薬指、小指に多く見られますが、他の指や足の裏にもできることがあります。
出典:日本手外科学会「手外科シリーズ 17」 |
痛みや腫れなどはありません。
手のひら(手掌)の皮下にある線維性の手掌腱膜(しゅしょうけんまく)の繊維(コラーゲン)が異常増殖する疾患です。
筋線維芽細胞等から産生されたコラーゲンが異常に沈着することで、手掌腱膜に結節や拘縮索が形成されます。
病態が進行すると、指が曲がったまま伸ばしにくくなり、日常生活に影響がでてきます。
日本でのデュピュイトラン拘縮に対する主な治療法は手術療法です。
しかし手掌や指を皮切して病変組織を切除又は切開するので、侵襲性が高く、手術による神経損傷や動脈損傷等の合併症の問題があります。
さらに手術療法には、手術手技の難易度が高いこと、手術後の固定やリハビリテーションが必要であり機能回復まで時間を要すること、再発時の再手術のリスクが高いこと等の問題点もあります。
ザイヤフレックス注射用による治療は拘縮索への注射と伸展処置のみで手術に比べて侵襲性が低く、手の機能に影響を及ぼす合併症の発現割合は低く安全性は高いと考えられます。
デュピュイトラン拘縮(日本整形外科学会) https://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/dupuytrens_contracture.html
デュプイトラン拘縮(日本形成外科学会) http://www.jsprs.or.jp/member/disease/extremities_malformation/extremities_malformation_08.html
Dupuytren's Disease, p.59-116, Martin Dunitz Ltd; 2000 http://www.amazon.co.jp/Dupuytrens-Disease-Marie-A-Badalmente/dp/1853174750
Rayan GM. Dupuytren disease: Anatomy, pathology, presentation, and treatment. J Bone Joint Surg Am 89: 189-198, 2007 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17256226
ザイヤフレックス注射用は、クロストリジウム属の細菌のクロストリジウム ヒストリチクム由来のコラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼ クロストリジウム ヒストリチクムを有効成分とする注射剤です。
コラゲナーゼ クロストリジウム ヒストリチクムは、基質特異性の異なる 2 種類のコラゲナーゼ(クラス I コラゲナーゼ及びクラス II コラゲナーゼ)を含有しています。
これら2種類のコラゲナーゼが相補的に作用することにより、効率よくコラーゲン分子を加水分解すると考えられています。
コラゲナーゼ クロストリジウム ヒストリチクムをデュピュイトラン拘縮索に投与することにより、コラーゲンを主成分とする拘縮索を破断し、デュピュイトラン拘縮に対する効果を示すと考えられています。
指の伸展不足角度は、指角度計で測定することができます。
伸展不足角度が5度以下であれば指の伸展制限がほぼ解消された状態と判断され治療成功とされます。
国内臨床試験では、薬剤最終投与後30日後に治療成功した割合は、投与された85%でした。
また、投与回数は平均で1.2回でした。
治療成功の鍵は、指の伸展処置(リハビリ)です。
リハビリ時に局所麻酔をかけてでも、大きな力で伸ばして、拘縮索を破断することで成功率は上昇すると考えられます。
発売されて4年で約6万人に投与されています。
その4年間に約2,300 件の副作用報告がありました。
件数が多かった重篤な副作用は「腱断裂」(45 件)及び「裂傷」(15 件)で、これら以外の重篤な副作用はいずれも 3 件以下でした。
かつ、ザイヤフレックス注射用の治療手技等に関する講習の受講が条件となります。
講習内容は、本薬の調製方法、投与部位、投与方法、指の伸展処置の方法、副作用発現時の対応等です。
受講資格は、一般社団法人日本手外科学会認定手外科専門医の方のみとなります。
デュピュイトラン拘縮研究会が制定した「デュピュイトラン拘縮酵素注射療法」適正使用講習を受講し、修了試験に合格された方には「デュピュイトラン拘縮酵素注射療法」適正使用講習修了証が発行されます。
デュピュイトラン拘縮研究会 http://www.dck.jp/activities/system.html
コラゲナーゼ クロストリジウム ヒストリチクムは、基質特異性の異なる 2 種類のコラゲナーゼ(クラス I コラゲナーゼ及びクラス II コラゲナーゼ)を含有しています。
これら2種類のコラゲナーゼが相補的に作用することにより、効率よくコラーゲン分子を加水分解すると考えられています。
コラゲナーゼ クロストリジウム ヒストリチクムをデュピュイトラン拘縮索に投与することにより、コラーゲンを主成分とする拘縮索を破断し、デュピュイトラン拘縮に対する効果を示すと考えられています。
治療効果
デュピュイトラン拘縮の治療目標は、指の伸展の制限を軽減し日常生活動作障害を改善することにあります。指の伸展不足角度は、指角度計で測定することができます。
伸展不足角度が5度以下であれば指の伸展制限がほぼ解消された状態と判断され治療成功とされます。
国内臨床試験では、薬剤最終投与後30日後に治療成功した割合は、投与された85%でした。
また、投与回数は平均で1.2回でした。
治療成功の鍵は、指の伸展処置(リハビリ)です。
リハビリ時に局所麻酔をかけてでも、大きな力で伸ばして、拘縮索を破断することで成功率は上昇すると考えられます。
安全性
ザイヤフレックス注射用は2010年3月から、アメリカでは既に使用されています。発売されて4年で約6万人に投与されています。
その4年間に約2,300 件の副作用報告がありました。
件数が多かった重篤な副作用は「腱断裂」(45 件)及び「裂傷」(15 件)で、これら以外の重篤な副作用はいずれも 3 件以下でした。
使用できる医師が限定されます
使用できる医師は手外科専門医に限定されます。かつ、ザイヤフレックス注射用の治療手技等に関する講習の受講が条件となります。
講習内容は、本薬の調製方法、投与部位、投与方法、指の伸展処置の方法、副作用発現時の対応等です。
受講資格は、一般社団法人日本手外科学会認定手外科専門医の方のみとなります。
デュピュイトラン拘縮研究会が制定した「デュピュイトラン拘縮酵素注射療法」適正使用講習を受講し、修了試験に合格された方には「デュピュイトラン拘縮酵素注射療法」適正使用講習修了証が発行されます。
デュピュイトラン拘縮研究会 http://www.dck.jp/activities/system.html
講習を修了した医師及び当該医師の所属する医療機関はデータベースに登録され、本薬の納入は講習を修了した医師が所属する医療機関のみへの納入が許可されます。
なお、欧米の市販後においても同様の方策がとられているようです。
ザイヤフレックス注射用
[効能・効果]
デュピュイトラン拘縮
[用法・用量]
通常、成人には、コラゲナーゼ(クロストリジウム ヒストリチクム)として0.58mg を中手指節関節又は近位指節間関節の拘縮索に注射する。効果が不十分な場合、投与した拘縮索に対する追加投与は 1 ヵ月間の間隔をあけ、最大 3 回までとすること。
[承認条件]
- 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
- 本剤についての講習を受け、本剤の安全性及び有効性を十分に理解し、本剤による治療方法に関し精通した医師によってのみ用いられるよう、必要な措置を講じること。