プラビックス後発品の意外な事実:日経メディカル
クロピドグレルには、他の多くの医薬品と同様、複数の結晶形(結晶多形)があり、先発品には「2型」と呼ばれる結晶が使われている。先発品を販売するサノフィは、2型結晶に関する特許を保有しており、この「結晶特許」は2024年まで有効だ。そのため後発品メーカーは、この特許を侵害しない形で後発品を作らなければならない。
結晶多形が異なると効果や安定性などに影響はないのだろうか。
結晶多形について調べてみました。
結晶多形(けっしょうたけい)とは、同一化合物が異なる結晶構造を示すもののことです。
固形の医薬品の多くは結晶の形で存在しています。結晶が小さくなると粉状に見えます。
結晶の中は目では見ることはできません。
電子顕微鏡で見ると分子が三次元的に規則正しく並んでいる状態をとっています。
医薬品の分子は複雑な構造を持つものがほとんどです。
見た目は同じ粉に見えます。
しかし、中の分子が異なる並び方をした結晶の形が存在します。
一般的に医薬品が分子の形に溶けて、体内に吸収されて効果を現すので、結晶の状態なんて関係ないと思いますよね?
でも、結晶の中で分子の並びが異なっていることで、医薬品の保存に対する安定性や、水に溶けるときのスピードも変わってきます。
結晶多形が原因でトラブルになった事例にアボット社のノービアカプセルの事例があります。
ノービアカプセルは発売後に結晶多形が出現し溶出性が規格以下に低下したため、回収され、一時出荷中止になりました。
患者さんに一定の性能を提供するためには、錠剤などの製剤中で結晶形が変わらないようにしなくてはなりません。
これは、先発医薬品と全く同じオーソライズドジェネリックを選ぶ一つの考え方かも知れません。
J. Bauer, S. Spanton, R. Henry, J. Quick, W. Dziki, W. Porter, J. Morris, Ritonavir: An extraordinary example of conformational polymorphism, Pharm. Res., 18, 859–866 (2001).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11474792
ノ-ビア・カプセル(リトナビル)製造一時中止について
http://www.lap.jp/lap2/nlback/nl24/nl24-2.html
ちなみに、医薬品の特許が切れるというのは、「物質としての特許」が切れたことを指すのがほとんどです。
結晶形に工夫を施すような特別な製造方法ですと、その結晶形や製造方法が権利化され特許で守られることになります。
そのため「物質としての特許」が切れても後発品が販売できないということが起きるのです。