以下概要です。
【検体測定室の届出等】
検体測定室では、
① 当該施設内で検体の採取及び測定を行うこと
② 検体の採取や採取前後の消毒などは患者さん自身がやること。
<検体測定室の届出>
(1) 検体測定室の届出の手続
薬局で血液検査等をするには、行う日のの7日前までに医政局指導課医療関連サービス室長に届け出ましょう。
(2) 期間を定めて運営を行う検体測定室の届出の手続
健康フェアなどで期間限定で測定検査等をやるときは、行う日の7日前までに医政局指導課医療関連サービス室長に届け出ましょう。
(3) 届出の内容
ア 記載事項
(ア)薬局の開設者の氏名及び住所
(イ)衛生管理を含めた検体測定室の運営責任者の氏名及び資格
※運営責任者になることができるのは、医師、薬剤師、看護師又は臨床検査技師です。
(ウ)精度管理を職務とする者の氏名及び資格
※精度管理責任者になることができるのは、医師、薬剤師、臨床検査技師です。
(エ)検体測定室の名称及び所在地
(オ)測定項目の内容及び開設日
(カ)期間を決めてやるときは、その期間
イ 添付書類
届出には、次の書類も合わせて提出します。
・運営責任者と精度管理責任者の免許証の写し
・検体測定室の場所を明らかにした図面等の書類
【ガイドライン】
<測定に際しての説明>
運営責任者が患者さんに対して11の事項を書面や映像などで説明します。
患者さんから説明内容の同意を得て、さらに承諾書をもらいます。
① 測定は、特定健康診査や健康診断等ではないこと(特定健康診査や健康診断の未受診者には受診勧奨をしていること)
② 検体の採取及び採取前後の消毒・処置については、受検者が行うこと
③ 受検者の服用薬や既往歴によっては、止血困難となり、測定を行うサービスを受けられない場合があること(このため、運営責任者は受検者に抗血栓薬の服用の有無や出血性疾患(血友病、壊血病、血小板無力症、血小板減少性紫斑病、単純性紫斑病)の既往歴の有無をチェックリストで確認し、これらの事実が確認された場合はサービスの提供を行わないこと)また、採血は受検者の責任において行うものであるため、出血・感染
等のリスクは、基本的に受検者が負うものであること
④ 自己採取及び自己処置ができない受検者はサービスを受けられないこと
⑤ 採取方法(穿刺方法)、採取量(採血量)、測定項目及び測定に要する時間
⑥ 体調、直前の食事時間等が測定結果に影響を及ぼすことがあること
⑦ 検体の測定結果については、受検者が判断するものであること
⑧ 検体測定室での測定は診療の用に供するものではないため、受検者が医療機関で受診する場合は、改めて当該医療機関の医師の指示による検査を受ける必要があること
⑨ 穿刺による疼痛や迷走神経反射が生じることがあること
⑩ 受検者が自己採取した検体については、受検者が希望した測定項目の測定以外には使用しないこと
⑪ 受検者からの問い合わせ先(検体測定室の電話番号等)
<測定項目>
(1) 既往歴の調査(服薬歴及び喫煙習慣の状況に係る調査を含む。)
(2) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
(3) 身長、体重及び腹囲の検査
(4) BMIの測定
(5) 血圧の測定
(6) GOT、GPT及びγ-GTPの検査(以下「肝機能検査」という。)
(7) 中性脂肪、HDLコレステロール及びLDLコレステロールの量の検査
(8) 血糖検査
(9) 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(以下「尿検査」という。)
(10) 上記(1)~(9)に掲げる項目のほか、厚生労働大臣が定める項目について厚生労働大臣が定める基準に基づき医師が必要と認めるときに行うもの
・測定の項目については、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号)第1条第1項
<測定結果の報告>
お伝えできるのは測定値と測定項目の基準値のみ
患者さんに対しては、測定結果がどんなものでも、特定健康診査や健康診断の受診をすすめる。
また、測定結果を見た患者さんから「私、○○という病気かしら?」などの問い合わせには答えてはいけません。
かかりつけ医への相談等をするよう助言すること。この場合、「薬局の前の病院で聞いてください」など特定の医療機関を薦めてはいけません。
