「ロコアテープ」はエスフルルビプロフェンとハッカ油を有効成分とする外用テープ剤です。
有効成分のエスフルルビプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬フルルビプロフェンの活性本体で、(S) -エナンチオマーです。
フルルビプロフェンは、日本において、1978年8月に「フロべン錠」として承認されて以降、現在までに、顆粒剤及び貼付剤が変形性関節症等の鎮痛・消炎を 効能・効果として承認されています。
ex.ゼポラス、アドフィード、フルルバン、ファルケンテープ
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また、フルルビプロフェンアキセチルを有効成分とした「ロピオン静注50mg」が、術後及び各種癌における鎮痛を効能・効果として1992年3月に承認されています。
ロコアテープに含まれるハッカ油は、有効成分として承認されてはいますが、当初は効能効果をもたない添加物として配合していたとのことです。
しかし、関節痛等に対する医療用医薬品及び一般用医薬品の有効成分の一つとしてロコアテープに含まれている濃度に近いハッカ油が承認され、長年使用されています。
このことから、「医薬品の承認申請に際し留意すべき事項について」(平成26年11月21日薬食審査発1121第12号) において「医薬品添加物として配合した成分であっても、その分量が薬用量に近似のものは、原則として有効成分として取扱う」とされていることを踏まえ、ハッカ油を有効成分としたという経緯があります。
変形性関節症とロコアテープ
変形性関節症は、関節軟骨をはじめとする関節構成体の退行変性に起因して、膝関節や股関節等の四肢関節、手指関節、脊椎等で疫痛、腫肢、変形及び可動域制限等の症状が生じます。
変形性関節症の治療の中心は保存的療法による症状の進行遅延と症状の軽減です。
保存的療法には非薬物療法(運動療法、減量、患者教育等)と薬物療法があります。
薬物療法では主にNSAIDsが用いられています。
「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン」 (日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会2015年4月)において、 NSAIDs経口剤は、推奨度A (行うように強く推奨する) とされ、変形性膝関節症患者の疫痛緩和に有効であるとのエビデンスを有していますが、消化管障害のリスクが高いとされています。
NSAIDs外用剤は、推奨度 B (行うよう推奨する) とされ、NSAIDs外用剤の疫痛緩和に関する有効性は治療開始2週間以内においてのみ認められるが、治療開始第1週までの効果はNSAIDs経口剤に比べて劣ることが示されています。
上記ガイドラインにおけるNSAIDs外用剤の位置付けは、NSAIDs経口剤の追加又は代替薬とされています。
つまり、NSAIDs外用剤は有効性という点ではまだ改善の余地があるといえます。
ロコアテープは既に承認されているNSAIDs貼付剤の有効性を改善することを目標に、経皮吸収性及び標的組織移行性を向上させた新たなNSAIDs貼付剤として開発されました。
開発過程において、ロコアテープ2枚貼付時のエスフルルビプロフェンの全身暴露量が「フロべン錠40」と同程度になることが示唆されました。
そのため、「フロべン錠40」と同様の安全性リスクを有する可能性が考えられました。
貼付剤は患者さんが1回に複数枚を使用する可能性の高い製剤です。
そのため過剰投与につながるおそれがあります。
変形性関節症は定期的に医師の診察がなされ、適正使用の状況が把握しやすいと考えられることからフルルビプロフェン貼付剤の適応疾患のうち、変形性関節症を対象に絞り申請されました。
なお、ロコアテープは2015年7月時点で、海外における開発は行われていません。
日本のみの発売です。
ロコアテープを膝変形性関節症患者の膝に貼付した時、滑膜、関節液及び血漿中の未変化体濃度はラセミ体のフルルプロビフェン貼付剤投与時の未変化体濃度と比較して高かったという臨床試験データがあります。
