私が学生の頃、教科書には
「グルカゴンは肝臓の糖新生を促進し血糖値を上昇させるホルモンです」と書いてあり、
そうそのように習いました。
そうそのように習いました。
しかし、最近の研究では
そう単純ではないかもしれないと報告されました。
そう単純ではないかもしれないと報告されました。
Mighiu PI,et al.(2013) Hypothalamic glucagon signaling inhibits hepatic glucose production. Nat Med.Jun;19(6):766-72.
実は、グルカゴンにも糖新生を抑制する作用があるかもしれないというのです。
グルカゴンは肝臓に直接作用すると糖新生を促進します。
一方、血液脳関門を通過したグルカゴンが視床下部を刺激すると、
迷走神経を介し、肝臓に対して糖の産生を抑制することが明らかにされました。
迷走神経を介し、肝臓に対して糖の産生を抑制することが明らかにされました。
肝臓への直接作用に比べ、脳を介した作用は30~60分程度遅れて起きるようです。
つまり、グルカゴンは自らが一旦上昇させた血糖値を下げる作用も併せ持つことになります。
これは単にインスリンの拮抗ホルモンではないことがわかると思います。
従来からインスリンもグルカゴンも脳に直接作用させると満腹中枢を刺激し、胃の中の排泄を遅らせることで食欲を抑えることが知られています。
また、グルカゴンの測定系には特異性の面で問題があるという指摘もあります。
Edgerton DS, et al(2013)Glucagon's yin and yang effects on hepatic glucose production.19(6):674-5
今後、グルカゴンのはたらきが更に解明され、再評価されれば糖尿病や肥満の治療に新たな道が開けるかもしれません。
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