2014年4月17日木曜日

妊娠糖尿病の検査 glucose challenge test



glucose challenge test(グルコースチャレンジテスト:GCT)とは、妊娠中期(24~28週)に行う妊娠糖尿病の検査法です。

ブドウ糖50gを飲み、1時間後に採血を行い血糖値を測る検査です。血糖値が140㎎/dL以上の場合は陽性と判断されます。



妊娠糖尿病を診断するための検査に75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)というのがあります。
検査当日の朝まで10時間以上絶食した空腹のまま採血し、血糖値を測ります。次に、ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの、またはデンプン分解産物相当量)を飲み、ブドウ糖負荷後、30分、1時間と2時間後に採血し、血糖値を測るという検査です。

とてもしんどい検査です。そのため、この検査は妊娠糖尿病が強く疑われる人に限って行われたほうが良いのです。「強く疑われる人」を見つけるための検査がGCTなのです。

GCTで陽性(血糖値が140㎎/dL以上)だった人に対して75gOGTTが行われます。


妊娠中期の糖尿病検査として行われているのは以下の3つです。

1.随時血糖測定
 (食事時間は関係なく血糖値を測定、100mg/dL以上で陽性)

2.空腹時血糖測定
 (夜食事を抜いて血糖値を測定、85mg/dL以上で陽性)

3.GCT


1が最も負担が軽く2と3はそれに比べると重いです。けれど、GCTは妊娠糖尿病に対する感度や、費用対効果の面を考えると最も優れているとされています。

杉山隆 他(2006)妊娠糖尿病のスクリーニングに関する多施設共同研究報告:糖尿病と妊娠,6(1):7-12

そのため、産婦人科診療ガイドライン:産科編2011においてもGCTが妊娠中期の糖尿病検査として推奨されています。

産婦人科診療ガイドライン:産科編2011(日本産婦人科学会)


妊娠糖尿病について

妊娠糖尿病状態では、巨大児や胎児奇形や子宮内死亡の発生、帝王切開確率が上がったり、赤ちゃんの呼吸切迫症候群のリスクが上昇します。しかし、これらは適切な血糖コントロールによってリスクを減らすことができます。出来る限り早い段階で見つけ治療を開始することが重要です。妊娠32週までの良好な血糖コントロールができれば安心とされています。

Landon MB, et al(2009)A multicenter, randomized trial of treatment for mild gestational diabetes.:N Engl J Med ;361(14):1339-48.

妊娠糖尿病の患者さんは、分娩後6~12週に75gOGTTを行います。妊娠糖尿病のほとんどが妊娠中のインスリン抵抗性増大が原因なので、赤ちゃんを産んでしまえば改善することが多いです。けれども、妊娠糖尿病の患者さんは将来の糖尿病発生率が高いことも知られています。

Bellamy L, et al(2009)Type 2 diabetes mellitus after gestational diabetes: a systematic review and meta-analysis.:Lancet;373(9677):1773-9

つまり、赤ちゃんを産んだあとの検査で異常がなかったとしても、定期的かつ継続的な血糖検査を行って、将来の糖尿病に注意することが重要です。