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2015年3月27日金曜日

クリンダマイシン1%-過酸化ベンゾイル3%ゲル(デュアック配合ゲル)





デュアック配合ゲルは、グラクソ・スミスクラインのニキビ治療薬です。

リンコマイシン系抗菌薬のクリンダマイシンリン酸エステル(ダラシンTゲル)と、酸化剤の過酸化ベンゾイル(類薬:ベピオゲル)を 3%含有する配合ゲルです。



世界では現在16ヵ国で承認されていて(2015年3月時点)、ニキビのワールドスタンダードな治療薬として認知されています。


欧州皮膚科学会のガイドラインでは、軽症から中等症の炎症性皮疹に対しては、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシン外用剤との配合剤が最も推奨されています。


欧州皮膚科学会の尋常性ざ瘡治療ガイドライン
J Eur Acad Dermatol Venereol 26: 1-29, 2012



デュアック配合ゲルの作用機序

デュアック配合ゲルには、ニキビ菌(アクネ菌)の増殖を抑える、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルの2つの成分が配合されています。


この2つの成分は異なる作用で、ニキビ菌が増えるのを抑えます。


クリンダマイシンは、ニキビ菌が増殖するのに必要なタンパク質の合成を阻害することにより、菌の増殖を抑制します。


さらに、菌がつくり出すリパーゼという酵素を抑制します。


そして、炎症を引き起こす原因となる皮脂中の遊離脂肪酸を減少させ、抗炎症作用を発揮します。




過酸化ベンゾイルには角質剥離作用、いわゆるピーリング効果があります。


また、ニキビ菌の細胞膜にくっつき、膜の必須構成成分を酸化することで、抗菌作用を発揮します。


さらに過酸化ベンゾイルは、白血球からの活性酸素放出を抑制し、毛包壁の破壊を防いで炎症の悪化を抑制します。


 

相乗効果で耐性菌にも効果あり

デュアック配合ゲルはクリンダマイシンに過酸化ベンゾイルを配合することで、非炎症性のニキビ(白ニキビ・黒ニキビ)から炎症性ニキビ(赤ニキビ・膿ニキビ)への進展を防ぎ、炎症性皮疹の重症化を阻止することができると考えられています。


また、1種類の抗菌薬を長期に使用していると、抗菌薬が効かなくなる耐性菌が出現する恐れがあります。


耐性菌は治療効果の低下を引き起こします。


海外において、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイル配合ゲルは、耐性菌にも効果を発揮し、菌量を減少させることが報告されています。

Jackson JM,et al.A randomized, investigator-blinded trial to assess the antimicrobial efficacy of a benzoyl peroxide 5%/ clindamycin phosphate 1% gel compared with a clindamycin phosphate 1.2%/tretinoin 0.025% gel in the topical treatment of acne vulgaris.J Drugs Dermatol.2010;9:131-136.

Langner A,et al.A randomized, single-blind comparison of topical clindamycin + benzoyl peroxide and adapalene in the treatment of mild to moderate facial acne vulgaris.Br J Dermatol.2008;158:122-129.


これまで、抗菌剤を塗ってもなかなか治りづらい人は、耐性菌のせいかもしれません。


そのような人におすすめです。




どの程度の効果があるのか


臨床試験では以下の様なデータがでています。


2週間塗り続けたところ炎症性皮疹数(平均値)が56.3%減少しました。


12 週間で炎症性皮疹数が81.0%減少しました。




デュアック配合ゲル使用にあたり注意したいこと


たくさん塗っても上乗せ効果は期待できません!
副作用だけが増えます。
皮膚刺激が増すおそれがあるので注意しましょう。


使用中に皮膚がはがれたり、赤くなったり、刺激感等があらわれることがあります。
このような症状が出たら使用を一旦中止して、お医者さんか薬剤師に相談しましょう。


人によっては稀に全身性の過敏反応や重度の皮膚刺激症状が認められる場合があります。
このような症状が出たら使用を一旦中止して、お医者さんか薬剤師に相談しましょう。


ニキビに過度な日光は禁物です。
使用中は日光浴や陽の光のあたりすぎには注意しましょう。
日焼けランプの使用や紫外線療法は避けましょう。


毛髪や着色、染色された布織物を色落ちさせることがります。
毛髪、布織物、家具及び絨毯に付着しないように十分注意してください。


薬を口に入れたり食べたりしないようにしましょう。
口の中、眼、口唇、その他の粘膜、ニキビ以外の傷がある皮膚には使用しないようにしましょう。
これらの部位に薬剤が付着した場合は水で洗い流しましょう。


12週間を超えて塗り続けるのは避けたほうがいいかもしれません。
12週間を超えて塗り続けた治験が行われておらず安全性について不明です。
治療の一つの区切りが3ヶ月であると認識してください。




妊婦や授乳婦への投与


クリンダマイシン、過酸化ベンゾイルはいずれも赤ちゃんに対してもほとんど悪影響を及ぼさないことが示されています。


しかし、妊娠中の使用に関する影響はないと考えられるものの、100%安全とは言い切れませんので、どうしても治療しなければいけない場合に限っての使用に留めたほうがいいでしょう。



