制し、末梢組織のインスリン感受性及びグルコース消費を増加させインスリン抵抗性を改善することによって血糖降下作用を示します。


このように、エクメット配合剤は異なる作用機序を有する成分を含んでいます。

エクメット配合剤を用いることでインスリン分泌不全とインスリン抵抗性の両要因を改善することが可能となります。


また、エクアとメトホルミン塩酸塩併用時には両剤が相加的に血中 GLP-1 濃度を上げる作用があると考えられ、これらの薬剤での併用療法は各薬剤の単独療法を上回る血糖降下作用が期待できます。

エクアの GLP-1 を介したインスリン分泌促進作用は血糖依存性であることと、メトホルミン塩酸塩の血糖改善効果はインスリン分泌促進を介さないことから、これら薬剤の併用は低血糖の発現リスクが低い組合せと考えられます。

なお、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の配合剤は、2015年6月現在、120の国と地域で承認されているワールドスタンダードな薬剤です。



配合剤による患者さんのメリット


2型糖尿病患者の薬物療法では、アドヒアランスの向上が血糖コントロール改善の要因の一つとなることが報告されています。
Schernthaner G,Fixed-dose combination therapies in the management of hyperglycaemia in Type 2 diabetes: an opportunity to improve adherence and patient care. Diabet Med, 2010; 27(7): 739-43

Guillausseau PJ,Influence of oral antidiabetic drugs compliance on metabolic control in type 2 diabetes. A survey in general practice. Diabetes Metab, 2003; 29(1): 79-81

アドヒアランスを低下させる要因としては、単独療法から併用療法に移行する際の薬剤の種類と錠数の増加及び投与回数の増加が挙げられます。
Thayer S, et al.,Adherence to a fixed-dose combination of rosiglitazone/glimepiride in subjects switching from monotherapy or dual therapy with a thiazolidinedione and/or a sulfonylurea. Ann Pharmacother, 2010; 44(5): 791-9

Dailey G, et al.,Patient compliance and persistence with antihyperglycemic drug regimens: evaluation of a medicaid patient population with type 2 diabetes mellitus. Clin Ther, 2001; 23(8): 1311-20

Hutchins V, et al.,A systematic review of adherence, treatment satisfaction and costs, in fixed-dose combination regimens in type 2 diabetes. Curr Med Res Opin,2011; 27(6): 1157-68


エクメット配合剤の使用により、薬剤の種類及び錠数の増加を回避することができます。

治療効果とアドヒアランスを併用療法と配合剤との間で比較したメタアナリシスでは、併用療法の患者よりも配合剤治療の患者で HbA1c は低く、また、前治療の内容(単独療法又は併用療法)に関わらず併用療法の患者よりも配合剤治療の患者でアドヒアランスは有意に高かったという結果でした。
Han S, et al.,Glycemic effectiveness and medication adherence with fixed-dose combination or coadministered dual therapy of antihyperglycemic regimens: a meta-analysis. Curr Med Res Opin, 2012; 28(6): 969-77

また、DPP-4阻害薬とメトホルミンの配合剤治療を受けている患者の方が、それぞれの単剤で併用療法を受けている患者よりも血糖コントロールが良好で、治療満足度が高いという調査報告もあります。
Benford M, et al.,Fixed-dose combination antidiabetic therapy: real-world factors associated with prescribing choices and relationship with patient satisfaction and compliance. Adv Ther, 2012; 29(1): 26-40



オルメテックとエクメット配合錠の一包化

オルメテックとメトホルミンを一包化すると変色することが知られています。

メーカーの営業の方からの情報によると、エクメットと配合錠とオルメテックは一包化しても色調変化はみられないと回答を得ました。

理由はよくわからないですが、エクアを配合することで色調変化を防げるようになったとか。
(本当かどうかは発売されて実際試してみたいと思います)




エクメット配合錠

[効能・効果]
2 型糖尿病
ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。

[用法・用量] 
通常、成人には 1 回 1 錠(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として 50mg/250 mg 又は 50 mg/500 mg)を 1 日 2 回朝、夕に経口投与する。