また、ロコアテープ2枚貼付時の未変化体の全身暴露量は「フロべン錠40」及び「ロピオン静注50mg」投与時の未変化体の推定値と同程度でしたが、変形性膝関節症患者を対象とした長期投与試験において、多くの被験者で、ロコアテープ単独貼付にて、約1年まで治療継続が可能であり、2枚までの貼付において安全性上の大きな問題は認められませんでした。
ただし、フルルプロビフェン貼付剤より消化管障害の発現が高い可能性が示唆されていることや、ロコアテープ2枚貼付時の全身暴露量はフルルプロビフェン貼付剤を上回り、「フロべン錠40」及び「ロピオン静注50mg」の投与時と同程度になることが示唆されたことを踏まえるとすでに承認されている他のNSAIDs経口剤と同程度の安全性リスクを有する可能性があります。
このことからロコアテープはNSAIDs経口剤の追加薬として使用することは避ける必要があります。
そしてさらに1回2枚までという貼付枚数とNSAIDs経口剤との併用等に係る適正使用が遵守されることが重要で、十分な注意喚起が必要な薬剤です。
「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン」 (日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会2015年4月)において、 NSAIDs経口剤は、推奨度A (行うように強く推奨する) とされ、変形性膝関節症患者の疫痛緩和に有効であるとのエビデンスを有していますが、消化管障害のリスクが高いとされています。
NSAIDs外用剤は、推奨度 B (行うよう推奨する) とされ、NSAIDs外用剤の疫痛緩和に関する有効性は治療開始2週間以内においてのみ認められるが、治療開始第1週までの効果はNSAIDs経口剤に比べて劣ることが示されています。
上記ガイドラインにおけるNSAIDs外用剤の位置付けは、NSAIDs経口剤の追加又は代替薬とされています。
つまり、NSAIDs外用剤は有効性という点ではまだ改善の余地があるといえます。
ロコアテープは既に承認されているNSAIDs貼付剤の有効性を改善することを目標に、経皮吸収性及び標的組織移行性を向上させた新たなNSAIDs貼付剤として開発されました。
開発過程において、ロコアテープ2枚貼付時のエスフルルビプロフェンの全身暴露量が「フロべン錠40」と同程度になることが示唆されました。
そのため、「フロべン錠40」と同様の安全性リスクを有する可能性が考えられました。
貼付剤は患者さんが1回に複数枚を使用する可能性の高い製剤です。
そのため過剰投与につながるおそれがあります。
変形性関節症は定期的に医師の診察がなされ、適正使用の状況が把握しやすいと考えられることからフルルビプロフェン貼付剤の適応疾患のうち、変形性関節症を対象に絞り申請されました。
なお、ロコアテープは2015年7月時点で、海外における開発は行われていません。
日本のみの発売です。
ロコアテープの安全性
1回2枚までしか貼れない理由ロコアテープを膝変形性関節症患者の膝に貼付した時、滑膜、関節液及び血漿中の未変化体濃度はラセミ体のフルルプロビフェン貼付剤投与時の未変化体濃度と比較して高かったという臨床試験データがあります。
また、ロコアテープ2枚貼付時の未変化体の全身暴露量は「フロべン錠40」及び「ロピオン静注50mg」投与時の未変化体の推定値と同程度でしたが、変形性膝関節症患者を対象とした長期投与試験において、多くの被験者で、ロコアテープ単独貼付にて、約1年まで治療継続が可能であり、2枚までの貼付において安全性上の大きな問題は認められませんでした。
ただし、フルルプロビフェン貼付剤より消化管障害の発現が高い可能性が示唆されていることや、ロコアテープ2枚貼付時の全身暴露量はフルルプロビフェン貼付剤を上回り、「フロべン錠40」及び「ロピオン静注50mg」の投与時と同程度になることが示唆されたことを踏まえるとすでに承認されている他のNSAIDs経口剤と同程度の安全性リスクを有する可能性があります。
このことからロコアテープはNSAIDs経口剤の追加薬として使用することは避ける必要があります。
そしてさらに1回2枚までという貼付枚数とNSAIDs経口剤との併用等に係る適正使用が遵守されることが重要で、十分な注意喚起が必要な薬剤です。