<広告の規制>
「ワンコイン健診」と謳ってはいけません。
診療所、健診センター等の紛らわしい名称を付けてはいけません。
また、診察、診断、治療、健診等を広告してもダメ。
<採血器具などの取り扱い>
消毒や絆創膏など、患者さんが使えるように常備しておきます。
穿刺器具による穿刺については、手指のみ認められます。
自己採取用の穿刺器具については、薬事法で承認されたものを使います。
1回使い捨ての穿刺器具を使用すること。
患者さんに「穿刺器具は1回使い捨てです」と明らかにしておきましょう。
穿刺器具の取扱い等については、以下の点に注意します。
① 外観を観察し、保護キャップが外れていたり、破損していたりする場合は使用しないこと
② 保護キャップを外したらすぐに使用すること
③ 複数回、同一部位での穿刺はしないこと
<精度管理>
精度管理については、測定機器の製造業者等が示す保守・点検を実施します。
複数人の検体を一度に測定してはいけません。
検体測定室ごとに、精度管理責任者を定めます。
精度管理責任者による定期的な内部精度管理を実施します。
年1回以上、外部精度管理調査に参加しなくてはなりません。
< 研修>
運営責任者は、関係法令、精度管理、衛生管理、個人情報保護等について必要な外部研修を受講させなくてはいけません。
<個人情報保護>
受検者の個人情報については、「個人情報の保護に関する法律」及び「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインにより、適正に取り扱います。
測定結果については、患者さんの同意を得ずに、保管・利用しはいけません。
<急変への対応の手順書作成>
急変に対応できるよう、物品を常備します。
救急隊への通報体制について手順書を作成します。手順書を検体測定室に掲示します。
及び近隣の医療機関との連携を図る体制を整備しなくてはなりません。
<標準作業書>
標準作業書を作成しなくてはいけません。
<作業日誌>
標準作業書に従い、作業日誌を作成します。
・測定機器保守管理作業日誌
・測定作業日誌
<台帳>
次に掲げる台帳を作成し、20年間適切に保管管理します。
ア 測定受付台帳(受検者の氏名、連絡先等の保存を行うための台帳)
イ 使用測定機器台帳(測定用機械器具の名称、製造者、型番、設置日、修理及び廃棄を記録するための台帳)
ウ 試薬台帳(試薬の購入等の記録や数量管理を行うための台帳)
エ 精度管理台帳(内部・外部精度管理調査の結果の書類を整理した台帳)
<注意事項>抜粋
ア 検体測定室の開設者は、血液を取り扱うことのリスクを十分認識し、器具等の衛生管理や単回使用器具の再使用の防止、廃棄に至るまでの間
の安全管理等について、従業者への教育・研修や自己採取者への測定に際しての説明・注意喚起を行い、血液に起因する感染症を防止する責任
が伴うこと、また、穿刺器具等の不適切な取扱いを行った場合の健康影響への責任も伴うことを十分に踏まえて運営を行うものとする。
イ 測定業務に従事する者等が受検者に対して採血、処置及び診断を行った場合は、関係法令に抵触し、罰則の対象となる可能性がある。
ウ 広告、廃棄物処理、個人情報保護において適切に行われていない場合は、それぞれ関係法令に抵触し、罰則の対象となる可能性がある。
エ 検体測定室は、診療の用に供しない検体の測定を行う施設であるため、医療機関から検体の測定を受託することはできないこと。また、病院、
診療所内では検体測定室の運営を行わないものとする。
オ 検体の測定は受検者から直接受託するものとする。また、検体の生化学的検査を登録された衛生検査所に委託をする場合を除き、業務の一部
又は全部を他の施設に委託しないものとする。なお、測定結果については、受検者に直接報告するものとする。
カ 他の施設と誤解されないよう、検体測定室と分かる表示を行うものとする。
キ 検体測定室では、測定結果をふまえた物品の購入の勧奨(物品の販売等を行う特定の事業所への誘導を含む。)を行わないものとする。
ク 測定の際、穿刺器具の販売・授与が行われる場合には、都道府県知事に対し管理医療機器販売業の届出を行うなど、薬事法における規定を遵
守するものとする。
ケ 厚生労働省医政局指導課は、このガイドラインの運用に関して助言を行うものとする。
コ 検体測定室の開設者は、厚生労働省医政局指導課が行う調査に協力するものとする。