ダニ抗原減感作療法剤 アシテアとミティキュアの比較




2015年2つのダニ抗原減感作療法用の舌下錠が発売されます。
  • アシテアダニ舌下錠
  • ミティキュアダニ舌下錠


承認日が違う

アシテアダニ舌下錠
2015年3月

ミティキュアダニ舌下錠
2015年8月


禁忌と慎重投与の比較

本剤によるショックの既往のある患者さん及び重症の気管支喘息の患者さんには両薬剤とも投与できません。

「悪性腫瘍、又は免疫系に影響を及ぼす全身性疾患患(自己免疫疾患,免疫複合体疾患,又は免疫不全症等)」のある患者さんについては、アシテアは禁忌とされていますが、ミティキュアは慎重投与に設定されています。


効能又は効果

アシテア、ミティキュアとも同じです。

ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法

あくまで鼻炎に対するものなのでアトピー性皮膚炎やほかのアレルギーに対しての効果は不明です。


治療に使用されるアレルゲンの量が違う

使用されているアレルゲンはコナヒョウヒダニから抽出したエキスとヤケヒョウヒダニから抽出したエキスで両薬剤共通です。

ダニ舌下錠に含有されているダニの量はアレルギー患者の皮膚試験に基づき設定されたアレルゲン活性単位で表されています。

アシテアは国際単位で表記され、100 単位(IR)と300単位の2製剤があります。

ミティキュアは日本アレルギー学会により設定された国内のアレルゲン活性単位(JAU)で表記され、3300単位(JAU)と10000単位(JAU)の2製剤があります。

2つの基準の単位があり、わかりにくいので、アシテアを(JAU)表記に換算すると以下のようになります。

アシテアダニ舌下錠 100 単位(IR)は 19000JAU に相当
アシテアダニ舌下錠 300 単位(IR)は 57000JAU に相当

治療に用いるアレルゲン活性の多寡が治療に与える影響についてはよくわかっていません。


用法・用量

アシテア
通常,成人及び 12 歳以上の小児には,1 回 100 単位(IR)を1日1回舌下投与から開始し,1 回投与量は 100 単位(IR)ずつ,300 単位(IR)まで増量する。なお,漸増期間は,原則として 3 日間とするが,患者の状態に応じて適宜延長する。舌下投与後は完全に溶解するまで保持した後,飲み込む。その後 5 分間は,うがいや飲食を控える。

ミティキュア
通常、成人及び12 歳以上の小児には、投与開始後1週間は、ミティキュアダニ舌下錠3,300JAUを1 日1 回1 錠、投与2 週目以降は、ミティキュアダニ舌下錠10,000JAUを1 日1 回1 錠、舌下にて1 分間保持した後、飲み込む。その後5 分間は、うがいや飲食を控える。

アシテアは3日間で100単位(IR)ずつ増量していき、3日目から維持量となるのに対し、ミティキュアは7日目までは3300JAUと投与し8日目から維持量を投与します。

つまり、維持量までの期間が異なっています。

また、アシテアは舌下に完全に溶けるまで保持しなければなりません。

一方、ミティキュアは「1分間保持する」という時間制限があります。


副作用はほぼ同じ

アシテア
咽喉刺激感 21.0%,口腔浮腫 20.0%,口腔そう痒感 18.3%,耳そう痒感 10.4%

ミティキュア
口腔浮腫 16.9%、口腔そう痒症 14.5%、咽喉刺激感 12.9%、咽頭不快感 10.7%、口腔内不快感 10.2%、口の錯感覚 9.6%、耳そう痒症 7.0%


処方できる医師に制限があります

舌下免疫療法はアナフィラキシー等の副作用発現の可能性があることから、適正使用のために、処方・使用は、緊急時対応が可能な医療機関において、薬剤に対する十分な知識と減感作療法に関する十分な知識・経験を持ち、使用する薬剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師によってのみ行われなければいけません。

処方する医師は事前に関連学会主催等の「舌下免疫療法講習」を受講し、その後、使用薬剤の「適正使用eラーニング」の受講、及び使用薬剤の「適正使用eテスト」の合格を経て、「登録医師」となる必要があります。

また、薬局では調剤前には薬剤師により、処方医師が「登録医師」であることが確認できなければ調剤することができません。

これらは、両薬剤とも共通です。


舌下投与による減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬処方のためのアレルゲン免疫療法(減感作療法)eラーニング/eテストについて

週1回服用の糖尿病治療薬 オマリグリプチン(マリゼブ錠)



