ページ

2014年12月18日木曜日

RMPを活用できない薬剤師は淘汰される





医薬品の安全性を確保するためには、市販後だけでなく、
開発段階から市販後までの全般にわたり
常にリスクを適切に管理する方策を検討することが重要です。

これを受け、医薬品のリスク低減を図るため、
「医薬品安全性監視計画」に「リスク最小化計画」を加えた
「医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)」が
2013年4月より導入されました。

RMP策定のための指針、様式、提出等の取扱いが厚生労働省より示されています。

RMPとは
RMPとは個別の医薬品ごとに、以下の3つをまとめて文書化したものです。
①安全性検討事項  
 重要な関連性が明らか、又は疑われるリスクや不足情報を特定する。 

②医薬品安全性監視活動  
 市販後のリスクについて情報収集活動を行う 

③リスク最小化活動 
 医療関係者への情報提供や使用条件の設定等の医薬品のリスクを低減するための取り組み。


「医薬品安全性監視活動」と「リスク最小化活動」には、
通常の活動と追加の活動の2種類があります。

通常の活動とは、
全ての医薬品に共通して製造販売業者が実施する活動のことです。
具体的には、副作用情報の収集、添付文書による情報提供等を指します。

追加の活動とは、
医薬品の特性を踏まえ、特定の医薬品に実施される活動のことです。
市販直後調査、使用成績調査、製造販売後臨床試験、
適正使用のための資材による情報提供等を指します。




RMPは、医薬品の開発段階、承認審査時から市販後の全ての期間において、
ベネフィットとリスクの評価・見直しを行うものです。

これを薬剤師が活用することで
これまで以上に明確な見通しを持った市販後の安全対策の実施が可能となり、
薬物治療の安全対策をより質の高いものとすることが期待されています。

医薬品リスク管理計画書記載事例(医薬品医療機器情報機構)



RMPを情報源として活用する
RMPには目新しい情報が記載されているのではありません。

リスクとその対策が整理された情報源なのです。



これまでは、添付文書やインタビューフォーム、
承認審査結果報告書などを照会しなければ分からなかった情報が
RMPには実在するリスクとして特定されています。

また、臨床試験の結果から薬理学的な根拠を踏まえ
プラセボと実薬群でのリスク頻度と潜在的なリスクが明示されています。

つまり、RMPから薬剤師は効率的にリスクを把握できるのです。

また、医薬品情報を収集しリスクを評価してきた薬剤師にとっては
RMPによって自らが導き出した答えの確認ができるのです。

薬物治療のベネフィット・リスクバランスを最適化するための情報を
RMPから読み取る薬剤師が今後求められてくるでしょう。



チーム医療で活かすRMP
あなたの薬局は、新しい薬が処方されたらそれっきりになっていませんか?

薬局内で新規採用品をどのように使うか話しあいましょう。

この話し合いにRMPが役立ちます。

RMPを使って具体的な安全対策を立案するのです。

近年、多くの薬剤師の活躍により
在宅チーム医療の一員として薬剤師も認められるようになってきました。

この在宅チーム医療における薬の安全対策の立案に薬剤師は
もっと積極的になるべきです。

対策が必要なリスクに対しては、
使用制限、定期的な検査、患者教育など推奨される事項を医師に提案します。

チームミーティングの場でリスク管理について話し合います。

チームでリスク管理をフォローアップし、
医師、看護師、薬剤師、ケアマネージャー、栄養士などが協力して
プランを立てて安全対策を実践していきます。

安全対策を以前のように医師個人の努力や頑張りで担う時代は終わりました。

ミスが起きれば医師個人が責任が問われるので心理的・身体的負担が大きく
やがては医療崩壊が起きるからです。

医療の質を保つためには、在宅医療チームでマネジメントしていくことが重要です。