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2014年10月30日木曜日

薬事法から薬機法へかわります




薬事法等の一部を改正する法律について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000045726.htm


医薬品医療機器等法関連のページ(東京都健康安全研究センター)
http://www.tokyo-eiken.go.jp/k_iryou/k_iyakukikihou/



2013年11月27日に「薬事法の一部を改正する法律」が公布されました。

今回の改正で、法律の名称が「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律」に改称されます。



とても長い名称の法律になります。

言いにくいので通称「医薬品医療機器等法」と呼ぶそうです。



これでも、少し長いし語呂も悪いので「薬機法(やっきほう)」がいいと思います。


法律の中身も若干変更があります。

3つのポイントが有ります。
  • 医薬品、医療機器等の安全対策強化  
  • 医療機器の特性を踏まえた規制の構築  
  • 再生医療等の製品の特性を踏まえた規制の構築


施行日は2014年11月25日です。


薬機法の概要

1.医薬品、医療機器等の安全対策強化

医薬品、医療機器等の実用化を促進するにあたっては、併せて、安全対策を強化することが重要です。
安全対策強化のために、薬害防止の理念および関係者の責務の明記、添付文書の位置づけ等の見直しが行われました。



①第一条(目的)の見直し

薬機法では目的に、
 「保健衛生上の危害の発生および拡大の防止のための必要な規制を行う」という文言が
追記されました。


(目的)第一条この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性および安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生および拡大の防止のための必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずる他、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。


②医薬品を取り扱う関係者の責務・役割の明確化

医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保のため、国、都道府県等、医薬品関連事業者等、医薬関係者、国民それぞれの役割が明示されるなど、従来の薬事法に比べ、医薬品や医療機器に係る安全対策の強化が図られています。


 (国の責務)第一条の二 
国は、この法律の目的を達成するため、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保、これらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止その他の必要な施策を策定し、及び実施しなければならない。 
 (都道府県等の責務)第一条の三 
都道府県、地域保健法第五条第一項の政令で定める市及び特別区は、前条の施策に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施しなければならない。 

(医薬品等関連事業者等の責務)第一条の四 
医薬品等の製造販売、製造、販売、貸与若しくは修理を業として行う者、薬局開設者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者は、その相互間の情報交換を行うことその他の必要な措置を講ずることにより、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止に努めなければならない。  

(医薬関係者の責務)第一条の五
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品等の有効性及び安全性その他これらの適正な使用に関する知識と理解を深めると ともに、これらの使用の対象者及びこれらを購入し、又は譲り受けようとする者に対し、これらの適正な使用に関する事項に関する 正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない。 

(国民の役割)第一条の六 
国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない。


③添付文書の位置づけ等の見直し

 添付文書は、医薬品等の製造業者が、最新の知見に基づき作成し、厚生労働大臣に届け出ることが義務付けられました。

 併せて、迅速な情報提供を行う観点から、届け出た添付文書については、直ちにWebサイトに掲載されることとなります。


  1. 常に最新の論文その他により得られた知見に基づき、添付文書記載事項等を作成することが明記
  2. 厚生労働大臣の指定する医薬品及び医療機器並びにすべての再生医療等製品について、製造販売業者は、製造販売開始時及び変更の際に次の事項を義務付ける。
  • あらかじめ添付文書等記載事項ののうち名称並びに使用及び取扱い上の必要な注意を厚生労働大臣に届け出ること。
  • 届け出た添付文書等については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページへ記載することにより公表すること。


2.医療機器の特性を踏まえた規制の構築

医療機器については、これまで、製造販売承認や製造許可など、医薬品に準ずる規制がされていました。

しかし、パソコンなどの他の機械製品と同様に短いサイクルで改善・改良が行われた製品が市場に供給される場合が多いことなど、医薬品と異なる性質を有しています。

また、医療機器の審査を迅速にするため医療機器の特性を踏まえた制度が新たに設けられました。

※ 医療機器の主な特性
  • 臨床現場での実際の使用を通じて、実用化されること
  • 絶えず改良・改善が行われ、一製品あたりの寿命が短いこと
  • 有効性・安全性は、医師等の技能に依る部分が大きく、かつ、臨床現場では少量多品目が使用されていること