マリゼブ錠はDPP4阻害薬であるオマリグリプチンを有効成分とする錠剤です。

週 1 回投与が可能な薬剤として開発されました。

2015年8月時点では、マリゼブ錠は日本でのみの承認で海外では承認されていません。

また日本においてはトレラグリプチンコハク酸塩(ザファテック錠)が週 1回投与製剤として既に承認されています。



作用時間の長さの秘密


オマグリプチンは肝代謝を受けません。

また、体内の組織分布が広いため低濃度で作用します。

オマグリプチンは腎排泄型の薬剤です。

オマグリプチンは腎尿細管で再吸収され、リサイクルされるので効果が長続きするのです。


日本人健康成人男性に、マリゼブ錠5~100mg を単回経口投与し、血漿中 DPP-4 阻害率を検討したところ、25mg 以上の用量で、投与 168 時間後の DPP-4 活性をベースラインから 80%以上阻害したことでDPP-4 阻害効果の持続性が示されました。

また、25mg 単回投与 168 時間後の血漿中 DPP-4 活性阻害率は 86.0%もありました。


マリゼブ錠を飲み忘れたら

飲み忘れを防ぐために、決められた曜日に服用するようにします。

万が一飲み忘れてしまっても、DPP-4 活性阻害率は高めに推移しているので気づいた時点で服用すれば問題ありません。

その後は、決められた曜日に飲み直せば大丈夫です。

但し、同じ日に2錠飲むことはしないようにしましょう。


マリゼブ錠を間違えて2日連続で飲んでしまった

(例:毎週月曜日に飲む予定のものを、月曜と火曜続けて飲んでしまった)

心配はいりません。

次の曜日に飲む予定だったものを1回飛ばしてください。
(次の月曜日は飲まず、再来週の月曜日から再開します)

治験の段階でも誤って連日投与されてしまった例はあり、その場合においても過量投与に関連すると考えられる低血糖症及び副作用の発現は認められませんでした。

また他の臨床試験において、臨床用量を超える高用量投与時において、安全性及び忍容性が確認されています。

また、予定の曜日よりも早く飲んでしまった場合も上と同じです。



透析患者さんにも使えます

腎排泄型の薬物なのですが、に重度腎機能障害がある患者さん、血液透析又は腹膜透析を要する末期腎不全患者さんには適切な用量調節を行うことで使用することができます。

オマリグリプチンは血液透析により除去されにくい薬物です。

オマリグリプチン 3mg 投与 2時間後に血液透析した際の平均透析液中回収量(0.433mg)は、血液透析直後にオマリグリプチン 3mg を投与し、投与 72 時間後に血液透析した際の値(0.153mg)と比べ、わずかに増加した程度でした。

末期腎不全被験者の血漿及び透析液に基づいた透析クリアランスは類似しており、平均値は約 84~106mL/min でした。

このため、末期腎不全患者に対して、オマリグリプチンは血液透析との時間関係は問わず投与可能となっています。



マリゼブ錠12.5mg
マリゼブ錠25mg

[効能・効果] 
2 型糖尿病

[用法・用量]
通常、成人にはオマリグリプチンとして 25 mg を 1 週間に 1 回経口投与する。




高リン血症改善薬 スクロオキシ水酸化鉄(ピートルチュアブル錠)



スクロオキシ水酸化鉄(ピートルチュアブル錠)は、酸化水酸化鉄(III)/スクロース/デンプンから成るカルシウムを含まないリン吸着薬です。


作用機序

消化管内で、食物由来のリン酸イオンと本薬中の酸化水酸化鉄(III)が結合し、消化管からのリンの吸収を抑制します。

ピートルチュアブル錠 インタビューフォームより


高リン血症

血清リン濃度は、主に消化管からの吸収、骨からの遊離、骨への取込み及び腎臓から尿中への排泄により調節されています。

しかし、慢性腎不全患者では腎機能低下によりリン排泄が低下し、高リン血症を発症してしまいます。

慢性腎不全に伴う高リン血症は、カルシウム・リンの上昇を招き、軟部組織(血管壁、心臓弁膜、関節周囲等)にリン酸カルシウムが沈着し、異所性石灰化を引き起こす原因となります。

また、慢性腎不全患者では腎臓におけるビタミンD活性化が障害されており、消化管からのカルシウム吸収低下により低カルシウム血症が生じ、副甲状腺ホルモンの分泌が亢進し、二次性副甲状腺機能亢進症が誘発されます。

二次性副甲状腺機能亢進症では骨ミネラル代謝異常を生じており、高回転型骨病変や心不全等の心血管系疾患との関連が示唆されています。

エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン 2013(日本腎臓学会編、東京医学社、2013 年)
http://www.jsn.or.jp/guideline/ckdevidence2013.php

