1951年にモノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAO-I)のイプロニアジドが登場しました。
1957年に三環系抗うつ薬(TCA)のイミプラミンが登場しました。
これらの登場の1950年ごろからうつ病の治療は劇的に変化しました。
モノアミンオキシダーゼ阻害薬は重篤な副作用から
日本ではうつ病治療薬として使われてはいません。
一方、TCAはイミプラミンに続き数々の薬剤が開発され、
うつ病治療の中心的存在となりました。
TCAの開発競争が行われ、
TCAを用いたうつ病の臨床研究が幅広く行われました。
その結果、
抑うつ症状に対しては十分な用量で十分な期間の治療が必要でることや、
症状改善後も継続治療が必要なことなどの
多くのうつ病臨床の知見が集積されることになりました。
同時に、
抗コリン作用による
喉の渇き、
便秘、
おしっこが出にくい、
認知機能の低下、
緑内障の悪化、
さらに、抗ヒスタミン作用による
鎮静や
α1阻害作用による
起立性低血圧、
キニジン様作用による
不整脈などの
有害事象が明らかになり、問題視されるようになってきました。
抗うつ薬は、維持治療を含めると長期間にわたり服用し続けなくてはなりません。
そのためには、
患者さんが薬を飲み続けられるようなに副作用の少ない薬の開発が
余儀なくされたのです。
そして、
副作用が改良されたアモキサピンをはじめとする
第2世代TCAが登場し
四環系抗うつ薬
トラゾドン
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
が、次々に抗鬱薬が開発されました。
日本では、2014年時点で約20種類もの抗うつ薬が使用可能となっています。
近年では、ガイドラインや治療アルゴリズムの推奨により
抗うつ薬の第一選択薬は
SSRIやSNRIそしてNaSSAが多く使用されるようになっています。