2015年2月5日木曜日

ラミクタールに使用上注意改訂と安全性速報、重篤皮膚障害で



厚生労働省は2015年2月4日、グラクソ・スミスクラインの抗てんかん薬・双極性障害治療薬「ラミクタール錠」(ラモトリギン)について、因果関係を否定できない重篤な皮膚障害が発現し、死亡した症例が2014年9~12月までに4例報告されたとし、安全性速報(ブルーレター)を出して医療関係者に速やかに注意喚起するよう、同社に指示しました。使用上の注意の改訂も指示しました。

死亡に至った4例はいずれも用法・用量が守られていませんでした。

薬剤師が、積極的に介入できていれば防げたかもしれないと思うと、とても残念です。

重篤な皮膚障害は、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死融解症、薬剤性過敏症症候群といったものでした。

今回の「使用上の注意」改訂では、「警告」欄で、用法・用量の遵守のほか、発疹の症状に加えて発熱(38度以上)、口唇・口腔粘膜のびらん、眼充血、咽頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹などの症状が現れた場合は、直ちに投与中止とすることを警告しました。
2008年12月12日のラミクタールの販売開始から2015年1月26日までの推定使用患者数は約37万6000例で、そのうち重篤な皮膚障害が発現して死亡に至った症例は計16例報告されています。


【安全性速報(ブルーレター)】
(医療関係者向け)
ラミクタール錠小児用2mg、同錠小児用5mg、同錠25mg及び同錠100mgによる重篤な皮膚障害について
(国民(患者)向け)
てんかん治療薬・双極性障害治療薬 「ラミクタール錠」を服用される患者様とご家族の皆様へ


【厚生労働省発表資料】
・抗てんかん薬、双極性障害治療薬「ラミクタール錠」投与患者における重篤な皮膚障害に関する注意喚起について(厚生労働省発表資料)


【使用上の注意の改訂指示(医薬品)】
・ラミクタール錠小児用2mg、同錠小児用5mg、同錠25mg及び同錠100mg
(一般名:ラモトリギン)
使用上の注意の「警告」の項が改められました。


早期に副作用を見つけるポイント

次のような症状が見られた場合は、重篤な副作用の初期症状である可能性があります。速やかに主治医の診療を受けるようにしましょう。

重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)

○スティーブンス・ジョンソン症候群、TENの初期症状

「高熱(38℃以上)」、「目の充血」、「めやに(眼分泌物)」、「まぶたの腫れ」、「目が開けづらい」、「くちびるや陰部のただれ」、「排尿・排便時の痛み」、「のどの痛み」、「皮ふの広い範囲が赤くなる」がみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりします。

 スティーブンス・ジョンソン症候群やTENはⅣ型アレルギー反応によるものと考えられています。Ⅳ型アレルギー反応は、T細胞が関与しています。通常4~8週間かけて起こるゆるやかな進行を示します。


○薬剤性過敏症症候群の初期症状

「皮ふの広い範囲が赤くなる」、「高熱(38℃以上)」、「のどの痛み」、「全身がだるい」、「食欲が出ない」、「リンパ節がはれる」などがみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりします。


○再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症の初期症状

「あおあざができやすい」、「歯ぐきや鼻の粘膜からの出血」、「発熱」、「のどの痛み」、「皮膚や粘膜があおじろくみえる」、「疲労感」、「どうき」、「息切れ」、「気分が悪くなりくらっとする」、「血尿」、「突然の高熱」、「寒気」


○肝炎、肝機能障害および黄疸の初期症状

「倦怠感」、「食欲不振」、「発熱」、「黄疸」、「発疹」、「吐き気・おう吐」、「かゆみ」など 


○無菌性髄膜炎の初期症状

「発熱(40℃ぐらいの高熱)」、「頭痛」、「気分が悪い」、「吐き気」、
「うなじがこわばり固くなって首を前に曲げにくい」、「意識が薄れる」など



ラミクタールは、他に併用する薬の種類や有無によって、飲み方を変えなくてはならない特殊なお薬です。必ず、医師、薬剤師の説明を十分理解して、自身で判断して飲む量を変えたりしないようにしましょう。