このような背景から、日本では2012年に一般社団法人 日本透析医学会より「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」が発出され、CKD 患者では、さまざまな骨ミネラルの代謝異常が発現しているが、特に透析患者では高リン血症は生命予後と関連し、血清リン濃度の管理は重要とされています。

ガイドラインでは透析患者における血清リン濃度、補正血清カルシウム濃度、血清 intact PTH 濃度の管理目標値が示され、血清リン濃度の管理目標値は 3.5~6.0mg/dL と設定されています。

日本透析医学会ガイドライン
透析会誌 45: 301-356, 2012



既存の高リン血症治療薬の問題点

現在、透析患者における高リン血症の治療では、食事指導によるリン摂取制限、透析によるリンの除去に加え、消化管からのリン吸収を抑制する経口リン吸着薬の投与が行われています。

既存経口リン吸着薬としては、沈降炭酸カルシウム、セベラマー塩酸塩、ビキサロマー、炭酸ランタン水和物及びクエン酸第二鉄水和物が用いられています。

それぞれの薬剤の特性により、高カルシウム血症、胃腸障害(便秘、腹部膨満等)、長期投与時における希少金属の組織蓄積の懸念等の問題点があります。

沈降炭酸カルシウムは、カルシウム負荷による高カルシウム血症に注意が必要で、日本では投与量は 3g/日を上限とすることが妥当とされています。

そのため沈降炭酸カルシウム単剤では血清リン濃度を管理するための十分量を投与できない場合があります。

セベラマーはカルシウム非含有リン吸着薬ですが、便秘、腹部膨満等の消化器系の副作用が高頻度に認められ、便秘のある患者では腸閉塞や腸管穿孔のおそれもあります。

また、セベラマーの投与量は 3~9g/日(服薬錠数 12~36 錠/日)であり、患者さんにとって服薬する錠数が多いのはかなりの負担となります。

ビキサロマーはセベラマーと比較して便秘、腹部膨満等の消化器系の副作用が軽減されてはいますが、投与量は 1,500~7,500mg/日(服薬カプセル数 6~30 カプセル/日)でセベラマーと同様に服薬の数の面で負担があります。

炭酸ランタン水和物は便秘の副作用は少ないものの、嘔吐及び悪心の発現が他のリン吸着薬と比較して多く、また長期投与によるランタンの骨及び他の臓器への蓄積とその影響は明らかではありません。

透析患者は他にも服薬する薬剤数量が多く、リン吸着薬の服薬錠数の負担の増大は服薬アドヒアランスの低下と血清リン濃度の上昇を引き起こすと報告されています。

Arenas MD et al., Challenge of phosphorus control in hemodialysis patients: a problem of adherence?J Nephrol. 2010 Sep-Oct;23(5):525-34.


ピートルチュアブル錠はカルシウムを含有しないため、投薬によるカルシウム負荷がありません。

また、非ポリマー性なので、ポリマー性の経口リン吸着薬(セベラマー塩酸塩及びビキサロマー)で認められる便秘や腸閉塞・腸管穿孔等の重篤な胃腸障害の発現リスクが低いと考えられています。

さらに、生体内必須金属元素である鉄を主成分としており、炭酸ランタン水和物で危惧される、生体内非必須金属元素であるランタンの長期投与に伴う骨への蓄積のような懸念は少ないと考えられます。

そのため、ピートルチュアブル錠は安全性上の懸念が少ないリン吸着薬と言えるでしょう。

またピートルチュアブル錠は、80%以上の被験者で服薬錠数が 1 回 1 錠(250mg 錠又は 500mg 錠)であり、既存の高リン血症治療薬と比較して少ない錠数で血清リン濃度低下効果を示しています。



既存の高リン血症治療薬とのリン吸着作用の比較

スクロオキシ水酸化鉄,セベラマー塩酸塩,炭酸ランタン水和物及び沈降炭酸カルシウムのリン吸着能を比較検討したデータが有ります。

この試験は臨床での効果を推測するため、消化管内の条件を模したpH3.0,5.5及び8.0にてリン吸着能を評価し、1000mgのリン酸の吸着に必要なリン吸着薬の量を求めたものです。

吸着能が高いほど少ない量ですみます。

セベラマーやスクロオキシ水酸化鉄はどの環境においても高いリン吸着作用を示したのに対し、炭酸ランタンや沈降炭酸カルシウムは環境のpHによってりん吸着能が左右されるのがわかります。

