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2015年1月26日月曜日

乾癬治療薬 コセンティクス皮下注(セクキヌマブ)





乾癬とは

乾癬は、炎症性の皮膚の病気です。
赤い発疹、表皮が盛り上がり、白いフケのようなものができます。

乾癬の皮膚では、炎症を起こす細胞が集まって活性化しています。
毛細血管が拡張し、皮膚が赤みを帯びた状態になります。

また表皮の細胞が、健康な皮膚と比べて10倍以上の速度で生まれ変わるので
生産が過剰な状態になっています。
過剰に生産された表皮の細胞は厚く積み上がり、
フケ(鱗屑)となってはがれ落ちていきます。


乾癬 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/


乾癬は症状により、

  • 尋常性乾癬、
  • 関節症性乾癬/乾癬性関節炎、
  • 滴状乾癬、
  • 乾癬性紅皮症、
  • 膿疱性乾癬

の 5 つの病型に分類されます。

尋常性乾癬は皮膚表面に局所的に現れます。、
関節症性乾癬は皮膚局所以外にに炎症性関節炎を伴う疾患です。

一般的な治療方法として、
軽症から中等症の患者に対しては、
副腎皮質ステロイド、ビタミン D3誘導体の外用剤及びこれらの併用療法、
中等症から重症の患者に対しては光線療法、光線化学療法及び
シクロスポリン、エトレチナート等による全身療法が行われます。

また、これらの既存治療で効果不十分な場合の治療薬として、
抗 TNFα 抗体製剤であるインフリキシマブ及びアダリムマブ並びに
抗 IL-12/23 抗体製剤であるウステキヌマブ
が承認されています。


乾癬の病態形成及び局所炎症の維持・増幅に、
炎症誘発性サイトカインである IL-17A が関与していると考えられています。


Di Cesare A et al,(2009) J Invest Dermatol, 129: 1339-1350
http://www.nature.com/jid/journal/v129/n6/full/jid200959a.html

Weaver CT et al,(2013) Annu RevPathol Mech Dis, 8: 477-512
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3965671/

Iwakura Y et al,(2011) Immunity, 34: 149-162
http://www.cell.com/immunity/abstract/S1074-7613(11)00050-1




セクキヌマブの作用機序

2014年に承認されたセクキヌマブ(コセンティクス)は
IL-17A に高い親和性で結合し、IL-17A が
IL-17 受容体に結合を阻害することにより、
その生物活性を中和することから、乾癬の治療薬として開発が進められた
新しい作用機序をもつ乾癬治療薬です。


IL-17A の主要な産生細胞であるヘルパーT17 細胞の生存及び
IL-17A 産生にはIL-23 が関与することが知られています。

Weaver CT et al,(2007) Annu Rev Immunol, 25: 821-852
http://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev.immunol.25.022106.141557


IL23によってヘルパーT17細胞の生存維持・増殖の誘導がおこなわれます。

ヘルパーT17細胞がIL-22とIL-17Aを産生して、
ケラチノサイトの増殖や炎症反応が高められます。

すなわち、
乾癬の病態形成には Th17/IL-23/IL-17A の経路が
重要な役割を果たすと考えられます。


セクキヌマブは、
IL-17A と IL-17RA との結合を阻害して、
IL-17A により誘発される炎症誘発の流れを断ち切ることで、
乾癬に対して有効性を示すと考えられています。





[販 売 名]
コセンティクス皮下注150mgシリンジ
コセンティクス皮下注用150mg

[一 般 名]
セクキヌマブ(遺伝子組換え)


[効能・効果]
既存治療で効果不十分な下記疾患
 尋常性乾癬、関節症性乾癬

[用法・用量]
通常、成人にはセクキヌマブ(遺伝子組換え)として、
1 回 300 mg を、初回、1 週後、2 週後、3 週後、4 週後に皮下投与し、
以降、4 週間の間隔で皮下投与する。

また、体重60kg以下の場合、1 回 150 mg を投与することができる。