母乳中に薬の成分がどの程度出てくるか不明ですので、授乳中には使用しないことが望ましいです。


やむを得ず使用する場合には授乳を避けてください。


保管方法


冷蔵庫に保管しましょう。

3ヶ月以上室温に保管していたモノは有効成分が減っていたという報告があります。

また30度以上だと2ヶ月もたなかったというデータもあります。



数日、冷蔵庫にしまい忘れても問題はないと思います。室温に出しておくなら1ヶ月以内には使い切るようにしましょう。



デュアック配合ゲル
効能又は効果
<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、アクネ菌
<適応症>
尋常性ざ瘡

用法及び用量
1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する。


尋常性ざ瘡(にきび)治療配合剤「デュアック®配合ゲル」承認のお知らせ(グラクソ・スミスクライン)


2015年3月26日木曜日

週1回服用糖尿病治療薬 トレラグリプチン(ザファテック錠)





トレラグリプチン(ザファテック錠)は、世界初の週1回投与のDPP-4阻害剤です。


インクレチンというホルモンが血糖調節に重要な役割を担っています。

DPP-4阻害剤は、インクレチンを分解してしまうDPP-4という酵素の働きを邪魔することでインスリンの分泌を血糖値に応じて高め、血糖値をコントロールするお薬です。

これまでのDPP-4阻害薬は毎日飲み続ける必要がありました。


2型糖尿病患者さんはさまざまな理由から忙しい毎日を送っており、生活に支障なく自分のライフスタイルに合った治療を求めています。また、医師が思う以上に2型糖尿病患者さんの負担は多様であり、それには心理的な負担も大きく関係していました。一方で、医師が考える以上に、2型糖尿病患者さんは治療と生活の両立について医師に積極的に相談できておらず、服薬コンプライアンスを守れていないケースも見受けられました。

2型糖尿病治療とライフスタイルに関する調査(日本イーライリリー)


糖尿病治療薬を決められた服用回数を守ることはとても難しいです。新規処方での服薬遵守率は約70%であると報告があります。

Michael A. Fischer,et al. Primary Medication Non-Adherence: Analysis of 195,930 Electronic Prescriptions. J Gen Intern Med. 2010 Apr; 25(4): 284–290



このように、糖尿病の薬を毎日飲み続けるのは大変です。
薬を飲んでいないのを先生に悟られるのが嫌で、病院に行くのをやめてしまった方を知っています。さらに、決められた薬を決められた回数のまず、腎臓を悪くされた方もいらっしゃいます。


ザファテック錠は、そんな糖尿病患者さんたちの福音となるのでしょうか。



トレラグリプチンの特徴

アログリプチン(ネシーナ錠)25mgを1日1回投与した場合と、トレラグリプチン100mgを週1回投与した場合のHbA1cの変化を24週間にわたり調査した結果、両薬剤とも同程度の効果を示しました。
アログリプチン:-0.45% 
トレラグリプチン:-0.33%

Inagaki N et al., Once-weekly trelagliptin versus daily alogliptin in Japanese patients with type 2 diabetes: a randomised, double-blind, phase 3, non-inferiority study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Mar;3(3):191-7. doi: 10.1016/S2213-8587(14)70251-7. Epub 2015 Jan 19.



トレラグリプチン100mg以上の投与群における消失相半減期は39.0〜54.3時間,投与168時間(1週間)後のDPP-4活性阻害率は66.7%以上(800mg投与は86.91%)を維持し,用量依存性が認められた。

週1回投与で血糖改善示す,新規DPP-4阻害薬trelagliptin(MT Pro)





追記:
2型糖尿病治療剤「ザファテック®錠」の日本における製造販売承認取得について(武田薬品工業)

2015年5月薬価収載予定です。

2015年3月24日火曜日

タケキャブ錠はピロリ除菌でクラリスロマイシとを併用するが併用注意の理由




タケキャブ錠の添付文書を見ると

タケキャブ錠はCYP3A4阻害剤と併用注意となっています。

しかし、ピロリ除菌ではアモキシシリンとCYP3A4阻害作用のあるクラリスロマイシンと併用することになります。


少し不安な気持ちになりますが、併用注意となった経緯を知れば安心して処方(服薬・調剤)できると思います。



国内の臨床試験において、CYP3A4阻害剤のクラリスロマイシンとタケキャブ(ボノプラザン)を併用投与すると、ボノプラザンの血中濃度が1.8倍近く上昇したというデータが有ります。

海外の臨床試験データでも同様に血中濃度が上昇していました。


しかし、ボノプラザンの血中濃度上昇と有害事象の発現率は相関は認められず、通常の倍量となる1日40mg投与したした場合の有害事象の発現率はランソプラゾール30mgを投与したものと同程度であったという報告があります。

また、臨床試験において、ボノプラザン20mg、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン200mg or 400mgを1日2回投与した場合の有害事象発現割合はランソプラゾールの除菌療法と同程度でした。


このように、ボノプラザンとCYP3A4阻害剤の併用は、臨床上安全性に懸念はないといえます。


安全性に問題はないとしても、それはクラリスロマイシンとの併用試験の結果であって、クラリスロマイシンよりもCYP3A4阻害作用の強い薬剤については、現時点では明らかになっていません。