①医療機器等の製造販売業・製造業等の章の新設

 薬機法では医療機器については医薬品等とは別に章が分けられました。

 民間の第三者機関を活用した認証制度が、厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器にも拡大されより新たな医療機器の開発の重点化および迅速化が図れます。

②単体プログラムの位置づけが明確化
 医療機器の国際展開を進めるためには、国際整合性に配慮する必要があります。
 単体プログラム(ソフトウェア)について、
 欧米では既に医療機器として位置付けられています。
 ソフトウェアも医療機器の範囲に加えられ、法律の規制対象となります。

 (例)MRI等で撮影された画像データの処理、保存、表示等を行うプログラム


 医薬品医療機器等法における医療機器プログラムの取り扱い(JAAME 医療機器センター)


3.再生医療製品等の特性を踏まえた規制の構築

iPS細胞等による再生医療は、革新的な医療として実用化に向けた国民の期待が高のですが
安全面などの課題が存在しています。
このため、再生医療等製品については、安全性を確保しつつ、迅速な実用化が図られるよう、
その特性を踏まえ法律で規定されました。
※ 再生医療等製品の主な特性・人の細胞等を用いることから個人差などを反映し、品質が不均一となること

なお、再生医療等の安全性確保及び迅速かつ円滑な提供を図るため、
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全法)が薬機法と同日に施行されます。

①医薬品・医療機器と別個の定義付け
 (1) 医薬品や医療機器とは別に「再生医療等製品」を新たに定義し、
  再生医療等製品の「章」が設けられました。

(定義)第二条第9項 この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。 
 一 、次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの 
イ 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成 
ロ 人又は動物の疾病の治療又は予防 
二 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの

②条件及び期限付き承認制度の導入
 再生医療等製品は、品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性から、
 有効性を確保するためのデータの収集・評価に長時間を要します。
 早期実用化に対応するため、有効性が推定され、安全性が認められれば、
 条件及び期限を付けて製造販売承認が可能となります。


早わかり 改正薬事法のポイント(じほう)



2014年10月24日金曜日

ディフェリンゲルとアクアチムどちらを先に塗る?





にきび治療薬のディフェリンゲルと抗菌薬のアクアチム
処方せんがきました。

指示はどちらも患部に適量塗布する旨が記載してあります。


二種類の外用薬が処方されると患者さん心理としては、
どちらを先に塗るのが効果的なのか、気になるところだと思います。



基本的に外用剤は混ぜることもあるので、
順番によって効果が変わるようなことはほとんどありません。

覚えておくと良いのが、
「塗る面積が広いはどちらががポイントになります。

めやすは・・・
塗る範囲が広いものを先に塗ります。
傷や患部など狭い範囲にのみ塗るものが後になります。


今回の例ですと、
抗菌薬のアクアチムが「狭い範囲」に塗る薬。
ディフェリンゲルが「広い範囲」に塗る薬。


理由は簡単です。

はじめに狭い範囲に塗る抗菌薬を塗って、
その後に広い面に塗るディフェリンゲルを塗ってしまうと

初めに塗った抗菌薬を塗らなくていい場所へ塗り広げてしまう可能性があるためです。


ディフェリンゲルとアクアチムどちらを先に塗る?
まず、保湿。
① ディフェリン
② 抗菌薬(アクアチム)





この考え方は、他にも応用できます。
アトピー性皮膚炎の保湿剤とステロイド軟膏です。

保湿剤は広範囲に塗るので、先に塗ります。
その後、傷や赤みのひどい箇所にステロイドを塗ります。

シダトレンスギ花粉舌下液の請求方法





シダトレンスギ花粉舌下液200JAU/mLボトル(10mL 1瓶)
シダトレンスギ花粉舌下液2000JAU/mLボトル(10mL 1瓶)


この薬剤は、増量期の投与にあたって1週間分を1瓶として処方されます。
1瓶あたりの額を用いて薬剤料の点数を算定しましょう。


※調剤レセプトの場合は「内服用滴剤」として請求します。


用法記載例)
シダトレンスギ花粉舌下液200JAU/mLボトル(10mL 1瓶)1瓶1日1回 7日分 42×1 
シダトレンスギ花粉舌下液2000JAU/mLボトル(10mL 1瓶)1瓶1日1回 7日分 101×1

