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2014年6月7日土曜日

統合失調症の薬物治療








治療の目的は生活の質の向上


急性期の統合失調症治療対応で重要なのは
幻覚や妄想などの陽性症状の軽減を図ることと
興奮している患者さんを落ち着かせることです。




しかし、統合失調症をマクロで考えた場合、それだけでは不十分です。




仮に、薬で症状を押さえつけようとする場合
薬物治療の行き過ぎで、過鎮静となってしまうことがあります。
これでは、生活の質は低下してしまいます。




一方、副作用にばかり気にしてしまい、
薬を飲ませない(飲まない)や、用量を少なくしてしまい
十分な効果が得られないことも起こりえます。







血圧や血糖値とはちがい、精神症状は検査機器で測ることができません。







お医者さんは詳細に患者さんを観察し、
それを基に効果と副作用のバランスを見て
患者さんの生活機能が最大限に発揮されるように
薬剤を選択します。







統合失調症は慢性疾患という認識を持とう



統合失調症の病状の再発予防や、長期に安定化させるためには
薬を長い間飲み続けることが重要です。




服薬を中断するのは避けなければいけません。







治療方針について、お医者さんの意見をよく聞き
十分に話し合う必要があります。
薬について不安があれば、薬剤師さんとの良質な関係を築き
いつでも相談に乗ってもらいましょう。







【医療関係者向け】

クロザピン(クロザリル)



日本では2009年にクロザリルが保険収載されています。




クロザリルは治療抵抗性統合失調症の治療薬として高い評価を得ています。
しかし、無顆粒球症という致死的な副作用が発症するリスクがあります。
そのため、全例を登録管理し
厳格なモニタリングを行いながら治療が進められます。




クロザリルの使用を希望される医療機関、保険薬局及び医療従事者の方は
クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)への登録が必要となります。
患者さま本人または代諾者に文書によって説明し、
文書による同意が必要となります。
原則として18週間の入院管理下で投与を開始する必要があります。