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2014年7月9日水曜日

クレナフィン爪外用液 10% 塗る爪水虫治療薬





世界初の爪水虫の塗り薬「クレナフィン爪外用液 10%」が2014年秋ごろ登場予定です。

クレナフィン.jp(科研製薬) 医療関係者向け
http://clenafin.jp/press.html

爪真菌症に対して外用で治療効果を得ることが期待できます。
経口抗真菌薬で認められている肝障害等の全身性の副作用を回避できます。
血漿中への移行も低いことから、薬物相互作用を回避できる可能性が高いと考えられます。
爪真菌症における新たな治療選択肢となり得ると考えられます。





使い方は


1日1回患部に塗るだけです。




作用機序


「クレナフィン爪外用液 10%」の有効成分であるエフィナコナゾールは、
科研製薬株式会社において創製されたトリアゾール系化合物です。
どのように効果を発揮するかというと、
真菌細胞膜に必要なエルゴステロールの生合成を阻害することで
真菌の発育を抑制又は阻止します。



爪水虫について


爪水虫(爪真菌症)は、日本人では潜在的な患者数は約1100万人と推計されています 。

爪水虫は、歳を取るに連れ有病率が上昇する傾向が認められています。
70歳以上の高齢者では約50%が病気にかかっています。
さらに糖尿病患者や末梢循環不全患者等では有病率が高くなり、
このような基礎疾患を有する患者さんでは多くの足の指の爪が感染し、
重症化する傾向があることが報告されています。

写真で見る爪白癬(爪水虫)




これまでの治療薬は?

2014年7月時点、日本で「爪真菌症」の効能・効果が承認されている治療薬はありませんでした。
イトラコナゾールの経口剤(カプセル剤及び錠剤)については
爪白癬、爪カンジダ症及びカンジダ性爪囲爪炎の効能・効果が、
テルビナフィンの経口剤については爪白癬及び爪カンジダ症の効能・効果が承認されています。
しかし、これらの経口剤は、肝障害の副作用や薬物相互作用を有するため、
特に高齢者や合併症を有する患者さんには使いにくいお薬です。

クレナフィン爪外用液の登場までは、爪真菌症に対して
経口抗真菌薬(イトラコナゾールやテルビナフィン)の内服療法のみが承認されていました。
「皮膚真菌症診断・治療ガイドライン」においても、
爪白癬に関する治療法は内服療法を原則としています。
しかし、これらの経口抗真菌薬には肝障害の副作用や薬物相互作用に関する懸念があり、
特に高齢者や合併症を多く抱える患者さんへの使用は敬遠されています。
爪白癬患者の約63%では、有用な外用薬がないにもかかわらず、
外用薬単独での治療が試みられているとの報告もあります。
つまり、安全性に対する懸念が高くなく、爪真菌症に対して外用で使用できる新たな治療薬が望まれていたのでした。

エフィナコナゾールは、他の抗真菌薬と比較し同等以上の抗真菌活性及び広域のスペクトラムを有するとされています。



なぜ、爪水虫に塗るだけで効果があるのか


エフィナコナゾールは爪の主要成分であるケラチンとうまく馴染む性質を持っています。
投与局所に貯留しながらも、ケラチンとの吸着による活性低下が少なくいので
患部病巣の爪の中や爪の下で高い抗真菌活性を発揮することが期待されます。



とてもよい薬なのですが、どこでも手に入るというわけではないようです。


条件があります。


「直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること」

→水虫の専門医でないと処方できません。
→検査設備のない一般内科でも、外注検査により診断できればOKなようです。


「重症患者における本剤の有効性及び安全性は確認されていない」

→軽症~中等度の患者さんにしか臨床試験を行っていないので、重症例には使えません。


「本剤を長期間使用しても改善が認められない場合は使用中止を考慮するなど、
漫然と長期にわたって使用しないこと
(48週を超えて使用した場合の有効性・安全性は確立していない)」

→ダラダラと使い続けることはできません。


なんにせよ、爪水虫に悩む人達にとって治療の選択肢が増えることはとてもいいことです。


Japan Foot Week研究会, 日皮会誌, 111(14): 2101-2112, 2001
渡辺晋一他, 日皮会誌, 119(5): 851-862, 2009
Roberts DT et al, Br J Dermatol, 148(3): 402-410, 2003


【2014.08.22追記】
確定診断の根拠となる検査を実施した旨、及び日時をレセプトに付記した方がいいようです。

製剤1瓶でどの程度使えるかというと・・・
爪の大きさなどによりますが
1本の指に毎日塗布したとして、1瓶で3ヶ月分だそうです。
(但し、一度開封して1ヶ月12週間経過したものは衛生上使えません)

例えば3本の指だと1ヶ月分ということになりますね。
10本の指に毎日塗るとしたら9日分です。

【2016.08.29追記】
転院した場合、他院で処方されていたクレナフィン転院先の医療機関で継続して処方するには再び検査を行い確定診断する必要があるのか?

→レセプトによる縦覧点検が行われるので、必要ないかもしれませんが、理由等他院で確定診断されている状況をレセプトにコメントする必要があります。