新花粉治療「シダトレン」は実は簡単じゃなかったhttp://yakuza-14.blogspot.jp/2014/02/blog-post_26.html

2014年10月23日木曜日

検体測定室において自己採血を行う際の感染防止等衛生管理の徹底等について



検体測定室に関するガイドラインについて」は、平成26年4月9日医政発第0409第4号厚生労働省医政局長通知により発出されました。当該ガイドラインに係る標記疑義解釈について、平成26年6月18日厚生労働省医政局指導課医療関連 ...
検査値から「糖尿病かもしれません」などと言ってしまうと医師法に抵触してしまいます。 他、注意したい点は、必要な書類帳簿が多いことです。 台帳を4種類。 手順書1種類。 作業書を1種類作成しなくてはいけません。 検体測定室に関するガイドライン.


2014年10月21日厚生労働省医政局地域医療計画課長から
「検体測定室において自己採血を行う際の感染防止等衛生管理の徹底等について」
という通知が各検体測定室運営責任者宛に出されました。



2014年、血糖値や中性脂肪などの生化学的検査を
届出を出した薬局など民間業者が行うことが可能になりました。
しかし、一部の薬局等でガイドラインを遵守せず
衛生管理が不徹底な事例が見受けられたそうです。

そのため、衛生管理の徹底と、自己点検を行うよう求めた通知です。


検体測定室における感染防止等衛生管理の徹底
不適切事例として、ディスポ用の穿刺針を装着する穿刺器具を使用していたそうです。
これでは、誤って複数人が使い回しをしてしまう恐れがあります。
不適切な器具の例
メディセーフ  
ファインタッチ  
メディセーフファインタッチプロ 
アキュチェックセミディスポ
ナチュラレットEZデバイス 
ワンタッチペン 
ニプロセーフティーライトショットⅡ 
ジェントレット 
ジェントレットⅡ 
ファストクリックス  
ソフトクリックスプラス 
マイクロレット2  
イージータッチ 
マルチランセットS  
ワンタッチウルトラソフト 
ニプロフリースタイル
ライトショットミニ 
ニプロライトショットスリム 
エースレットⅡ 
ファインレット


穿刺針の単回使用を徹底するため、1回使い捨てタイプの使用を徹底しましょう。
1回使い捨てタイプの穿刺針
メディセーフファインタッチディスポ 
セーフティプロプラス 
セーフティプロウノ 
BD セーフティランセット 
ポケットランセット 
ナチュラレット ディスポ 
ニプロLSランセット 
ニプロSPランセット 
アイピット


検体測定室は商品の陳列棚と一体化した場所に設置されている事例が
見受けられたそうです。(ショーケース型カウンターの上など)
飛沫感染防止の観点から好ましくありません。個室等を用意するようにしましょう。



検体測定室ガイドライン通知の遵守状況に関する自己点検等の実施
検体測定室に関するガイドライン通知の遵守事項について、自己点検を実施し、
厚生労働省の用意した専用のエクセルファイルに回答して
平成26年11月30日までにk-sokutei@mhlw.go.jp宛に報告しなくてはいけません。


次回報告の日程は不明です。


自己点検項目から検体測定室の遵守事項を確認してみましょう。


(測定に際しての説明) 
測定に当たっては、運営責任者が受検者に対して以下の11個の事項を明示して
口頭で説明しなくてはいけません。さらに説明内容の同意を得て承諾書を徴収すること。
 ① 測定は、特定健康診査や健康診断等ではないこと
    (特定健康診査や健康診断の未受診者には受診勧奨をしていること)

 ② 検体の採取及び採取前後の消毒・処置については、受検者が行うこと

 ③ 受検者の服用薬や既往歴によっては、止血困難となり、
   測定を行うサービスを受けられない場合があること
   (このため、運営責任者は受検者に抗血栓薬の服用の有無や
   出血性疾患の既往歴の有無をチェックリストで確認し、
   これらの事実が確認された場合はサービスの提供を行わないこと)
   また、採血は受検者の責任において行うものであるため、
   出血・感染等のリスクは、基本的に受検者が負うものであること。
 
