緑内障は、主に眼圧の上昇が原因となって、視神経が傷害され視力や視野などに異常をきたす病気です。
世界的に失明原因の上位を占めています。
例えば、眼球を水風船だとします。
水風船は、水が少ないとぺしゃんこに潰れます。
逆に水を入れすぎると破裂してしまいます。
眼球は、目の中の毛様帯というところから、房水という、水分が次々と産生されています。
そのままだと水風船のように破裂してしまいますよね。
人間の目には排出機能が備わっています。
房水は隅角という部分から線維柱帯という箇所を通って眼球の外に排出されていきます。
この、房水の流れのバランスと房水により生み出される内圧である眼圧が緑内障の病態に複雑に関係しています。眼圧が上昇すると視神経が圧迫され、神経が傷つき視野が狭くなってしまいます。
緑内障の治療は眼圧を下げる治療を行います。
Rhoキナーゼ阻害薬リパスジル(K-115)
Rhoキナーゼ阻害薬リパスジル(K-115)は、房水の排泄を促進させる薬です。
線維柱帯という水門のようなところに直接作用することによって、
線維柱帯-シュレム管房水流出路からの房水流出を促進させ、眼圧を持続的に下降させます。
また、視神経を保護する作用もあるといわれています。
Tanihara H, et al.(2008)Intraocular Pressure–Lowering Effects and Safety of Topical Administration of a Selective ROCK Inhibitor, SNJ-1656, in Healthy Volunteers. Arch Ophthalmol.126:309-315
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Sugiyama H, et al.(2007)A novel ROCK inhibitor, Y-39983, promotes regeneration of crushed axons of retinal ganglion cells into the optic nerve of adult cats. Exp Neurol.;205:230-40.
Rhoキナーゼ(Rho-associated coiled-coil containing protein kinase:ROCK)とは
Rhoキナーゼは、低分子量GTP結合タンパク質Rhoの標的タンパク質として同定されたセリン・スレオニンタンパク質リン酸化酵素です。各種細胞の増殖、遊走、遺伝子発現制御などの生理機能に関与していることが明らかとなっており、全身に存在しています。目の房水流出路においては、細胞の収縮力を調節し、眼圧調節機構に重要な役割を果たしていると考えられています。
【2014.08.29追記】
商品名はグラナテック点眼液。
興和創薬から販売予定。