「エクリラ400μgジェヌエア30吸入用、60吸入用」は長時問作用性ムスカリン受容体遮断薬(LAMA)であるアクリジニウム臭化物を有効成分とした定量式吸入用散剤です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を効能効果としています。
COPDはタバコ煙を主とする有害物質を長期に暴露することで生じる肺の炎症性疾患です。
以前は、肺気腫や慢性気管支閉塞症とも呼ばれていました。
肺へ続く空気の通り道が病期の進行とともにどんどん狭くなっていく病気です。
症状の特徴としてからだを動かした時の息切れや慢性の咳、痰です。
安定期のCOPDの薬物治療の中心は気管支拡張薬です。
長時間作用する気管支拡張薬は、主に中等症以上のCOPDに対して定期的な使用が推奨されています。
日本呼吸器学会.COPD (慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版2013、
Global Strategy for Diagnosis, Management, and Prevention of COPD update2014
(2015年3月時点)日本でCOPDに使用されている単剤の長時間作用性気管支拡張薬の吸入剤には、LAMAのチオトロピウム臭化物水和物(スピリーバ)とグリコビロニウム臭化物(シーブリ)があります。
長時間作用性β2刺激薬(LABA)のサルメテロールキシナホ酸塩(セレベント)、インダカテロールマレイン酸塩(オンブレス)やホルモテロールフマル酸塩水和物(オーキシス)があります。
エクリラは、新規のLAMAとしてCOPD治療の選択肢を増やすことを目的に開発されました。
海外では、2014年10月時点において、アメリカをはじめ世界42力国でCOPDの治療薬として承認されています。
特徴
エクリラは1日2回投与。他の日本で販売されているLAMAはすべて1日1回投与(2015年3月時点)です。
何度も吸いたくないという方には不向きかもしれません。
エクリラはチオトロピウム(スピリーバ)との比較試験を行っています。
エクリラを夜に投与した後の呼吸機能を表すFEV1の経時推移は、チオトロピウムを上回っていました。
このことから他のLAMAと比べて夜や早朝の症状改善をもたらす可能性が期待できると考えられます。
COPD患者さんは日中だけでなく夜間にも症状があり、なかなか寝つけないといった問題や、息苦しくて目が覚めてしまうというような起床時の症状が最も問題となっています。
Agusti A et al(2011)Night-time symptoms: a forgotten dimension of COPD. Eur Respir Rev. 20: 183-194,
Partridge MR et al.(2009)Patient insight into the impact of chronic obstructive pulmonary disease in the morning: an internet survey. Curr Med Res Opin. 25: 2043-2048,
夜や早朝の症状を改善することは、日中の症状を和らげたり、重症化を防ぐことにも繋がります。
つまり、COPD のトータルコントロールができるようになるということです。
さらに、アクリジニウムは他のLAMAのように腎排泄型ではありません。
重度の腎疾患を有する患者に対しても使用できる可能性があり、COPDの方に多い高齢者に適しているかもしれません。
吸入デバイスが特徴的です。
吸入デバイス「ジェヌエア」はユニバーサルデザイン賞2015を受賞しています。
眼と耳で吸入完了をお知らせします。
薬剤を吸い込むと吸入口上についた窓の色が「カチッ」という音とともに変化します。
特殊な制御機能によって、空打ちができないようになっていて、重複吸入や空吸入を防止できます。
効能・効果
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
用法・用量
通常、成人には1回1吸入(アクリジニウム臭化物として 400 μg)を1日2回吸入投与する。