 ④ 自己採取及び自己処置ができない受検者はサービスを受けられないこ

 ⑤ 採取方法(穿刺方法)、採取量(採血量)、測定項目及び測定に要する時間

 ⑥ 体調、直前の食事時間等が測定結果に影響を及ぼすことがあること

 ⑦ 検体の測定結果については、受検者が判断するものであること

 ⑧ 検体測定室での測定は診療の用に供するものではないため、
   受検者が医療機関で受診する場合は改めて
   当該医療機関の医師の指示による検査を受ける必要があること

 ⑨ 穿刺による疼痛や迷走神経反射が生じることがあること

 ⑩ 受検者が自己採取した検体については、
   受検者が希望した測定項目の測定以外には使用しないこと

 ⑪受検者からの問い合せ先(検体測定室の電話番号等)


(測定項目)
測定の項目については、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準
(平成19年厚生労働省令第157号)第1条第1項各号に掲げる項目の範囲内でなくてはいけません。
【項目範囲】 
  • AST(GOT) 
  • ALT(GPT)  
  • γ-GT(γ-GPT) 
  • 中性脂肪(TG) 
  • HDLコレステロール 
  • LDLコレステロール 
  • 血糖 
  • HbA1c
 

(測定結果の報告) 
測定結果の報告は、測定値と測定項目の基準値しか認められません。


(地域医療機関等との連携等)
(1)測定結果が基準の範囲内であるか否かに拘わらず、
 特定健康診査や健康診断の受診勧奨を行うこと。
(2)受検者から測定結果による診断等に関する質問等があった場合でも、
 検体測定室の従事者が回答してはいけません。かかりつけ医への相談等をするよう助言しましょう。


(広告の規制)
診察、診断、治療、健診等の紛らわしい広告を行ってはいけません。


(衛生管理)
(1)医療機関に準じた取扱いとし、従業員は標準予防策、手指衛生、職業感染防止、環境整備、
 機器の洗浄・消毒・滅菌、感染性廃棄物の処理を適切に行うことを徹底しなければいけません。
 例えば、全ての患者に対して感染予防策のための、手洗い、手袋やマスクの着用等。
 「医療機関等における院内感染対策(平成23年6月17日医政指発0617第1号厚生労働省
 医政局指導課長通知)」に規定する「標準予防策」を参考にすること。

(2)感染防止対策委員会の設置や感染対策マニュアルの整備等を行い、運営責任者は感染防止に取り組むこと。
 また従業員がいる場合、従業員に感染防止について徹底した教育を行うこと。


(穿刺箇所への処置に係る物品)
血液採取前後の消毒や絆創膏等の自己処置のための物品を常備しなくてはいけません。


(穿刺部位)
穿刺器具による穿刺については、手指に行わせること。


(穿刺器具)
(1)穿刺器具全体がディスポーザブルタイプ(単回使用のもの)のものを使用すること。
 ※ディスポ用の穿刺針を装着する穿刺器具は、検体測定室では使用できません。

(2)受検者に対し、穿刺器具は器具全体が1回使い捨てであることを知らせなければいけません。


(穿刺器具等の血液付着物の廃棄について)
(1)穿刺器具の処理については、危険防止の観点から堅牢で耐貫通性のある容器に入れて排出すること。

(2)血液付着物の廃棄については、
 「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(平成24年5月環境省作成)に基づき
 医療関係機関等から感染性廃棄物を排出する際に運搬容器に付けることとされている
 バイオハザードマークの付いた容器を原則利用しなくてはなりません。


(検体の取扱い)
受検者が自己採取した検体について、受検者が希望した測定項目の測定以外には使用してはいけません。


(運営責任者)
(1)検体測定室ごとに、運営責任者が常勤していること。

(2)測定に際しての説明及び測定結果の受検者への報告については、運営責任者が行うこと。

(3)運営責任者は、受検者に対し、資格及び氏名を明示すること。

(4)運営責任者は測定業務に従事する者等に検体測定室に関するガイドラインを遵守させること。


(精度管理)
(1)測定機器の製造業者が示す保守・点検を実施すること。

(2)複数人の検体を一度に測定してはいけません。


(測定業務に従事する者)
測定業務に従事する者は、医師、薬剤師、看護師又は臨床検査技師です。


(運営責任者の業務を補助する者)
(1)運営責任者の下で実務研修の後に業務を従事させること。

(2)運営責任者の業務を補助する者は、受検者に対し、補助者であること及び氏名を明示すること。


(検体測定室の環境)
(1)飲食店等容器包装に密封されていない食品を取り扱う場所や
 公衆浴場を営業する施設の一角で行う場合には、検体測定室として専用場所を別室で設置すること。