また、ボノプラザンと併用されるCYP3A4阻害剤は1剤とは限りません。

ピロリ除菌と一緒にグレープフルーツジュースを飲んだり、水虫治療にイトラコナゾールが処方されるかもしれません。

このような場合、ボノプラザンに及ぼす併用薬の影響は未知ですので、十分注意しましょう。という理由で、ボノプラザンとCYP3A4阻害薬は併用注意となっています。


ピロリ除菌以外にもお薬を飲む場合には、飲み合わせに注意しましょう。

コンパニオン診断薬



コンパニオン診断薬の定義

コンパニオン診断薬(Companion Diagnostics;CDx、CoDx)は、特定の医薬品の有効性や安全性を一層高めるために、その使用対象患者に該当するかどうかなどをあらかじめ検査する目的で使用される診断薬。例えば、「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」という効能効果を有する抗がん剤の使用前に、その患者さんがALK融合遺伝子陽性かどうかを検査するために用いる診断薬が該当します。

コンパニオン診断薬WG(PMDA)


特定の薬剤の有効性や安全性に関する患者集団を特定するための患者層別マーカーを測定する診断薬は、コンパニオン診断薬(以下 CoDx)と呼ばれる。

林邦彦.コンパニオン診断薬の現状と課題.政策研ニュース No.34、2011


コンパニオン診断薬等とは、特定の医薬品の有効性又は安全性の向上等の目的で使用する次のいずれかに該当するものであって、当該医薬品の使用に不可欠な体外診断用医薬品又は医療機器(単に疾病の診断等を目的とする体外診断用医薬品又は医療機器を除く。)であること。
(1)特定の医薬品の効果がより期待される患者を特定するための体外診断用医薬品又は医療機器 
(2)特定の医薬品による特定の副作用について、それが発現するおそれの高い患者を特定するための体外診断用医薬品又は医療機器 
(3)特定の医薬品の用法・用量の最適化又は投与中止の判断を適切に実施するために必要な体外診断用医薬品又は医療機器

コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請に係る留意事項について. 薬食審査発0701第10号,2013.7.1.



これまでに開発されてきた医薬品の多くは、広く多くの方に使ってもらうことを念頭にしており、患者さんの個人差を考慮していませんでした。

さらに、特定の病気の平均的集団に対する有効性に関する統計的な情報を基に、一律的な用法及び用量で使用されています。

実際には、患者さんによっては薬効が不十分であることや、好ましくない副作用が認められる場合が稀にあります。


そのため、患者さんの遺伝子やタンパク質等を調べて得られる情報を基に、最適な治療法を患者さんにに提供する個別化医療が進展しています。

これをオーダーメード医療ともいいます。

治療に際して治療薬の選択等に用いられる診断薬の重要性が高まりをみせていまして、コンパニオン診断薬の実用化のための前向きな姿勢が打ち出されています。



分子標的薬と、その治療薬の効果あるいは副作用のリスクを予測するための体外診断用医薬品(コンパニオン診断薬)の同時開発を推進する。
医薬品審査と連携したコンパニオン体外診断用医薬品の評価手法に関する研究を推進する。また、特に新薬については、原則として、コンパニオン診断薬との同時審査の体制を整える。

「健康・医療戦略」2013年6月14日、内閣官房長官他大臣の申合せ

2015年3月19日木曜日

使用期限の表示がない医薬品がある





一般的に、医療用医薬品は、未開封の状態で適切な保存条件下であれば3年間は品質を確保できるとされています。

3年以内に経時変化によって分解または変質、腐敗等、薬効が減少するとみられる医薬品については、品質が保証できる期間を知らせなくてはいけない、ということで「有効期間」を直接の容器または被包に記載が義務付けられています。

また、「有効期間」の終点を「有効期限」といい、年月で表記されます。

該当製品は、医薬品医療機器等法(薬機法第41条)日本薬局方収載医薬品、および薬機法第42条第1項に基づいて定められた生物学的製剤、放射性医薬品、生物由来原料、体外診断用医薬品、血液型判定用抗体及び薬機法第2条第9項に定めた再生医療等製品です。



3年以上有効性が安定であれば、その有効期間(期限)を記載する必要はないのですが、食品にはなんでも賞味期限が書いてあるご時世です。

書いてなければ、「じゃぁ、いつまで使えるのだ」ということになります。

それでは、いけないということで3年以上安定な医薬品にも製薬会社の自主的申し合わせにより期限を表示することにしました。これが「使用期限」です。


さらに、昭和54年の薬事法改正の時に、「厚生労働大臣の指定する医薬品」については使用期限表示が義務付けられるようになりました。


3年以上の安定性があり、使用期限表示の厚生労働省の指定をされていないものについては、今でも使用期限を表示していない医薬品があります。

代表例は、モルヒネをはじめとして医療用麻薬です。


医療用麻薬は経時的に安定ですし、医療資源の有効活用、廃棄するにも行政上手続きがあり煩雑であること、などの理由によって使用期限を表示していないそうです。

もちろん、医療用麻薬でも上記のように3年以内の有効性が担保できないものには有効期間(期限)の表示がされています。

最近では3年以上安定な医療用麻薬にも自主的に使用期限を表記するメーカーが増えてきています。


出荷予定時期、製造番号情報更新のご案内(第一三共)



