2015年ワックスネートが復活するらしいのです。
正確には、ワックスネートの後発品が発売されるとのことです。
もうこれで、耳垢水つくらなくてすむヨ。
製造販売取得に関するお知らせ(セオリア ファーマ株式会社)
http://www.ceolia.co.jp/news/2015/02/19/1118
ワックスネート(寿製薬=ゼリア新薬工業)とは2003年頃まで医療用に販売されていました耳アカ除去剤です。
需要の低下ならびに原料であるジオクチルソジウムスルホサクシネートの入手が難しくなったため販売中止されたと記憶しています。
ワックスネートは「耳垢の除去」という適応で販売されていた商品で、同様の効果を示す医療用医薬品は他には販売されていませんでした。
そのため、院内製剤である耳垢水(ていねい水、CeruminalWater、ZerminalWasrr)を調合するしかありませんでした。
Rp.
炭酸水素ナトリウム 5g
グリセリン 25 mL
滅菌精製水 全量100mL
ジオクチルソジウムスルホサクシネートの作用機序
成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネートは界面活性剤、いわゆる洗剤です。
ジオクチルソジウムスルホサクシネートの作用機序を簡単に言うと水分との仲介役です。
カリカリの耳アカに水分が馴染むようにします。
つまり、耳アカの表面張力を低下させ、水分を耳アカに浸透させて軟らかくする作用です。
Clinical practice guideline : Cerumen impaction. Otolaryngology-Head and Neck Surgery, 139, S1-S21, 2008
http://oto.sagepub.com/content/139/3_suppl_1/S1.long
使い方
綿棒などで塗って使用します。
綿棒が入らない場合には数滴、直接耳へ垂らしてもよいです。
その後5分~20分後にぬるま湯(37℃)で洗います。
頑固な耳アカが耳を塞いでいる場合は1日3回、1~2日連続して耳に直接数滴垂らします。
そしてぬるま湯で(37℃)洗いながします。
1回分の量はどの程度なのか?
耳の穴の深さや耳垢のおおきさによってまちまちで、1回分の分量を決めることはできません。
しかし、臨床試験での用量が参考にできます。
臨床試験では1回0.5mLが使用されました。
1回0.5mLだとすると、製剤1本で20回分という計算となります。
1滴はどのくらいの量なのか?
この薬剤の表面張力は 25.17~26.62 mN/m を示し、水の表面 71.96 mN/m と比べて著明な表面張力低下能を示します。
つまり、水のような大きな雫(しずく)はできません。
1滴落とそうとすると、どばっと出てきます。
また、1適量も安定せず、1滴がいくらかを明らかにするのは無意味だといえるでしょう。
その他特徴
院外処方できます。
ワックスネートが使用されていた時は、院内での処置薬としての使用がほとんどでした。
最近は在宅医療も進んでおり、院外処方されるケールもあると思われます。
その際の病名は「耳垢栓塞 じこうせんそく」。
毎日使用するような薬剤ではないですので通常1回の処方で1本が妥当です。
なお、ジオクチルソジウムスルホサクシネート耳科用液5%は診療報酬上の後発品ですので、新医薬品の14日処方制限には該当せず、発売日から長期の処方は可能です。
注意
開封後はお早めに
防腐剤が入っていませんので、開封後は10日以内に使用するようにしましょう。
また、この薬の成分は界面活性剤、つまり洗剤です。
洗剤が空気に触れるとその洗浄力が落ちるのと同じように、薬剤の界面活性効果も日が経つに連れて低下していきます。
開封後時間が経ちすぎたものは使わないほうがよいでしょう。
副作用
掻痒感、外耳道発赤、疼痛、皮膚炎、かぶれがあることがあります。
痒みやかぶれが出た場合は水でよく洗いましょう。
洗剤に対し、皮膚が弱い方は気をつけておいたほうがいいでしょう。
禁忌
鼓膜に穴があいている人へは投与することができません。