見るからに女性の患者さんにユリーフが処方されていました。ユリーフは前立腺肥大症に伴う排尿困難に処方されるお薬です。なので、前立腺のない女性には処方されるはずのないものなのです。
特殊な使い方でもあるのかと、考えまして、先輩に聞いてみると
「あー、あのひとオネエだから。疑義いらないよ」
ほー。。。
女性の排尿障害には確かウラピジル(エブランチル)がファーストだったよなと思いつつ、調べてみました。
女性の排尿障害には、尿道の通過障害、膀胱頸部の閉塞、排尿筋収縮力の低下、間質性膀胱炎、そして原因不明の尿閉など様々な病態が存在します。それぞれに応じた治療法が必要です。
典型的な機能的異常の尿路閉塞症例に対しては、薬物療法としてα1ブロッカーのウラピジルが有効とするデータがあります。ウラピジルは日本でで唯一「神経因性膀胱」の適応を持つα1ブロッカーです。ほかの排尿障害治療薬とはちがい、女性の排尿障害にも使用できます。
膀胱の排尿筋収縮力が低下している場合には、臭化ジスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害薬の効果が期待できます。機能的下部尿路閉塞と排尿筋収縮力の低下がどちらも認められる症例には、ウラピジルとコリンエステラーゼ阻害薬が併用されます。
機能的下部尿路閉塞と排尿筋収縮力の低下のどちらかわからない場合には、とりあえず安全に使用できるウラピジルを第一選択として、投与し経過をみるという考え方もあるようです。
女性の排尿障害は珍しいという印象をお持ちだと思います。でも、実は女性の下部尿路症状症候群の3分の1は排尿障害なのです。
女性の排尿障害をもつ患者さんのほとんどが、頻尿や尿失禁などを自覚して医療機関を受診しています。そのため、それらの訴えの背後に隠されている排尿障害の症状に気付かれず、医師から見逃されやすいのが現状です。
患者さんとの信頼関係にも影響を及ぼしかねないデリケートな病気ですが、患者さんから情報を聞き出して適切な治療が受けられるようにしてあげたいですね。