まとめ

  • 「有効期間」 未開封状態適正保管時3年以内の安定性が担保できないものに表示
  • 「有効期限」 有効期間の終了年月
  • 「使用期限」 未開封状態適正保管時3年以上安定な製品で厚生労働大臣の指定する医薬品またはメーカーが自主的に表示
  • 未開封状態適正保管時3年以上安定な製品で厚生労働大臣の指定する医薬品以外は任意表示

2015年3月18日水曜日

肝臓病のかゆみ治療薬 ナルフラフィン塩酸塩 (レミッチ、ノピコール)





ナルフラフィン塩酸塩は東レ株式会社によって合成されました。
選択的κオピオイド受容体作動薬に分類されるお薬です。

レミッチというお薬がありますが、これはノピコールとまったく同じ成分のお薬です。
作っている会社は同じなのですが販売している会社が違うので名前が違っています。ややこしいですね。

レミッチ、ノピコールともに軟カプセル剤です。


血液透析患者さんの痒みや、慢性肝疾患患者さんの痒みに対して使用される薬です。

簡単に言うと、「痒み止め」です。



慢性肝疾患患者さんでは、痒みを訴える人が多くいるようです。
しかし、肝臓とかゆみの関係は十分に解明されていません。


一説にはμオピオイド受容体の関与している可能性が以下の理由によって示唆されています。


胆汁うっ滞の症状を呈する肝疾患でかゆみが生じることが多いとう報告があります。

蜂須賀淳一,肝疾患のかゆみ治療, MB Derma, 173: 21-26, 2010


胆汁うっ滞を伴う代表的な疾患である原発性胆汁性肝硬変患者さんの血液を調べてみると、かゆみを訴えていた患者さんほどβエンドルフィン及びエンドモルフィン-1 という物質の血中濃度が高値を示していました。

βエンドルフィン及びエンドモルフィン-1はμオピオイド受容体作動性の内因性オピオイドとして知られています。


胆汁うっ滞を呈する患者さんの痒みに対してμオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン及びナルトレキソンが有効であることが報告されています。

Bergasa NV, Alling DW. Talbot TL, et al: Effects of naloxone infusions in patients with the pruritus of cholestasis. Ann Intern Med 123: 161-167, 1995

Wolfhagen FHJ et al,Oral naltrexone treatment for cholestatic pruritus: A double-blind, placebo-controlled study. Gastroenterology, 113: 1264-1269, 1997

Terg R et al,Efficacy and safety of oral naltrexone treatment for pruritus of cholestasis, a crossover, double blind, placebo-controlled study. J Hepatol, 37: 717-722, 2002


また、原発性胆汁性肝硬変の患者さんにに限らず、肝炎や腹水を伴う肝硬変患者さんにおいても、μオピオイド受容体作動性の内因性オピオイドの血漿中濃度が高値であることが報告されています

Thornton JR et al,Plasma leucine enkephalin is increased in liver disease.. Gut, 30: 1392-1395,1989


ナルフラフィンの作用機序

ナルフラフィンは、κオピオイド受容体アゴニストです。

κオピオイド受容体アゴニストはμオピオイド受容体とは反対の作用を示します。

つまり、κ受容体を活性させると痒みに対し抑制的にはたらきます。

Pan ZZ,μ-Opposing actions of the κ-opioid receptor. Trends Pharmacol Sci, 19: 94-98, 1998


μ受容体とκ受容体はお互い、シーソーのようにバランスを取り合っています。

バランスが保たれていれば痒みは起きないのですが、バランスが崩れ、μ受容体の活性が強くなると痒みを生じます。



痒みがあるときに、ナルフラフィンを投与するとκ受容体の活性作用により、μ受容体との活性のバランスがとれかゆみが収まると考えられています。




関連:

2015年3月16日月曜日

ルビプロストン(アミティーザ)の吐き気対策





ルビプロストン(アミティーザ)は、便秘のお薬です。

慢性便秘に悩んでおられる方に処方されるお薬です。


患者さんからは「よく出るようになった」と評判がいいのですが、服用すると気持ちが悪くなる、吐き気がするという声も聞かれます。

臨床試験の段階でも、5人に1人の割合で吐き気などが生じたという報告があります。


気持ち悪いなら、他の薬にかえてもらうよう薦めても「出るから、この薬のほうがいい」と仰る方がほとんどです。


一過性の吐き気よりも慢性的な便秘の方が辛いのですね。


打開策が無いか探してみました。



食後に服用する。

海外で実施した臨床試験において、主な副作用として認められた吐き気などの気持ち悪さですが、薬を食事の前に投与するよりも食後に投与したほうが、吐き気が起きにくくなったという報告があります。

アミティーザ インタビューフォーム
http://products.abbott.co.jp/medical/product/ppg/interview/if_amitiza.pdf