ピートルチュアブル錠 インタビューフォームより



既存の高リン血症治療薬との併用について

CKD における高リン血症の血清リン濃度管理は単剤では困難な場合があり、臨床現場ではピートルチュアブル錠と他の高リン血症治療薬が併用されることも想定されます。

沈降炭酸カルシウムについては、血液透析患者を対象としたピートルチュアブル錠との炭酸カルシウム併用試験が行われています。

その結果では併用時の安全性及び有効性に特段の問題は認められませんでした。

しかし、その他の高リン血症治療薬について併用した臨床試験成績はありません。

そのため、ピートルチュアブル錠の有効成分に含まれる鉄と既存の経口リン吸着薬の相互作用について公表資料を参考に検討されています。


有効性について、セベラマーは、微量金属元素への吸着性を in vitro 試験で検討した結果、2価及び 3 価の鉄への吸着性は示されていません。

また、米国の添付文書においても、無水硫酸鉄の薬物動態に影響を及ぼさないことが記載されています。

ビキサロマーは、陽イオンの吸着作用を in vitro 試験で検討した結果、2 価及び 3 価の鉄を含めたいずれの陽イオンもほとんど吸着しませんでした。

炭酸ランタン水和物及びクエン酸第二鉄水和物に含まれるランタン及び鉄は陽イオンであるため、ピートルチュアブル錠の有効成分に含まれる鉄と結合する可能性は低いと考えられます。

以上より、ピートルチュアブル錠の有効成分に含まれる鉄により既存の経口リン吸着薬の有効性が減弱する可能性は低いと推察されます。

しかし沈降炭酸カルシウム以外の既存の経口リン吸着薬の相互作用について直接検討した情報はないので、併用時には定期的に血清リン濃度、血清カルシウム濃度及び血清 intact PTH 濃度を測定しながら投与する必要があります。


安全性については、ポリマー製剤であるセベラマー及びビキサロマーは、水分を吸収し腸内で膨潤することにより腸管内容物の通過障害を来すおそれがあることから、便秘を発現・悪化させます。

あるいは腸管の虚血状態を悪化させ、腸管穿孔及び腸閉塞を引き起こす可能性があると考えられます。

炭酸ランタン水和物は、便秘の副作用は少ないものの、嘔吐及び悪心の発現が他のリン吸着薬に比べて高いことが報告されています。

ピートルチュアブル錠で認められている主な副作用は「軟便」及び「下痢」です。

これらの経口リン吸着薬とピートルチュアブル錠との併用時には、それぞれの薬剤に特徴的な副作用が発現する可能性があります。

クエン酸第二鉄水和物は有効成分に鉄を含有しており、主な副作用は、下痢、便秘、腹部不快感等の胃腸障害です。

さらに、クエン酸第二鉄水和物は鉄を含むことから鉄過剰や Hb の過度の増加が懸念されます。

クエン酸第二鉄水和物とピートルチュアブル錠の特徴的な副作用がいずれも下痢であることから、両剤を併用した場合は下痢の発現頻度が増加する可能性があります。

また、ピートルチュアブル錠においても血清フェリチン、トランスフェリン飽和度及び Hb の値が上昇する傾向があるので、クエン酸第二鉄水和物との併用により、血清フェリチン、トランスフェリン飽和度及び Hb が相加的に上昇する可能性は否定できません。



ピートルチュアブル錠

[効能・効果]
透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善

[用法・用量]
通常、成人には、鉄として 1 回 250mg を開始用量とし、1 日 3 回食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は 1 日 3000mg とする。



C型肝炎治療薬 ヴィキラックス配合錠 疑問解決



ヴィキラックス配合錠は、オムビタスビル水和物、パリタプレビル水和物 及びリトナビルを有効成分として含有するC型肝炎治療薬です。

オムビタスビルとパリタプレビルはC型肝炎ウイルスが体内で増殖するために必要なHCVNS5AとNS3/4Aプロテアーゼという酵素をそれぞれ阻害することにより C型肝炎ウイルスの増殖を抑制します。

リトナビルは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼの阻害剤です。

日本では、HIV感染症治療薬、つまりエイズの治療薬として使われているお薬です。


なぜ、エイズの治療薬がC型肝炎治療に使われるのでしょうか?