(2)上記以外の場所や施設を検体測定室としている場合、
 個室又は衝立等で他の場所と明確に区別するとともに、検査を行うために十分な場所を確保すること。

(3)十分な照明の確保、防塵、防虫、換気・防臭、騒音防止等の措置を講じること。

(4)測定用機械器具等に影響がないよう、直射日光や雨水の遮蔽等について対処すること。


(研修)
運営責任者は業務に従事する者に、内部研修等を受講させなければいけません。


(個人情報保護)
(1)受検者の個人情報については、「個人情報の保護に関する法律」及び
 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」により、
 適正に取り扱かうこと。

(2)測定結果については、受検者の同意を得ずに、保管・利用してはいけません。


(急変への対応等)
(1)受検者の急変に対応できるよう、物品(飲料水、簡易なベッド等)を常備すること。

(2)救急隊への通報体制について手順書を作成し、検体測定室内に掲示すること及び
 近隣の医療機関の把握等により医療機関との連携を図る体制を整備すること。

(3)施設の開設等に当たり地域医療機関等に対し事前に協力依頼を行うこと。


(測定用機械器具等)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づき
承認された測定器具及び測定試薬を使用すること。
また、関係法令を遵守し、適切に保管・管理をしなければいけません。


(標準作業書)
(1)測定機器保守管理標準作業書に次の事項を掲載していますか。
 ①常時行うべき保守点検の方法
 ②定期的な保守点検に関する計画
 ③測定中に故障が起こった場合の対応(検体の取扱いを含む。)に関する事項
 ④作成及び改訂年月日

(2)測定標準作業書に次の事項を掲載すること。
 ①測定の実施方法
 ②測定用機械器具の操作方法
 ③測定に当たっての注意事項
 ④作成及び改定年月日


(作業日誌)
標準作業書に従い、次の作業日誌を記録しなければいけません。
 ①測定機器保守管理作業日誌
 ②測定作業日誌


(台帳)
(1)測定受付台帳は、受検者の氏名、連絡先等を記録すること。

(2)使用測定台帳は、測定器械器具の名称、製造者、型番、設置日、修理及び廃棄を記録すること。

(3)試薬台帳は、試薬の購入及び数量管理の記録をすること。

(4)精度管理台帳は内部・外部精度管理調査の結果を20年間分の保管すること。


(その他)
(1)医療機関から検体の測定を受託してはいけません。

(2)検体の測定は受検者から直接受託すること。

(3)事業者(従業員)は、受検者が行う血液の採取を手伝ってはいけません。

(4)検体測定室と分かる表示をしましょう。

(5)測定結果をふまえた物品の購入の勧奨を行ってはいけません。

(6)検体測定室内において、検査結果を踏まえOTC医薬品やサプリメントを勧める旨の掲示を行ってはいけません。

2014年10月22日水曜日

セントジョーンズワートとの飲み合わせに注意が必要な薬(2014)





セイヨウオトギリソウ(ST.John's Wort:セントジョーンズワート)の安全性や有効性はこれまで多くの研究で検証されています。

日本では、セントジョーンズワートはサプリメントや健康食品として販売されています。

そのため、効能効果としての表示は法律で禁止されています。

セントジョーンズワート含有食品として販売されているものの多くはセントジョーンズワート抽出物のhypericin(ヒペリシン)を0.3%になるように調整されています。

また、同抽出物hyperiforin(ヒペリフォリン)を2~5%になるように調整されたものもあります。

成分の含有量や価格はメーカーにより異なるので安全性、有効性、経済性を考慮して適切な商品を用いる必要があります。


セントジョーンズワートには飲み合わせが良くない薬があります。

共通するはたらきをもつ医薬品との併用によるセロトニン作用の増強や薬物代謝酵素やP糖蛋白の活性誘導作用を介したさまざまな相互作用が報告されています。

医薬品の添付文書にセントジョーンズワートとの相互作用が記載されるものを以下に示しています。

がんに高濃度ビタミンCを点滴する治療法





高濃度ビタミンC点滴療法が、
がん治療法の一つとして注目されています。

大量のビタミンCを点滴で投与する治療法です。

この治療法は、副作用が少ないことに加えて
一部の化学療法や放射線療法と併用が可能といわれています。


点滴療法研究会ホームページ 


しかし、詳細な作用機序や、どのようながんに有効であるかは解明されていません。
臨床試験はまだ十分に行われていません。

リンパ腫などの悪性腫瘍に明らかに効果があるというレベルには
まだ到達していません(2014年)