そのため、アミティーザは食後服用になっています。

「気持ち悪くなるので空腹時に飲もう」というのはマチガイです。

また、他の多くの便秘薬が寝る前に服用となっているものが多いので、勘違いしてアミティーザも寝る前に飲んでしまうかもしれないですね。

気をつけましょう。




イトプリド(ガナトン)を併用する

アミティーザと一緒に、吐き気止めや胃薬を飲むと、気持ち悪さを抑えられるかもしれません。

イトプリド(ガナトン)を一緒に服用すると、アミティーザの気持ち悪さが抑えられたという報告があります。

アミティーザのみ投与されたグループは22.7%が吐き気を訴えたのに対し、イトプリドを一緒に飲んだグループで吐き気を訴えたのは9.4%でした。

Tatsuya Abe,et al. Efficacy of Itopride in the Prevention of Lubiprostone-Induced Nausea.Open Journal of Gastroenterology, 2014, 4, 305-309
http://file.scirp.org/Html/1-1900241_49433.htm

We found that the prevalence of nausea was significantly lower in the group of patients receiving itopride with lubiprostone than that in the group receiving lubiprostone alone.


吐き気止めはナウゼリンやプリンペランが有名ドコロですが、これらとアミティーザを併用した試験は検索した中ではみつかりませんでした。



アミティーザを服用されて、吐き気などがある場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

2015年3月12日木曜日

褥瘡にオススメ 組織再生成分を強化した栄養食





組織の再生を促進する成分には、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)やグルタミン、アルギニンそしてオルニチンがあります。


アバンド(アボットジャパン)
http://products.abbott.co.jp/medical/product/ani/abound/

1パックあたり

HMB1,200mg配合
たんぱく質の機能を効果的にバックアップ
L-グルタミン 7,000mg配合
L-アルギニン 7,000mg配合
飲みやすいオレンジ味

一日当たりの摂取目安量
飲用時には、1袋を240mLから300mLの水に溶かし、すぐにお飲みください。
1日2袋を目安にお飲みください。

アルギニンやグルタミン、さらにロイシンの代謝産物のHMBを強化している栄養補助食品です。

アミノ酸の一つであるロイシンは、からだの中でHMBに代謝されます。

HMBはタンパク合成促進やタンパク質の分解抑制作用を示します。

HMBはロイシンからわずか5%程度しか産生できないといわれています。

HMBはグルタミンやアルギニンとの組み合わせにより、筋や皮膚組織の再生が期待できます。

またHMBには、過剰な炎症を調節する作用が確認されています。


健康な70歳以上の高齢者35人をアバンド投与群とアバンド投与しない群の2群にわけ、比較した検討では、14日後のコラーゲン合成の指標がアバンド投与群でアバンド投与しない群に対して67%増加していました。

Williams JZ, Abumrad N, Barbul A. Effect of a specialized amino acid mixture on human collagen deposition.Ann Surg 236: 369-374, 2002.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1422590/

アバンドによりHMBが効率よく摂取できます。

コラーゲンの合成やタンパクの合成を促進したり、タンパク分解を抑制させることにより傷口の治りが早くなると考えられています。


アボット アバンド 24g×30袋
アボット
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オルニチン(協和発酵バイオ)
http://shop.kyowahakko-bio.co.jp/Shohhin/sno_17

1粒 オルニチン約133mg含有
1日6粒を目安に、お水などと一緒にお召し上がりください。


オルニチンはコラーゲンの合成に必要なプロリンや、細胞の成長を促すポリアミンに変換されることで、傷を治癒したりや組織の形成や分裂に関わったりします。

Barbul A. Rettura G. Levenson SM. et al. Wound healing and thymotropic effects of arginine, a pituitary mechanism of action. American Journal of Clinical Nutrition 37: 786-94, 1983.
http://ajcn.nutrition.org/content/37/5/786.long

Rodwell VW. Chapter 30, Conversion of amino acids to specialized products. In Harper`s Illustrated Biochemistry 27th Edition. Edited by Murray RK. Granner DK. Rodwell VW. LANGE medical books/McGraw-Hill. NY.USA, 2006, p270-280.
http://accessmedicine.mhmedical.com/content.aspx?bookid=389&sectionid=40142507


褥瘡にしたラットでの動物実験では、オルニチン投与したものとアルギニンを2倍量投与したもので比べると、創面積比、治癒率、治療日数に関し、オルニチンを投与したもののほうが有意に良好な効果を認めました。

アルギニンの半分の量でアルギニンと同等以上の効果があり、また窒素負荷を軽減できる可能性があります。

Aoki M, Komatsu M, Ochiai M, et al. Healing Effects of Oral Administration of L-citrulline or L-ornithine in a Rat Pressure-ulcer Model-Comparison with L-arginine-. Pharmacol Ther 38: 807-816, 2010.


