2014年10月30日木曜日

薬事法から薬機法へかわります


薬事法等の一部を改正する法律について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000045726.htm


医薬品医療機器等法関連のページ(東京都健康安全研究センター)
http://www.tokyo-eiken.go.jp/k_iryou/k_iyakukikihou/



2013年11月27日に「薬事法の一部を改正する法律」が公布されました。

今回の改正で、法律の名称が「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律」に改称されます。



とても長い名称の法律になります。

言いにくいので通称「医薬品医療機器等法」と呼ぶそうです。



これでも、少し長いし語呂も悪いので「薬機法(やっきほう)」がいいと思います。


法律の中身も若干変更があります。

3つのポイントが有ります。
  • 医薬品、医療機器等の安全対策強化  
  • 医療機器の特性を踏まえた規制の構築  
  • 再生医療等の製品の特性を踏まえた規制の構築


施行日は2014年11月25日です。


薬機法の概要

1.医薬品、医療機器等の安全対策強化

医薬品、医療機器等の実用化を促進するにあたっては、併せて、安全対策を強化することが重要です。
安全対策強化のために、薬害防止の理念および関係者の責務の明記、添付文書の位置づけ等の見直しが行われました。



①第一条(目的)の見直し

薬機法では目的に、
 「保健衛生上の危害の発生および拡大の防止のための必要な規制を行う」という文言が
追記されました。


(目的)第一条この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性および安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生および拡大の防止のための必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずる他、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。


②医薬品を取り扱う関係者の責務・役割の明確化

医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保のため、国、都道府県等、医薬品関連事業者等、医薬関係者、国民それぞれの役割が明示されるなど、従来の薬事法に比べ、医薬品や医療機器に係る安全対策の強化が図られています。


 (国の責務)第一条の二 
国は、この法律の目的を達成するため、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保、これらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止その他の必要な施策を策定し、及び実施しなければならない。 
 (都道府県等の責務)第一条の三 
都道府県、地域保健法第五条第一項の政令で定める市及び特別区は、前条の施策に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施しなければならない。 

(医薬品等関連事業者等の責務)第一条の四 
医薬品等の製造販売、製造、販売、貸与若しくは修理を業として行う者、薬局開設者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者は、その相互間の情報交換を行うことその他の必要な措置を講ずることにより、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止に努めなければならない。  

(医薬関係者の責務)第一条の五
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品等の有効性及び安全性その他これらの適正な使用に関する知識と理解を深めると ともに、これらの使用の対象者及びこれらを購入し、又は譲り受けようとする者に対し、これらの適正な使用に関する事項に関する 正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない。 

(国民の役割)第一条の六 
国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない。


③添付文書の位置づけ等の見直し

 添付文書は、医薬品等の製造業者が、最新の知見に基づき作成し、厚生労働大臣に届け出ることが義務付けられました。

 併せて、迅速な情報提供を行う観点から、届け出た添付文書については、直ちにWebサイトに掲載されることとなります。


  1. 常に最新の論文その他により得られた知見に基づき、添付文書記載事項等を作成することが明記
  2. 厚生労働大臣の指定する医薬品及び医療機器並びにすべての再生医療等製品について、製造販売業者は、製造販売開始時及び変更の際に次の事項を義務付ける。
  • あらかじめ添付文書等記載事項ののうち名称並びに使用及び取扱い上の必要な注意を厚生労働大臣に届け出ること。
  • 届け出た添付文書等については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページへ記載することにより公表すること。


2.医療機器の特性を踏まえた規制の構築

医療機器については、これまで、製造販売承認や製造許可など、医薬品に準ずる規制がされていました。

しかし、パソコンなどの他の機械製品と同様に短いサイクルで改善・改良が行われた製品が市場に供給される場合が多いことなど、医薬品と異なる性質を有しています。

また、医療機器の審査を迅速にするため医療機器の特性を踏まえた制度が新たに設けられました。

※ 医療機器の主な特性
  • 臨床現場での実際の使用を通じて、実用化されること
  • 絶えず改良・改善が行われ、一製品あたりの寿命が短いこと
  • 有効性・安全性は、医師等の技能に依る部分が大きく、かつ、臨床現場では少量多品目が使用されていること



①医療機器等の製造販売業・製造業等の章の新設

 薬機法では医療機器については医薬品等とは別に章が分けられました。

 民間の第三者機関を活用した認証制度が、厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器にも拡大されより新たな医療機器の開発の重点化および迅速化が図れます。

②単体プログラムの位置づけが明確化
 医療機器の国際展開を進めるためには、国際整合性に配慮する必要があります。
 単体プログラム(ソフトウェア)について、
 欧米では既に医療機器として位置付けられています。
 ソフトウェアも医療機器の範囲に加えられ、法律の規制対象となります。

 (例)MRI等で撮影された画像データの処理、保存、表示等を行うプログラム


 医薬品医療機器等法における医療機器プログラムの取り扱い(JAAME 医療機器センター)


3.再生医療製品等の特性を踏まえた規制の構築

iPS細胞等による再生医療は、革新的な医療として実用化に向けた国民の期待が高のですが
安全面などの課題が存在しています。
このため、再生医療等製品については、安全性を確保しつつ、迅速な実用化が図られるよう、
その特性を踏まえ法律で規定されました。
※ 再生医療等製品の主な特性・人の細胞等を用いることから個人差などを反映し、品質が不均一となること

なお、再生医療等の安全性確保及び迅速かつ円滑な提供を図るため、
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全法)が薬機法と同日に施行されます。

①医薬品・医療機器と別個の定義付け
 (1) 医薬品や医療機器とは別に「再生医療等製品」を新たに定義し、
  再生医療等製品の「章」が設けられました。

(定義)第二条第9項 この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。 
 一 、次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの 
イ 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成 
ロ 人又は動物の疾病の治療又は予防 
二 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの

②条件及び期限付き承認制度の導入
 再生医療等製品は、品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性から、
 有効性を確保するためのデータの収集・評価に長時間を要します。
 早期実用化に対応するため、有効性が推定され、安全性が認められれば、
 条件及び期限を付けて製造販売承認が可能となります。


早わかり 改正薬事法のポイント(じほう)