尋常性乾癬治療の配合外用剤「ドボベット軟膏」承認取得のお知らせ(協和キリン)
ドボベット軟膏は活性型ビタミンD3であるカルシポトリオール水和物(ドボネックス)と副腎皮質ホルモンであるベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロン-DP)の配合外用剤です。尋常性乾癬治療に使用されます。
乾癬の治療は、外用療法、光線療法、免疫抑制薬や生物学的製剤などの全身療法に大別されます。
外用療法が乾癬治療の基本です。
活性型ビタミンD3外用薬やステロイド外用薬の単独または併用による治療が行われています。併用療法は異なる作用
点をもつ両者の効果を期待できるとともに、副作用を軽減することができます。海外では、活性型ビタミンD3外用薬とステロイド外用薬の合剤が発売されその有用性も報告されています。日本では2014年にようやくドボベット軟膏が承認され、使用できるようになりました。
外用療法では、患者さんのアドヒアランス低下が問題視されます。つまり、患者さんが薬を毎日塗ってくれないのです。アドヒアランスを向上させる一つの手法として、混合処方がなされます。
活性型ビタミンD3外用薬とステロイド外用薬を混ぜていました。
しかし、両剤に関しては安易に混合すべきではありません。
なぜかというと、活性型ビタミンD3外用薬は酸性の基剤中では失活することが知られているからです。著しく酸性に
傾いているようなステロイド外用薬との混合は避けなければなりません。
ドボベットは、この点を独自の製剤技術でクリアしています。
活性型ビタミンD3外用薬で気をつけることは血中カルシウム濃度です。
活性型ビタミンD3 外用薬は、全身的な副作用は起こしにくいとはいえ、経皮吸収に伴う高カシウム血症のリスクが常にあることは覚えておくべきでしょう。とくに皮疹の強い患者さんですと、薬剤の透過性が亢進しています。傷口に擦り込むようなものですから当然ですよね。
もちろん、皮疹が軽快すると外用薬の使用量が減ってくるため、高カルシウム血症のリスクも結果的に低くなります。
高カルシウム血症の臨床症状は、主に傾眠傾向と脱水です。
皮膚科Q&A 乾癬(日本皮膚科学会)