さらに、アルギニンと異なりオルニチンはNO(一酸化窒素)の産生に関わらないので、炎症の程度に関わらず投与が可能というメリットがあります。



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ペムノン(協和発酵バイオ)
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”アルギニン”+”グルタミン”のちから!
1スティックあたり、アルギニン2500mgに加え、グルタミン1000mgも配合しています。さらに、亜鉛10mg、ビタミンC 500mg、ビタミンA 150μgも配合。
だから、補給したい栄養素が毎日手軽に摂取できるのです。

創傷治癒に関わるグルタミン、亜鉛、ビタミンA、ビタミンCを強化しています。



〔協和発酵バイオ〕ペムノン 6g×30入り〔819-070171〕
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アイソカル アルジネード(ネスレ)
https://www.nestlehealthscience.jp/Products/arg

たんぱく質5g (含アルギニン2500mg)/パック(125ml) を配合
さまざまなビタミン、ミネラルを1パックで補給
1パック(125ml)あたり
亜鉛10mg、鉄7.0mg、銅1.0mg、セレン50μg
ビタミンA 150μgRE、ビタミンC 500mg、ビタミンE 5.0mg

・脂質ゼロなので、いつもの食事に無理なくプラス
・ほどよい酸味で飲みやすい3つの味わい
みかん味、きいちご味、青りんご味
・溶かす手間がなく、いつでも飲めるドリンク (液体) タイプ

アルギニンに加え、創傷治癒に関わるようなビタミン、ミネラルを強化しています。



2015年3月11日水曜日

フェキソフェナジン(アレグラ)が効かないという人たち






フェキソフェナジン(アレグラ)の効果が実感しにくいという声を耳にします。


そういう方たちのお話をよく聞いてみると、2つのパターンに分けられます。


食後にアレグラを服用している。


アレグラは食後に服用するとお薬の吸収が悪くなってしまい、効果を最大限発揮できません。空腹時に服用するようにしましょう。

健康成人男子22例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食)にフェキソフェナジン塩酸塩錠120mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ15%及び14%減少した。日本人においても、クロスオーバー法による検討ではないが、フェキソフェナジン塩酸塩円形錠を食後投与したときのAUC0-∞及びCmaxから外国人と同様の食事の影響が推察された。(アレグラ添付文書)


食事をする1時間~30分前か、食後2~3時間後が服用の目安です。

お医者さんも、このことを知らない方がたまにいらっしゃるので、処方せんで食後投与の指示があれば、一応ご相談させて頂いています。



※お医者さんも意図して食後投与にされている場合もあります。患者さんの都合で服用時間を変更することはおやめください。必ず医師、薬剤師へご相談ください。



胃薬・便秘の薬と一緒に飲んでいる。


アレグラは胃薬や便秘の薬に含まれている成分である、『水酸化アルミニウム』『水酸化マグネシウム』との飲み合わせが良くありません。腸の中で、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムがアレグラの成分とくっつくことで、吸収が悪くなると考えられています。

飲み合わせの悪い例

  • マーロックス懸濁用配合顆粒
  • ミルマグ

ドラッグストアでも購入できる薬にも飲み合わせが悪いものがありますので、薬剤師までご相談ください。


鼻づまりにアレグラを服用している。


アレグラは鼻づまりの改善にはほとんど期待できません。
アレグラが効かないという方の話で多いのが、「鼻づまりが全然良くならない。この薬はダメね」というものです。

そもそも、アレグラを代表として抗ヒスタミン薬という種類のお薬は、鼻づまりにはほとんど効果がありません。

抗ヒスタミン薬が得意とする症状はくしゃみと鼻みずの2つです。


鼻づまりを得意とするお薬は、ステロイドの点鼻薬(鼻スプレー)やプソイドエフェドリンいうお薬です。

プソイドエフェドリンとアレグラがひとつになったお薬があります。ディレグラ配合錠という名前です。お医者さんに処方してもらえます。
ディレグラ配合錠は一つで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3症状に対応できます。

アレグラを処方されて鼻づまりを何とかしたいという方は、いつか効くだろうと飲み続けるのではなくて、医師や薬剤師にご相談ください。



2015年3月10日火曜日

「医薬分業」を論ずる前に。考え悲喜交交。




「門前」であろうが「門内」だろうが「院内」だろうが薬剤師がやることは同じです。

薬局に株式会社という営利を認めているにもかかわらず、自由な経済活動を認めず、非営利の医療法人と同等に保護しているから資本の歪んだ集中が起きるのだと思います。




日本経済新聞
病院内に薬局OK、政府が規制緩和検討 経営の独立条件に
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H3S_W5A220C1PP8000/
政府は、病院など医療機関と薬局を分業する規制の一部を緩めることを検討する。薬局を病院の外に置く「建物規制」を緩和する。病院が出した処方箋を持って別の場所にある薬局へ行くのは、患者に不便との指摘が多い。薬局の経営が病院から独立していると認められれば、規制を緩める。


狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」(日経DI)
3月12日の公開ディスカッションを前に「薬局とは、薬剤師とは何なのか」が問われている
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/column/hazama/201503/541141.html
ご存じの方も多いかも知れませんが、来る3月12日の規制改革会議の公開ディスカッションに出席することになりました。規制改革会議の当初の議論は、保険薬局の独立性という観点と、医療機関と薬局との間のフェンスがもたらす患者さんへの不便さをどのように考えるかということが発端だったように思いますが、それが、医薬分業の手間や費用対効果、そして、薬局のサービスそのもの、さらには病院内への薬局の設置などについても話が及んでいます。


狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」(日経DI)
規制改革会議が「医薬分業」を論ずる意味
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/hazama/201502/540846.html
1月末、衝撃的なニュースが飛び込んできました。内閣府の規制改革会議が、公開ディスカッションのテーマに「医薬分業」を取り上げるというのです。

熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」(日経DI)
薬剤師の岐路となる日、刮目せよ!
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/column/kumagai/201503/541128.html
3月12日の規制改革会議「公開ディスカッション」がいよいよ2日後に迫りました。出席する狭間研至先生のツイッターを拝見したところ、こんなことをつぶやいていらっしゃいました。


渡遁 励ら 医師の薬剤処方に関する実証分析 医療経済研究 vol.13 2003
http://www.ihep.jp/publications/study/search.php?dl=78&i=4
本稿では医師の薬剤処方行動に関して独自に行ったアンケート調査の結果から、医師が薬剤処方の際にどのような因子を考慮にいれるか、経済的なインセンティブの遣いが処方行動の遣いとなって現れるかどうかについての分析を行った。結果は次の通りである。第一に意識調査の結果では、処方の際に「患者の費用負担」を他の医学的な要因と同程度に重視している。また、コスト意識をもって薬剤処方を行うことは広く医師の聞で受け入れられている。第二に薬剤価格に関する知識について、医師は必ずしも正確な知識を持っておらず、その傾向は自ら薬剤の仕入れを行わない医師に強い。第三に開業医や開業医で院内処方を行っている医師がより、高薬価の薬剤を処方する確率が高いという結果は患者要素をコントロールしでも見られなかった。第四に意識調査の結果では費用を考慮に入れると答えているものの、医師の考えている薬価の遣いによって処方行動の遣いを説明することはできなかった。


伸二のブログ
医薬分業と薬局の存在意義
http://riehener.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-f2cb.html
来る三月十二日に規制改革会議が医薬分業に関した公開討論の開催をすることになっています。でもなぜ今頃になって医薬分業についての議論が必要になったのでしょうか。いゃ、ここで注意しなければならないのはそのような議論が必要になってきている背景、現状を十分に理解することが重要なのです。ここで改めてこの会議でなぜ今になって医薬分業が話題になっているのかを理解すると現時点では次の二点に要約されるのではないでしょうか。


内閣府
公開ディスカッション(テーマ2:医薬分業における規制の見直し)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/discussion/150312/gidai2/agenda.html


兵庫県立大学大学院経営研究科・商大ビジネスレビュー
医薬分業推進政策の評価と課題
http://www.mba.u-hyogo.ac.jp/SBR/2-1/225.pdf


医薬品学習研究所
薬剤師は10年後に残る仕事か、消える仕事か?〜ドラッグストア・調剤薬局・病院薬剤師〜
http://iyakuhingakusyu.net/2014/04/29/10nengo/
薬剤師業界はこの10年で波乱万丈であった。医薬分業が定着し、薬学部は6年生に、ジェネリックもかなり普及してきた。登録販売者も登場し、レセプトは電子化し、認定薬剤師も急増してきたのもこの10年である。
薬剤師は世の中から消える仕事なのだろうか。


医療と薬の日記
調剤薬局、薬剤師バッシングについて
http://blog.goo.ne.jp/chihayatadaaki/e/eb8b0ff3deafbd75c71e8369eeeeb045
先日、報道された大手チェーン調剤薬局の薬歴不記載問題に端を発し、日本では再び医薬分業、あるいは薬剤師に対する批判が高まっている。これが二年に一度行われる診療報酬改正での議論を見越したプロパガンダではないかとの見方を持つ医療者は少なくない。だが、実際に多くの国民が医薬分業制度に対して疑問を持っていることは紛れもない事実だ。


さあ、薬剤師に目覚めよう!
「美容室」と「薬局」の違いに思うこと
http://manabunoda.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-a896.html
なんだか巷では薬歴未記載問題や院内薬局や無資格調剤で盛り上がっておりますが、、、ちょっと違う視点から、薬局について書いていきたいと思います。本日散髪に行ってきまして、その時にふと考えたことです。


ライター薬剤師の黒いブログ!!
良い事はいい。悪い事は悪い
http://tkcnr.blog.fc2.com/blog-entry-600.html
昨今の話題というか
ここ数年の話題をひっくるめても
薬歴未記載問題というのは大きなインパクトを与えました。


読売新聞社
不便さ解消へ「病院に薬局」検討…厚労省反発か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150308-00050041-yom-pol


人材紹介会社アイデムエキスパート 薬剤師キャリアコンサルタントブログ
薬局における建物規制緩和について ~ 新小山市民病院の進捗 ~
http://blog.aidem-ex.co.jp/kitakanto/743/


日経DI
日本薬剤師会・前会長の児玉孝氏に聞く「何のための、誰のための医薬分業か、もう一度考える機会だ」
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/trend/201503/541049.html
ちょうど1年前の2014年2月23日、日本薬剤師会第82回臨時総会で日薬会長候補者選挙が行われ、3期6年にわたり会長を務めてきた児玉孝氏(ワカノウラ薬局[大阪市中央区])は落選、同年6月末に退任した。それから8カ月が経過した今、児玉氏は薬局・薬剤師業界をどのように見ているのか。胸中を語ってもらった。


tahara apiの日記
内部留保の医療・介護への還流
http://taharaapi.hatenablog.com/entry/2015/03/04/181356
3月12日の規制改革会議では医薬分業を取り上げるという。病院の敷地内や、建物内への保険薬局の出店を認めるという方向に向かうというのが前報道で流れている。これをどう考えるかだが、これでは院内調剤と同じだとかそういう次元の話ではないと思う。