リトナビル自体にはC型肝炎ウイルスを退治する効果はありません。

リトナビルはヒトシトクロムP450(CYP)アイソザイムであるCYP3A阻害作用を持っています。

そのため、主にCYP3Aで代謝される他の薬の血中濃度を上昇させることがあります。


ヴィキラックス配合錠においては、この作用を利用しています。

CYP3Aで代謝されやすいパリタプレビルの血中濃度の上昇を目的として、リトナビルが配合されています。



C型肝炎ウイルス感染者は、世界で約1億7000万人、日本では150万〜200万人いると推定されています。

そしてそのうち約70%がgenotype 1 といわれています。

2015年時点、日本におけるC型慢性肝炎患者(genotype 1) に対する治療薬として、 インターフェロン製剤、リバビリン、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤であるテラプレビル、シメプレビルナトリウム、アスナプレビル及びバニプレビル、NS5A阻害剤であるダグラタスビル塩酸塩、NS5Bポリメラーゼ阻害剤であるゾホスプビルの各単剤、並びにソホスブビルとNS5A阻害剤であるレジパスビルアセトン付加物の配合剤が承認されています。

ヴィキラックス配合錠は日本で2015年8月に承認され、2015年12月以降に発売される予定です。

なお、海外では米国AbbVie Inc.により本剤の開発が進められ、「テクニヴィ(Technivie)」の名前で36カ国で承認されています。

また、ヴィキラックス配合錠とNS5B阻害剤である Dasabuvir又はリバビリンとの併用レジメンが平成27年6月時点で米国及び欧州を含め49カ国で承認されています。



ヴィキラックス投与前にはセログループ(ジェノタイプ)の検査をする必要はあるのでしょうか?

治療前にセログループ(ジェノタイプ)を確認する必要があります。

■ヴィキラックス効能効果
セログループ 1 (ジェノタイプ 1 )のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善

治療前にセログループを確認してください。

また、肝予備能、臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認してください。


ヴィキラックスと食事の影響

食後に服用するようにしましょう。

空腹時の服用に比べ、食後の服用がヴィキラックスのバイオアベイラビリティを良好に保つことが知られています。

なお、食事のカロリーや脂肪含有量は吸収に影響を及ぼしません。


ヴィキラックスを飲み忘れてしまったら

服用し忘れた場合12時間以内であれば、1回量(2錠)をなるべく空腹を避けて服用しましょう。

本来飲む時間から12時間経過して気づいた場合は、その日は服用せず、翌日から通常通り1回量(2錠)を服用してください。


ヴィキラックスの粉砕、簡易懸濁の可否

ヴィキラックス配合錠は粉砕、簡易懸濁はできません。

錠剤に特殊な処理を施し有効成分を錠剤中に分散(非晶質固体分散体)させているからです。

また、粉砕や溶解等による物理学的変化が、有効性、安全性、吸収等の薬物動態に与える影響について検討されていません。


ヴィキラックスとの併用に注意が必要な薬剤

添付文書をみると併用禁忌及び併用注意に設定されている薬が多いことに気づくと思います。

併用禁忌については以下の基準で設定されています。

  1. 本剤が併用薬剤の血中濃度を大幅に上昇させ,重篤な副作用を発現するおそれのある薬剤
  2. 本剤が併用薬剤による代謝誘導を受け,本剤の治療効果が減弱するおそれのある薬剤
  3. 臨床試験において副作用の報告があるもの

併用してはいけない薬には、カルブロックやリピトールなど生活習慣病治療によく使われる薬も該当しているので注意が必要です。






カルシウム拮抗剤との併用による末梢性浮腫(むくみ)に注意

降圧剤として使用されるカルシウム拮抗剤とヴィキラックスを併用するとリトナビルのCYP3A4阻害作用によりカルシウム拮抗剤の血中濃度が上昇する恐れがあります。

カルシウム拮抗剤は、末梢静脈よりも末梢動脈に対して強く血管拡張作用を示します。

そのため静脈と動脈との間にアンバランスが生じます。末梢動脈が拡張するのに末梢静脈拡張しないとういう状態です。

これにより毛細血管圧が上昇して血液の流れが悪くなるため、血液成分が血管外に漏れだし浮腫を生じるのです。


【追記】
アッヴィC型肝炎治療薬、FDAが医薬品表示の変更指示-患者死亡で
2015/10/23 10:24 JST (ブルームバーグ)

FDAは22日の発表資料で、「ヴィキラ・パック」もしくは「テクニヴィ」を服用している患者で肝疾患が悪化する兆しがないか医師は監視すべきだと警告した。