花粉症の患者さんに「注射1回で治る特効薬治療」などを謳い文句に
副作用リスクが高いステロイドを大量に筋肉注射する病院があります。
日本アレルギー学会や日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会は、
この治療法の危険性を広く呼びかけています。
徐放性ステロイド療法は危険です
この治療法ではアレルギーの原因になる
過剰な免疫反応を抑えるステロイドを
一度に大量に注射します。
喘息などの重い発作を抑えるために実施することはありますが
鼻アレルギー治療ガイドラインには花粉症治療に
ステロイド筋注を使用することは「望ましくない」と記載されています。
確かに、強力な治療なので1回の注射で翌日から症状が消え
数週間その効果は持続します。
しかしその裏返しとして、
万が一、起きてしまった副作用も持続してしまうことになります。
女性は特に注意が必要です
副作用には、
満月のように顔がパンパンにむくんでしまうことがります。
皮膚のかゆみや、赤みがみられることがあります。
生理が止まったり、不順となることがあります。
それにともなって、腹痛やうつ症状、微熱、だるさが出てきます。
女性は特に注意したいですね。
インターネット検索をすると、
この治療法を複数の医療機関が宣伝しています。
なかには、耳鼻科やアレルギーの専門医以外が実施しているケースもあります。
花粉症治療は、絶対的な効果より副作用回避が基本です。
これを読んだ方々も、是非「危険性の認識」を拡めていただきたいです。
徐放性ステロイド療法には
トリアムシノロンアセトニド
(ケナコルトA筋注用水懸注40mg/1mL)が用いられます。
成人1回40mgまたは80mgをおしりの筋肉に注射します。
トリアムシノロンアセトニドはヒドロコルチゾンの25倍の力価に相当します。
つまり、筋注用40mgは一般的なステロイド内服のプレドニン5mg錠の
40~50錠分に相当します。
また、保険診療では適応外となりますので
治療を受ける際は全額自費となります。
※ケナコルトA筋注用水懸注40mg/1mLの添付文書の効能効果には
「花粉症」の記載がありますが
これは、鼻腔内注入のみ認められています。
筋肉注射の保険適応は認められていません。
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