ページ

2014年2月19日水曜日

未妥結減算ルールのなぜ



なぜ、薬局や病院は妥結(価格の決定)が遅いのでしょうか。
妥結が遅れるほど納入価を卸が安くする傾向がこれまであったからです。
妥結を遅らせるほど薬局や病院が有利にならないよう、2012年度から卸が方針転換し、価格交渉に厳しい姿勢で臨むようになりました。
今回の改訂で卸と薬局・病院が力比べをしているところに国が口を出したというかたちになりました。
ですから薬局や病院から文句がでてきているのです。

ただ、薬の値段(薬価)は市場実勢価格に基づいて決まる制度です。これは、医療機関や薬局に対する実際の販売価格を調査し、
その結果に基づき定期的に改定する制度です。未妥結状態が続いているということは、調査自体の信頼性自体が揺らぐことになります。
そのため薬価を決める国としては、この制度を円滑に進めるなど医療制度全体を考えた時に、
ルールの導入はやむをえないものでしょう。

ただ、公定価格の決め方に薬局や病院が協力しているのだから、今回のような罰則でなく適切に対応したところにインセンティブを与えて評価してもよかったのではないかと思います。
しかし、診療報酬の財源が限られた今回の改定では、こういう形になってしまったのも仕方ないのかもしれません。。

薬局や病院の中には「何でわれわれが苦労しなければならないのか」との意見はあるようです。
確かに価格交渉という点だけ見れば卸に有利ということになるでしょうが、一概に何でもかんでも卸が有利だとは考るのは控えたほうがよいでしょう。

そもそも、なぜ妥結しなければならないかということを考える必要があります。
公定価格である薬価の元となる市場実勢価格を把握するため行う薬価調査が、妥結率が低いことでいいかげんになっては困ります。

今後は、入札制の導入など価格交渉の行われ方も変わってくるでしょう。ごねて得する時代は終わります。
ゆがんだ商習慣が見直されることを期待します。

医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)
佐藤 健太郎
新潮社
売り上げランキング: 60,318