ページ

2014年2月3日月曜日

「ピロリ除菌をしてしまえば胃がん健診はいらない」はマチガイ



ピロリ除菌さえしてしまえば、胃癌の定期健診は受けなくていいわけではありません。

ピロリ除菌は胃がんの発生リスクを下げることはできますが、胃癌を完全に予防するものではありません。したがって、ピロリ除菌に成功したとしても定期的に胃癌検診を受ける必要があります。

除菌に失敗した場合は、自費を払って胃がんリスクがゼロにはならない除菌をする価値が有るかどうか、よく考える必要があります。

また、除菌するにあたって上記の事実をきちんと説明してくれるお医者さんかどうか見極める必要があると思います。


ピロリ除菌薬の注意点

ピロリ菌の除菌療法には、抗菌薬2種類とプロトンポンプインヒビター1種類を組み合わせた3剤併用療法が用いられています。これは副作用の少ない薬剤が組み合わされています。しかし、抗菌薬がピロリ菌のみならず善玉腸内細菌を殺してしまい、その結果として下痢や軟便を起こしてしまうことがあります。また、非常にまれな例ですが、菌交代症を原因とした偽膜性大腸炎が起きることがあります。その他の副作用に味覚異常や発疹などが報告されています。

Miwa H, et al.(1999)Impact of rabeprazole, a new proton pump inhibitor, in triple therapy for Helicobacter pylori infection—comparison with omeprazole and lansoprazole. Alimentary Pharmacology & Therapeutics, Vol. 13,(6), p.741–746
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1365-2036.1999.00526.x/pdf


ピロリ除菌後の注意点

ピロリ菌が胃の中にいると胃酸が薄められてしまっています。胃酸を濃くしようと身体はがんばって胃酸を出します。その状態でピロリ菌がいなくなってしまうとどうなるか、想像できますでしょうか。胃酸を薄めていたピロリ菌がいなくなってしまうことで胃の中の胃酸の量が増えすぎてしまい逆流性食道炎を起こすことがあります。除菌したはずなのに胸焼けや胃痛がする人はこのパターンが多いです。

また、除菌が成功して胃が元気になると食欲が出てくる方がいらっしゃいます。食べられることはよいことですが、体重が増えすぎるのはあまり良くありません。

除菌のアフターフォローも非常に重要なのです。