2014年5月1日木曜日

低用量ピルで血管が詰まる



経口避妊薬としての低用量ピルや月経困難症治療薬としての低用量エストロゲン・プロゲステロン配合剤ともに静脈血栓症のリスクがあります。薬を飲んでいない一般女性と比較して6倍もの差があると言われています。

静脈血栓症は低用量ピルの最も重篤な副作用なのですが、投与前にそのリスクを予知できる血液検査はありません。


血栓症のリスクが高くなる条件に該当する人は、医師に相談し、副作用の早期発見、早期治療により対処するのが最善となります。


どのような人がリスクが高い人なのでしょうか。

既に、血栓性の病気をお持ちの方へは投与できません。
血栓性静脈炎、深部下肢静脈血栓症肺塞栓脳血管障害心筋梗塞

家族に、血栓症の病気を患った方がいらっしゃる場合、血栓症のリスクが2倍になると言われています。家族が50歳未満に発症している場合や、複数の家族が発症している場合、更にリスクは上昇します。

高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などもリスクを上昇させます。

からだを動かすことが少ない場合も、血栓症を誘発するので注意が必要です。手術など寝たきりになる場合は、使用中止が考慮されます。

偏頭痛は脳梗塞の危険因子です。低用量ピルが必要な方たちと偏頭痛の好発年齢が重なるので注意が必要です。

治療を受ける際には、上記リスクが該当するならば、医師に相談することが安全性確保の第一歩になります。



血栓症の副作用を見逃さないために

初期症状を見逃さないようにしましょう。キーワードは”ACHES"です。
A abdominal pain 腹痛(お腹が痛い)C chest pain 胸痛 (胸が痛い)H headache 頭痛(頭がいたい)E eye disorders 眼症状(眼がおかしい)S severe leg pain 下肢痛(足が痛い)

これらの症状がでたら、すぐにお医者さんに相談しましょう。緊急の場合は、循環器科または脳神経外科を受診して、自分の飲んでいる薬を伝えましょう。


副作用でみられる血栓症の中では、深部下肢静脈血栓症が多く、肺塞栓症につながります。片側の足の腫れや痛み、脚がつる、脚がだる重い、足が赤くなっている場合は注意です。

病院では、血管を押さえて痛みがないか、むくみはないか、チェックします。血液検査ではDダイマーというものを測定します。血栓が疑われる場合は、血管の状態をエコー検査します。