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2014年6月26日木曜日

肺炎球菌ワクチン ニューモバックスとプレベナーの違い





2014年6月20日
沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー13®」は、
高齢者に対する肺炎球菌による感染症の予防の効能・効果を追加されました。。

「プレベナー13®」高齢者へ適応拡大 
小児で実績のあるキャリアタンパク結合型の肺炎球菌ワクチンが
65歳以上の成人にも接種可能に(ファイザー)


高齢者に接種可能な肺炎球菌ワクチンとして、ニューモバックスが既に使用されていました。
新たに、プレベナーが加わることで、選択肢が広がることになります。


では、ニューモバックスプレベナーはどのような違いがあるのでしょうか。


【対応する菌の血清型がちがう】
ニューモバックス:1、2、3、4、5、  6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、
           14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、33F
プレベナー13   :1、  3、4、5、6A、6B、7F、    9V、      
            14、        18C、19A、19F、      23F

肺炎球菌は90種類以上の型に分類されています。 
ニューモバックスは、 そのうち23の型を選んでワクチンとしたものです。 
プレベナー13は基本的にはニューモバックスに含まれている型を厳選したものです。 
そして、プレベナー13にはニューモバックスには含まれていない6A型という近年感染増えてきている型を含んでいます。


【接種経路がちがう】
ニューモバックス:筋肉内または皮下注射
プレベナー13:筋肉内注射

プレベナー13を小児の肺炎球菌予防に接種するときは皮下注射なので注意が必要です。なんで、筋肉注射しかダメなのかは、単純に試験を行っていないからでしょう。ワクチン接種のワールドスタンダードは筋肉注射ですし。


【剤形が違う】
ニューモバックス:バイアル
プレベナー13:プレフィルドシリンジ

充填操作がいらないのでプレベナー13のほうが楽でいいですね。


【製造方法が違う】
ニューモバックス:ポリサッカライド-ワクチン
プレベナー13:結合型ワクチン

ニューモバックスは肺炎球菌の莢膜(カプセル)のポリサッカライド(多糖体)を精製したもの。蛋白質を抗原としていないのでT細胞による免疫は活性化せず、メモリーB細胞を誘導できないのでブースター効果は認められません。つまり、抗体が減少した時点において、肺炎球菌による感染が起こったとしても、免疫を記憶していて再び抗体が増えて効果が続くというようなことはないのです。アメリカCDCは抗体価は5-10年で下がってしまうので、免疫不全患者群では再接種を推奨しています。 
プレベナー13はポリサッカライド(多糖体)に蛋白質を人工的に結合して作ったものです。蛋白質を含むためT細胞による免疫を活性化しメモリーB細胞を誘導できます。そのため通常のワクチンと同じように、ブースター効果も持つことが推定されています。

ただし、理論的には上記の効果が考えられるのですが、結果は研究によってまちまち。まだしっかりこの効果が示されているわけではありません。


【粘膜への免疫誘導】
ニューモバックス:肺炎球菌の鼻やのどの粘膜への定着も阻害しないと考えられている。上気道炎、中耳炎、副鼻腔炎などには、予防効果ありません。
プレベナー13:肺炎球菌の鼻やのどの粘膜での免疫も誘導しコロナイゼーションを防ぐ効果も発揮します。上気道炎、中耳炎、副鼻腔炎などの予防効果も、期待されています。

プレベナー13が有効な型の肺炎球菌は、鼻や咽喉の粘膜に、定着することが出来ません。つまり、ニューモバックスとは異なり、感染自体を予防する効果があると考えられています。



肺炎球菌感染症について(横浜市衛生研究所)

Musher DM,.(2013)How effective is vaccination in preventing pneumococcal disease? Infect Dis Clin N Am; 27: 229-41


【2014.12.16追記】
肺炎球菌ワクチンの 製剤の選択間違い(公益財団法人 日本医療機能評価機構)
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_97.pdf

肺炎球菌ワクチンを接種する際、
対象者の年齢が決められていることを知らず、
製剤の選択を間違えて接種した事例が2件報告されています。


2歳未満の小児にはプレベナーを接種するという認識がない。
医師は0歳6ケ月、0歳7ケ月、0歳10ケ月、1歳5ケ月の
計4名の児にニューモバックスNPを接種してしまった。