ダイアップ(ジアゼパム)座薬は
小児科において、熱性けいれんの再発予防をを目的として
応急投与されます。
熱性けいれんとは、
生後7ヶ月から5歳の間によく見られることがある発作性の疾患で、
明らかな発作の原因疾患がないものをいいます。
通常38℃以上の発熱を伴います。
熱性けいれんを起こす子供の過半数は、
生涯に1回しか発作を起こしません。
5回以上の再発は6%程度、10回以上だと2%程度です。
須貝 研司
小児科 (Vol.54 No.5) いつどのようにしてその治療を打ち切るか-エキスパートに開く- 2013年 4月 臨時増刊号 [雑誌]、金原出版株式会社;54(5):458-91
ジアゼパム座薬の使用方法
一般的な方法は
体重1kgあたり0.4~0.5mgを1回として、
熱が37.5℃を超すようなときに速やかに投与します。
初回投与してから8時間経過してもなお熱が続くときは
同じ量をもう一度投与します。
1日に2回の投与までです。
副作用
一過性の軽度のフラつきや興奮、よく眠るなど
みられることがあるので
おとなしく寝かしておくのが一番です。
呼吸抑制など重い副作用は稀です。
以下、医療関係者向け
熱性けいれんの指導ガイドライン:小児科臨床別冊.1996;49(2):207-15
http://www.wakodo.co.jp/medical/news/20111102.pdf
再発予防を目的とした投与に関して、
ガイドラインでは臨床経過と要注意因子によって方針が決定されます。
要注意因子
1.てんかん発症に関する要注意因子(Eq因子)
①熱性けいれん発症前の明らかな神経学的異常もしくは発達遅延
②非定型発作[以下のいずれか1つ以上]
ⅰ焦点発作(部分発作)
ⅱ発作の持続が15~20分以上
ⅲ24時間以内の繰り返し
③両親、同胞におけるてんかんの家族歴
2.熱性けいれん再発に関する要注意因子(Fs因子)
①1歳未満の熱性けいれん発症
②両親または片親の熱性けいれんの既往
熱性けいれん再発の予防法(抗けいれん薬投与による予防)
1)自然放置が望ましいい場合
過去の熱性けいれんが2回以下で、
かつ全ての要注意因子(Ep因子およびFs因子)が陰性の場合は、
発熱性基礎疾患に対する処置を施すにとどめ、
熱性けいれん再発に関して無処置のまま経過を観察することが望ましい。
2)発熱時ジアゼパム応急投与が望ましい場合
下記の適応3項目のいずれかに該当する場合は、
発熱時速やかにジアゼパム投与を行うことが望ましい。
適応
(a)15~20分以上蔓延する発作が、過去に1回でもあった場合。
(b)要注意因子(Ep因子およびFs因子)中、2項目またはそれ以上が重複陽性で、
過去に発作を2回以上経験している場合。
(c)短期間に発作が頻発する場合(例:半日で2回、半年で3回以上、1年で4回以上)
3)抗けいれん薬連日持続内服療法が望ましい場合
下記の適応3項目のいずれかに該当する場合は、
抗けいれん薬連日持続内服療法を推奨することが望ましい
適応
(a)低熱性(37℃台)発作を2回以上またはそれ以上起こした場合
(b)15~20分以上の遷延性熱性けいれんの既往があり、
かつ発作発現前の発熱に気づかず、ジアゼパム投与のタイミングを失する可能性がある場合
(c)15~20分以上の遷延性熱性けいれんの既往があり、
発熱時ジアゼパム応急投与にかかわらず、同じ遷延性熱性けいれんを生じた場合
4)推奨すべき処置法を特定せず、ここの判断に委ねたい場合
前記1)~3)に明記した適応のいずれにも該当しない場合、
どの処置法を選ぶかは各主治医・保護者の判断に委ねて差し支えないと考える。