日本経済新聞
医薬分業、問われる意義 機能不全、費用かさむ
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDF27H04_X20C15A2NN1000/
患者が病院や診療所の外にある調剤薬局で薬を受け取る仕組みを「医薬分業」という。薬の専門家である薬剤師によって、医師が処方した薬の安全性や有効性を確認することが目的だ。ところが、この仕組み、本来の役割を果たさぬまま、費用がかさみつつあるという問題に直面している。


薬局のオモテとウラ
病院内への保険薬局開設、3月12日の規制改革会議で議論へ
http://blog.kumagaip.jp/article/114366621.html
「門前」→「門内」と来て、遂に「病院内(同一建物内)」という流れですか。駅前から、駅ナカにシフトしたような感じでしょうかね。それだったら保険薬局である必要はないわけで、院内処方に戻したらどうですかね。


日医総研 日医総研ワーキングペーパー
日本の医薬分業は本当に患者のためになっているか
http://www.jmari.med.or.jp/download/wp027.pdf
院内薬局の制度化、門内薬局の創設である。物理的独立は放棄せざるを得ないが機能的・経済的独立性を担保した薬局を病院内に開設することを認めてはどうか






ゼラニウムにはジメチルアミルアミンは含まれていません





ゼラニウムの成分にジメチルアミルアミン(DMAA)が含まれているという情報や、健康食品の広告がみられることがありますが、これらはまったくのデタラメです。


ゼラニウムはローズゼラニウム油(Rose Geranium Oil)とも呼ばれローズゼラニウムという植物の葉や茎から抽出されます。いわゆるハーブの一種です。

日本では、天然香料基原物質リストに収載されています。

食品衛生法に基づく添加物の表示等について


香粧品や加工食品に香料として、また防虫剤などに利用されています。

また、「神経因性疼痛によい」「下痢によい」「ダイエットによい」などと健康食品や健康情報番組などで言われているが、ヒトでの有効性に関する学術報告はありません。


ゼラニウムの成分


  • L-シトロネロール
  • ゲラニオール
  • リナロール
  • フェネチルアルコール
  • チグリン酸ゲラニル
  • 酢酸ゲラニル
  • ギ酸シトロネリル
  • 酢酸シトロネリル
  • シトロネラール
  • シトラール
  • デシルアルデヒド
  • ケトン
  • セスキテルペン炭化水素
  • セスキテルペンアルコール
  • ギ酸
  • 酢酸
  • プロピオン酸
  • オクタン酸
  • チグリン酸
  • ジメチルスルフィド
  • デヒドロシトロネロール
  • メントール
  • シトロネリルジエチルアミン
など

小林彰夫ら 監訳,天然食品・薬品・香粧品の事典, 朝倉書店 



ゼラニウムの安全性

アメリカハーズ製品協会(AHPA)では、ゼラニウムを適切に使用される場合、安全に摂取することができるハーブとしています。


食品に添加物として通常含まれている量を摂取することは、おそらく安全と思われます。また、アロマオイルとして短期間に局所へ適量を塗る場合についても安全性だと考えられます。

ただし、アロママッサージなどで塗る場合に、敏感な人では灼熱感、立ちくらみ、があれわれたり、顔へ塗った際に目の炎症がみられたという報告があります。


妊娠中・授乳中の使用については、よく分かっていない部分が多いため、通常含まれている量を超えての使用は避けたほうがよいでしょう。


Pharmacist's Letter/Prescriber's letter Natural Medicine Comprehensive Database 

Greenway FL et al.,(2003) emporary relief of postherpetic neuralgia pain with topical geranium oil.Am J Med.;115(7):586-7.



ゼラニウムとジメチルアミルアミン

上記にあるように、ゼラニウムの成分にジメチルアミルアミンは含まれていません。
ゼラニウムとジメチルアミルアミンはまったく別物です。

一方、ジメチルアミルアミンを含む健康食品やサプリメント等に「ゼラニウム植物油由来の"天然成分"」と偽りの宣伝をされている場合があります。


ジメチルアミルアミンは化学合成品です。そのため、 2012年1月に米国ハーブ製品協会は会員に対してジメチルアミルアミンを含む製品に「ゼラニウム油」または「ゼラニウム植物の一部」のような表示をしないように求めています。


ジメチルアミルアミンはドーピング禁止物質に指定されていますが、偽りの宣伝などで勘違いしている人も多くいらしゃいます。

ゼラニウム含有食品について陸上関係者から事実誤認のツイートがされたりしています。


キリン「晴れ茶」にドーピング禁止薬物? 陸上関係者が注意呼びかけ → キリンの回答は「検出なし」(ねとらぼ)


ゼラニウムとジメチルアミルアミンはまったく別物です。


プロのアスリートでもドーピングに関する知識に脆弱性があるという、興味深い事例です。スポーツファーマシストが何か力にならなくてはならないのかもしれません。



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2015年3月1日日曜日

ツイートまとめ 院内薬局OKの反響



大きな病院の前になん件も薬局があるのは異様な光景。
2025年の医療改革に向けての布石かと思ふ。