日本では
東海大学の川田先生の研究室で臨床試験が実施されています。

再発悪性リンパ腫症例を対象に
高濃度ビタミンC療法の安全性と血中濃度の上昇が確認されています。

Kawada H,et al(2014)Phase I Clinical Trial of Intravenous l-ascorbic Acid Following Salvage Chemotherapy for Relapsed B-cell non-Hodgkinʼs Lymphoma.Tokai J Exp Clin Med.; 39(3),p.111-115


がんにビタミンCが効果があるのではないかと考えられた歴史は古く
1970年代に末期がん患者さんにビタミンCを
経口投与と静脈内投与が試みられています。

しかし、この研究では、効果が否定されました。

そして長い間歴史の闇に忘れ去られていました。

Moertel CG,et al(1985)High-dose vitamin C versus placebo in the treatment of patients with advanced cancer who have had no prior chemotherapy. A randomized double-blind comparison. N Engl J Med.312(3):137-41



近年、ビタミンCを点滴すると
経口投与した時に比べ70倍の血中濃度上昇がみられることが分かりました。


ビタミンCは高濃度になると
鉄などの微量な金属とフェントン反応を起こし過酸化水素が生成します。

この過酸化水素が、ある種の腫瘍細胞を選択的に死滅させることが報告されました。


正常細胞は過酸化酸素の影響は受けません。

なぜかというと、正常細胞はカタラーゼという酵素を作り出し
過酸化水素を中和するからです。

一方、がん細胞の多くはこのカタラーゼが欠乏しているので
過酸化水素を中和できずに、細胞内ミトコンドリアや糖代謝が障害され、
細胞が死んでしまうと考えられています。。

Padayatty SJ,et al(2004)Vitamin C pharmacokinetics: implications for oral and intravenous use.Ann Intern Med.;140(7):533-7.

Chen Q, et al(2005)Pharmacologic ascorbic acid concentrations selectively kill cancer cells: Action as a pro-drug to deliver hydrogen peroxide to tissues.Proc Natl Acad Sci U S A. ;102(38):13604-9. 

ビタミンCというと活性酸素を除去する抗酸化作用が
まず頭に浮かぶと思われます。

しかし、高濃度ビタミンC療法では、
ビタミンCが活性酸素を発生させるプロオキシダントとしての性質を利用したものなのです。



今、注目の超高濃度ビタミンC点滴療法
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2014年10月15日水曜日

思春期女性の続発性無月経におけるホルモン製剤の使い方






楢原 久司,宮川 勇生(2000)思春期の続発無月経,日産婦誌52巻1号


これまであった月経が3カ月以上みられない状態を続発無月経といいます。
ただし、妊娠などの生理的無月経は除きます。


思春期の月経不順はダイエットなどの体重減少によるものが最も多い原因です。
ストレスや、過度な運動、多嚢胞性卵巣症候群によるものも
よくみられる一因です。


黄体ホルモン製剤単独投与で消退出血をみるものを第1度無月経、
黄体ホルモン製剤単独では消退出血が起きず、エストロゲンを併用してはじめて
消退出血が得られるものを第2度無月経といいます。



プロゲストーゲン負荷テスト

診断の方法としてプロゲストーゲン負荷テストがあります。

まず、黄体ホルモン製剤を内服します。

処方例:
デュファストン錠5mg 1回1錠 1日2回食後 5~7日間


5~7日飲み続け、生理のような出血(消退出血)があれば
第1度無月経と判定されます。



プロゲストーゲン負荷テストで消退出血がみられない場合は、
エストロゲン-プロゲストーゲン負荷テストを行います。

エストロゲン-プロゲストーゲン負荷テストで消退出血があれば
第2度無月経と診断されます。


第2度無月経はエストロゲンの基礎的な分泌もない重症の無月経です。


第1度無月経の薬物療法

第1度無月経では、子宮内膜は持続的なエストロゲン刺激下に置かれています。
一方、黄体ホルモンの刺激は欠いた状態となっています。
将来的に子宮内膜増殖症や子宮内膜癌の発生リスクとなるので

