デュアック配合ゲルは、グラクソ・スミスクラインのニキビ治療薬です。
リンコマイシン系抗菌薬のクリンダマイシンリン酸エステル(ダラシンTゲル)と、酸化剤の過酸化ベンゾイル(類薬:ベピオゲル)を 3%含有する配合ゲルです。
世界では現在16ヵ国で承認されていて(2015年3月時点)、ニキビのワールドスタンダードな治療薬として認知されています。
欧州皮膚科学会のガイドラインでは、軽症から中等症の炎症性皮疹に対しては、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシン外用剤との配合剤が最も推奨されています。
欧州皮膚科学会の尋常性ざ瘡治療ガイドライン
J Eur Acad Dermatol Venereol 26: 1-29, 2012
デュアック配合ゲルの作用機序
デュアック配合ゲルには、ニキビ菌(アクネ菌)の増殖を抑える、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルの2つの成分が配合されています。
この2つの成分は異なる作用で、ニキビ菌が増えるのを抑えます。
クリンダマイシンは、ニキビ菌が増殖するのに必要なタンパク質の合成を阻害することにより、菌の増殖を抑制します。
さらに、菌がつくり出すリパーゼという酵素を抑制します。
そして、炎症を引き起こす原因となる皮脂中の遊離脂肪酸を減少させ、抗炎症作用を発揮します。
そして、炎症を引き起こす原因となる皮脂中の遊離脂肪酸を減少させ、抗炎症作用を発揮します。
過酸化ベンゾイルには角質剥離作用、いわゆるピーリング効果があります。
また、ニキビ菌の細胞膜にくっつき、膜の必須構成成分を酸化することで、抗菌作用を発揮します。
さらに過酸化ベンゾイルは、白血球からの活性酸素放出を抑制し、毛包壁の破壊を防いで炎症の悪化を抑制します。
相乗効果で耐性菌にも効果あり
デュアック配合ゲルはクリンダマイシンに過酸化ベンゾイルを配合することで、非炎症性のニキビ(白ニキビ・黒ニキビ)から炎症性ニキビ(赤ニキビ・膿ニキビ)への進展を防ぎ、炎症性皮疹の重症化を阻止することができると考えられています。
また、1種類の抗菌薬を長期に使用していると、抗菌薬が効かなくなる耐性菌が出現する恐れがあります。
耐性菌は治療効果の低下を引き起こします。
海外において、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイル配合ゲルは、耐性菌にも効果を発揮し、菌量を減少させることが報告されています。
Jackson JM,et al.A randomized, investigator-blinded trial to assess the antimicrobial efficacy of a benzoyl peroxide 5%/ clindamycin phosphate 1% gel compared with a clindamycin phosphate 1.2%/tretinoin 0.025% gel in the topical treatment of acne vulgaris.J Drugs Dermatol.2010;9:131-136.
Langner A,et al.A randomized, single-blind comparison of topical clindamycin + benzoyl peroxide and adapalene in the treatment of mild to moderate facial acne vulgaris.Br J Dermatol.2008;158:122-129.
これまで、抗菌剤を塗ってもなかなか治りづらい人は、耐性菌のせいかもしれません。
そのような人におすすめです。
どの程度の効果があるのか
臨床試験では以下の様なデータがでています。
2週間塗り続けたところ炎症性皮疹数(平均値)が56.3%減少しました。
12 週間で炎症性皮疹数が81.0%減少しました。
デュアック配合ゲル使用にあたり注意したいこと
たくさん塗っても上乗せ効果は期待できません!
副作用だけが増えます。
皮膚刺激が増すおそれがあるので注意しましょう。
使用中に皮膚がはがれたり、赤くなったり、刺激感等があらわれることがあります。
このような症状が出たら使用を一旦中止して、お医者さんか薬剤師に相談しましょう。
人によっては稀に全身性の過敏反応や重度の皮膚刺激症状が認められる場合があります。
このような症状が出たら使用を一旦中止して、お医者さんか薬剤師に相談しましょう。
ニキビに過度な日光は禁物です。
使用中は日光浴や陽の光のあたりすぎには注意しましょう。
日焼けランプの使用や紫外線療法は避けましょう。
毛髪や着色、染色された布織物を色落ちさせることがります。
毛髪、布織物、家具及び絨毯に付着しないように十分注意してください。
薬を口に入れたり食べたりしないようにしましょう。
口の中、眼、口唇、その他の粘膜、ニキビ以外の傷がある皮膚には使用しないようにしましょう。
これらの部位に薬剤が付着した場合は水で洗い流しましょう。
12週間を超えて塗り続けるのは避けたほうがいいかもしれません。
12週間を超えて塗り続けた治験が行われておらず安全性について不明です。
治療の一つの区切りが3ヶ月であると認識してください。
妊婦や授乳婦への投与
クリンダマイシン、過酸化ベンゾイルはいずれも赤ちゃんに対してもほとんど悪影響を及ぼさないことが示されています。
しかし、妊娠中の使用に関する影響はないと考えられるものの、100%安全とは言い切れませんので、どうしても治療しなければいけない場合に限っての使用に留めたほうがいいでしょう。
しかし、妊娠中の使用に関する影響はないと考えられるものの、100%安全とは言い切れませんので、どうしても治療しなければいけない場合に限っての使用に留めたほうがいいでしょう。
母乳中に薬の成分がどの程度出てくるか不明ですので、授乳中には使用しないことが望ましいです。
やむを得ず使用する場合には授乳を避けてください。
やむを得ず使用する場合には授乳を避けてください。
保管方法
冷蔵庫に保管しましょう。
3ヶ月以上室温に保管していたモノは有効成分が減っていたという報告があります。
また30度以上だと2ヶ月もたなかったというデータもあります。
数日、冷蔵庫にしまい忘れても問題はないと思います。室温に出しておくなら1ヶ月以内には使い切るようにしましょう。
デュアック配合ゲル
効能又は効果
<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、アクネ菌
<適応症>
尋常性ざ瘡
用法及び用量
1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する。
尋常性ざ瘡(にきび)治療配合剤「デュアック®配合ゲル」承認のお知らせ(グラクソ・スミスクライン)
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2015_01/P1000892.html
追記
発売を前にGSKからポーラファルマへ販売移管されるそうです。
発売日は2015年7月中を予定しているようです。
デュアック配合ゲルが発売前に販売移管???: 薬剤師Mのホンネ日記
関連:
にきび治療薬 過酸化ベンゾイル(ベピオゲル2.5%)
ベピオゲルやデュアック配合ゲルが効かない?
追記
発売を前にGSKからポーラファルマへ販売移管されるそうです。
発売日は2015年7月中を予定しているようです。
デュアック配合ゲルが発売前に販売移管???: 薬剤師Mのホンネ日記
関連:
にきび治療薬 過酸化ベンゾイル(ベピオゲル2.5%)
ベピオゲルやデュアック配合ゲルが効かない?