プラスグレルはクロピドグレルよりも、早く血小板凝集抑制作用を示します。
これは、生体内における活性代謝物の生産効率と、活性代謝物の生成過程におけるCYPの遺伝子多型の違いが大きく関係しています。
プラスグレルとクロピドグレルはプロドラッグです。
小腸や肝臓で代謝を受け、活性代謝物となって薬効を発揮します。
両剤とも2回の代謝により活性体に変換されるのですが、プラスグレルはエステラーゼと薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)による代謝を受け、クロピドグレルはCYPにより2回の代謝を受けます。
両剤の違いはエステラーゼによる代謝です。
エステラーゼはCYPによる代謝と比べて代謝スピードが非常に早いため、活性代謝物の生成スピードに違いが出ます。
プラスグレルは、経口投与後、小腸のエステラーゼによりほぼ100%が中間体へ非常にすみやかに効率よく変換されたあと、肝臓でCYPにより代謝を受け、活性代謝物変換されるので効果発現が早いと考えられています。
一方クロピドグレルは、小腸での代謝を受けず、肝臓でCYPにより2回の代謝を受けるため活性代謝物の生成スピードはゆっくりです。
また、日本人では肝臓の薬物代謝酵素であるCYP2C19のはたらきが弱い人が多くいらっしゃいます。
肝臓での代謝をうける回数の少ないほうがCYP2C19のはたらきに影響されにくくなるので、肝臓での代謝が少ないプラスグレルのほうがクロピドグレルより日本人にあっていると言えるでしょう。
クロピドグレルは肝臓のエステラーゼによって85%が不活性体になってしまうので代謝効率が低い薬剤です。