子宮内膜保護の目的で周期的な消退出血を
起こさせる必要があります。

ホルムストローム療法と呼ばれている方法を行います。
プロゲストーゲン負荷テストでの消退出血から21日の周期で
黄体ホルモン製剤が投与されます。

45日の周期で行うものもあります。


三宅婦人科内科医院




第2度無月経の薬物療法

第2度無月経に対しては、エストロゲンと黄体ホルモンの併用による
カウフマン療法を行います。

Rp.プレマリン錠0.625mg 1回1~2錠 1日1~2回食後 21日間 
  デュファストン5mg 1回1錠 1日2回食後 12日間を周期の後半に併用


Rp.エストラーナテープ0.72mg 2日毎に貼替え 21日間 
  デュファストン5mg 1回1錠 1日2回食後 12日間を周期の後半に併用


また、カウフマン療法の代わりにルナベル配合錠やヤーズ配合錠などの
低容量エストロゲン・プロゲスチン配合薬を用いることもあります。


カウフマン療法を3クール程度行った後、
プロゲストーゲン負荷テストを行い、無月経の程度が改善したかどうか確かめます。
改善が見られればより軽い治療法へ、改善していなければカウフマン療法を継続します。





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2014年10月11日土曜日

花粉症に特効薬の注射は危険





花粉症の患者さんに「注射1回で治る特効薬治療」などを謳い文句に
副作用リスクが高いステロイドを大量に筋肉注射する病院があります。

日本アレルギー学会や日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会は、
この治療法の危険性を広く呼びかけています。


徐放性ステロイド療法は危険です
この治療法ではアレルギーの原因になる
過剰な免疫反応を抑えるステロイドを
一度に大量に注射します。

喘息などの重い発作を抑えるために実施することはありますが
鼻アレルギー治療ガイドラインには花粉症治療に
ステロイド筋注を使用することは「望ましくない」と記載されています。


確かに、強力な治療なので1回の注射で翌日から症状が消え
数週間その効果は持続します。

しかしその裏返しとして、
万が一、起きてしまった副作用も持続してしまうことになります。


女性は特に注意が必要です
副作用には、
満月のように顔がパンパンにむくんでしまうことがります。

皮膚のかゆみや、赤みがみられることがあります。

生理が止まったり、不順となることがあります。
それにともなって、腹痛やうつ症状、微熱、だるさが出てきます。

女性は特に注意したいですね。


インターネット検索をすると、
この治療法を複数の医療機関が宣伝しています。
なかには、耳鼻科やアレルギーの専門医以外が実施しているケースもあります。


花粉症治療は、絶対的な効果より副作用回避が基本です

これを読んだ方々も、是非「危険性の認識」を拡めていただきたいです。


2014年10月9日木曜日

いつまでバセドウ病の薬は飲み続ければいいのか





※患者さん自身の判断で服薬を中止することはおやめください。
これまでの苦労が水の泡になってしまいます。



バセドウ病の患者さんから
「いつになったら薬やめられますか?」
という、質問をよくされます。

私は「2,3年はがんばってください」と伝えます。
バセドウ病は治らない病気ではありません。
3年薬を飲み続けて、今では薬はお休みして年に1回の検査だけで受けにくる人もいます。


バセドウ病の薬を飲み続けて
TSHやFT4という甲状腺機能の指標が正常化してくると
薬を中止しようかどうかをお医者さんは考えます。



休薬の目安は

  • TSHの正常化
  • FT4正常化
  • TRAb(TSH受容体抗体)の陰性
  • Tg(サイログロブリン)正常
  • 甲状腺腫の縮小


最小維持量で6ヶ月以上良好なコントロールが得られた時、投薬の中止が検討されます。


チアマゾール錠5mg 1日1錠を
半年から1年以上投与して

TSHを含め甲状腺機能が正常であれば
2日に1回の投与に減らします。

さらに、半年から1年、甲状腺機能が正常に経過し
TRAbが陰性または低下していれば
休薬できることがあります。


しかし、
再燃して甲状腺機能が更新することがあるので
休薬中も定期的に通院して検査を受ける必要があります。






バセドウ病治療ガイドライン 2011

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