2014年2月25日火曜日

がん疼痛治療剤 タペンタドール


タペンタドールはヤンセンファーマが国内で開発しているがん性疼痛治療剤です。製品名はタペンタ錠25mg・50mg・100mgで、3種類の規格が発売される予定です。「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とされる予定です。申請中の用法は「1日50~400mgを2回に分けて経口投与する。症状に応じて適宜増減する」です。


タペンタドールはオピオイド鎮痛剤と呼ばれる薬に分類されます。
日本では麻薬に指定されています。


bk-MDEA、タペンタドール、XLR-11の麻薬への指定(東京都福祉保健局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/sonota/shitei_m/bk-mdea.html

国際的には2010年に初めて慢性疼痛治療剤として承認され、2012年末時点において、すべてのEU加盟国および北米(カナダ、アメリカ)をはじめ、全世界34カ国で承認されています。日本では2013年に製造承認申請しました。(2014年発売予定です)


海外での名称はPalexia SR錠です。


タペンタドールの作用機序は他のオピオイド鎮痛剤と同じくオピオイド受容体と結合することによって痛みを軽減します。また、タペンタドールは中枢神経におけるノルアドレナリンの再取り込みを阻害する作用を持っていると考えられています。



ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する作用を併せ持つオピオイド鎮痛剤にはトラマドールがあることが知られています。トラマドールはセロトニン再取り込み阻害作用も持ちますので、いわゆるSNRI作用です。そのため、抗うつ剤や抗てんかん薬とトラマドールを併用する際にはセロトニン症候群に注意しなければなりません。一方、タペンタドールにはセロトニン再取り込み作用は殆ど無いので、その点ではトラマドールより使いやすくなっています。
(麻薬という点では使いにくいですが・・・)


追記
2014年2月24日承認了承されました。(医薬品第一部会通過)


【タペンタドールの特徴】
タペンタドールは、投与後に速やかな作用発現を示します。
タペンタドールは活性代謝物を有しません、主要な代謝経路はグルクロン酸抱合です。
(Tzschentke T. M. et,al、Tapentadol Hydrochloride、Drugs of the Future 2006、31、1053~1061)
(Evans W. E.、Relling M. V.、Pharmacogenomics: Translating Functional Genomics into Rational Therapies. Science 1999、286、487~491)

海外におけるタペンタドールの臨床試験で認められた最も頻繁に報告された有害事象は、中枢神経系(例えば、傾眠、めまい/眩暈、頭痛)および胃腸管(例えば、便秘、悪心、嘔吐)でした。
(Weber H. et,al、Journal of Pain 2006年、7、)


追記2

タペンタ錠承認審査情報(PMDA)
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400032/800155000_22600AMX00537_A100_1.pdf


他のオピオイドからの切り替え

タペンタドールとして、オキシコドン徐放錠(オキシコンチン)1日投与量の5倍を目安にします。
初回投与量として400mg/日を超える用量は推奨されません。
増量は投与開始または、前回の増量から3日以降とすることが望ましいです。

換算表(タペンタ:オキシコンチン=5:1)



肝障害患者への投与

肝機能障害患者へは慎重投与です。中等度肝機能障害患者では低用量から開始します。例えば、1日1回25mgなどです。


タペンタ錠の廃棄方法
http://yakuza-14.blogspot.jp/2014/05/blog-post_15.html